「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」は現役世代への懲罰なのか?

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日本政府が実施した「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」は、当初コロナウイルスの影響を受け、生活困難に陥った世帯を支援するために導入されました。この政策は、住民税が非課税の世帯や家計が急変した世帯を対象に、一時的な救済措置として提供されてきました。

何度か給付金が支給されたのですが、石破内閣になり2024年度秋に再度、住民税非課税世帯を対象とした10万円の給付金が再び実施される予定です。今回の給付は、物価高騰による生活費の圧迫を緩和するための支援策であり、特に低所得者世帯を中心に支援が強化されています。

住民税非課税世帯向け「10万円給付」対象となる人は?年代別に非課税世帯の割合も一覧表でチェック-LIMO

しかし、現役世代からは「老人だけもらって、これは懲罰なのではないか」という声が上がっています。本記事では、その背景と、政策が本当に現役世代に対して不公平かどうかを考察します。

 住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金の目的

まず、この政策の目的は、特に困難な状況にある人々に対して迅速に支援を提供することです。コロナ禍によって職を失ったり、収入が大幅に減少した世帯は、特に経済的に打撃を受けており、住民税が非課税となるような所得の低い層が多く含まれています。

これらの世帯に対し、最低限の生活を維持できるように支援を行うことがこの給付金の狙いです。

現役世代の不満の背景

では、なぜ現役世代がこの給付金に対して不満を抱いているのでしょうか?
その理由の一つは、現役世代が負担する税金や社会保険料の増加にあります。日々働き、税を納めているにもかかわらず、給付金の対象外となっていることに不満を感じています。特に、住民税や所得税の負担が大きい中で、住民税非課税世帯が優遇されると感じることが多いのです。

年収が200〜300万円の人々は、生活費で手一杯の状況にもかかわらず、非課税世帯の基準に該当せず、支援の対象外となることが不公平だと感じています。例えば、夕食のカップラーメンでさえ高いと感じるほど生活に困っている人々にも、この給付金が支給されないという現実があります。

資産を持つ高齢者にも支給される不公平さ

この給付金のもう一つの問題は、前年度の所得だけで支給対象が決まるため、実際の資産や生活状況が考慮されない点です。

たとえば、前年度の収入が低かっただけで、5,000万円以上の資産を持つ高齢者にも支給されるケースが存在します。その一方で、生活が厳しい現役世代は支援を受けられないため、これが不公平だと感じる現役世代も多いのです。

厚生労働省「2021年国民生活基礎調査」より作成

このように2021年度の住民税非課税世帯を見てみると 10代から40代を足しても 3分の1に満たない状態で、給付金の大半は70代と80代に直接支給されています。50代も足すと全体の3分の2以上に当たります。

特に子育て世代は、子ども手当を減額された人もいるため、 世代間の温度差はどんどん開いていく一方です。

政策の根本的な問題点と改善の必要性

住民税非課税世帯への支援は短期的には必要な施策かもしれませんが、現役世代が感じる負担感や不公平感は、単なる給付金の問題ではありません。日本の税負担の不均衡や、所得再分配の不備が根底にあります。現役世代や中間層への長期的な支援や、労働環境の改善が求められています。

特に、資産を持つ高齢者と生活に困る現役世代との間のギャップを是正するために、制度改革が必要です。政府は、所得や資産に基づいたより公平な支援を提供し、現役世代を含むすべての国民が安心して生活できるように、より柔軟で包括的な政策が求められており、現役世代の負担を軽減するためのさらなる改革が急務です。

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