電車のマナーから見る日本人の不思議な姿勢

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「日本人の電車の利用マナーが良い」とネットで話題になることがありますが、個人的にはその評価は半分正しくて、半分間違っているように感じます。

すごく良いなと思ったのは、今日も見かけたのですが、混雑しているときに席が一つ空いても、すぐには座らず、周りに座りたい人がいないか確認してから、5秒ほど待って座る人が一定数いることです。誰かに厚かましく席を譲ったと押し付けるわけでもなく、 「他にすぐに座りたい人がいたらその方を優先する」という日本人の奥行かしさを感じました。

また、妊婦さんや子供連れ、高齢者の方に対して優先的に席を譲る光景もよく見かけます。このような姿勢はとても良いと感じます。

一方で、電車に乗ろうとするとき、ドアの近くに立ってしまい、他の人が乗り込みにくい状況を作っている人もいます。外から見ると通路にまだ余裕があるのに、まるで体当たりしないと乗れないような状況になっていることもあります。

誰が決めたわけでもない独自のルールで運用されている

こうした協調性やマナーは、一朝一夕でできるものではなく、長い時間をかけて日本人が培ってきたものなのかもしれません。とても不思議で興味深い文化だと思います。

さらに面白いと思うのは、最近エスカレーターに「歩かないでください」といった注意書きが増えてきたことです。本来、エスカレーターは歩くために設計されていませんし、右側を急いで通り抜ける際に高齢者や子供に接触する危険もあります。しかし、現実には急ぐ人が多いため、右側を空けることがマナーのようになっています。

駅が「立ち止まって2列でご利用ください」と案内しているにもかかわらず、実際には左側に寄って右側を空ける人がほとんどです。この現象は車の運転にも見られます。たとえば、時速60キロの制限がある道路で、実際に制限速度を守っている人は少なく、特に静岡では国道1号線を時速100キロ近くで走る車が多いのです。

日本人は、ある時は「ルールを無視して、実態に即した運用」を求めています。これもまた、日本の独特な文化の一つで面白いと思います。

協調性がないと白い目で見られる

基本的に協調性が重要視されているため、極端にルールを無視する行動をする人がいると、SNSにその様子が投稿され、炎上することもあります。

つい先日、私が電車を待っていると、後ろには10人以上の人が列を作っていました。
電車が来るのを待っていたのですが、左側から重たそうな荷物を持った中国人の女性が通話しながらやってきて、電車のドアが開いた直後に列の先頭に割り込む形で入っていき、席の端に座ってしまいました。

日本の電車では、待機列がきちんとできていて、足元に並ぶための補助線も引かれており、それに沿って厳格に並んでいる印象があります。そのため、彼女の行動を目の当たりにして、文化の違いを強く感じました。まるで「追い抜いた者が勝ち」という考え方で、日本経済と中国経済の対比を見ているような感覚にもなりました。日本人が考えたデザインを廉価版でコピーしてすぐに売り出してしまう理由も、こうしたマナーやルールを無視する行動に通じる部分があるのかもしれません。

たとえば、私が海外旅行中、現地の人が列を作っていたら、一番先頭に割り込むなんて行為は到底できません。大きなひんしゅくを買うのは目に見えていますし、私にはそんなことをする勇気はありません。中国人のマナーが悪いと批判される世の中で、そうした行動をすることは、さらにその感情を増幅し助長するだけだと思いますので、やめた方が良いのではないかと心配になります。

ただ、これは外国人に限った話ではありません。日本人でも若い人や中年の男性など、一部にはルールやマナーを無視する層がいます。そのため、できれば大多数の日本人と同じように、マナーやルールを守ってもらいたいと思います。

みんながマナーを守っているから、マナーを破ることができる

ルールやマナーを無視できるのは、厳格な秩序がしっかりしているからこそです。もし無視する人が増えれば、その人たち自身が不便を被ることになるでしょう。だからこそ、こうしたルールの重要性をしっかり理解してもらいたいと感じます。

たとえば、電車で先頭に割り込んだ人が、レストランやコンビニでお会計をしようとしているとき、誰かに目の前で突然割り込まれたらどう感じるでしょうか。やはり、嫌な気持ちになると思います。しかし、自分がそのような行為をしているのであれば、我慢しなければならないということになります。「先に割り込んだ者が勝ち」というルールが蔓延すれば、最終的には、体格が大きくて声が大きい怖い人が強いというような、前時代的な文化に戻ってしまうかもしれません。

だからこそ、日本人が長い時間をかけて作り上げてきた共生の精神は、とても大切だと最近改めて感じていまいました。

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