カーシェアリングプラットフォーム「Anyca(エニカ)」を運営するDeNAは、2024年12月31日をもってサービスを終了することを発表しました。2015年にスタートした同サービスは、個人間で自動車をシェアできるプラットフォームとして注目され、多くの利用者を獲得してきましたが、提供開始から9年目でのサービス終了となります。
サービス終了の背景
エニカは、個人間カーシェアリングを軸に、クルマを所有していない人が気軽に車を借りることができるサービスを提供してきました。これにより、若者のクルマ離れが進む中で「カーライフに選択肢を」という理念のもと、新しいクルマの使い方を提案してきました。しかし、運営会社は「サービス開始当初に描いていた規模には達せず、サービスの継続が困難である」と説明しており、経営上の理由から今回の決定に至ったとしています。
特に、個人間のカーシェアという新たな市場の開拓には一定の成果があったものの、クルマの維持費や利用者間の調整など、運営面での課題が浮き彫りになっていたといいます。利用者数は91万人を超えるまでに成長しましたが、経済的な持続可能性の確保が難しかったようです。
サービス終了までのスケジュール
DeNAによりますと、サービスの提供は12月31日まで継続されますが、段階的に機能や利用が制限される予定です。10月31日まではクルマのシェアが可能ですが、それ以降は予約の変更や新規のシェアはできなくなります。また、進行中の修理サポート案件やオーナーへの受取金の振り込みに関する対応については、別途案内されるということです。
特に、シェアカー利用者やHyundai車やVOLVO車の購入者特典を検討中の利用者には、特典の利用期限やキャンペーン終了に関する注意喚起が行われています。
業界への影響
Anycaの登場は、日本におけるカーシェア市場の成長に大きく貢献してきました。特に都市部では、自家用車を持たないライフスタイルを選ぶ若者や、週末だけクルマを利用したいというニーズが高まり、カーシェアの選択肢を広げてきました。しかし、サービス終了により、競合他社が市場の主導権を握る可能性があり、利用者にとっては選択肢が減ることになるかもしれません。
一方で、今後はカーレンタル業界やカーシェアリング業界がどのように変化していくかが注目されています。特に、電気自動車(EV)の普及に伴う新たなビジネスモデルが登場するかどうかが焦点となりそうです。
今後はどうなる?
エニカのサービス終了によって、日本のカーシェア市場に一つの節目が訪れることになります。今後、クルマを共有するという概念がどのように進化していくかは未知数ですが、モビリティ業界全体の変革が進む中、他のサービスにも影響が及ぶ可能性があります。
エニカを利用してきたユーザーやオーナーからは、サービス終了を惜しむ声が多く寄せられており、終了後の代替手段に関する関心が高まっています。DeNAは、今後も新しいモビリティサービスの可能性を模索していくと発表しており、業界の注目が集まっています。