中国産の金棗核桃月餅(ナツメクルミ) 広式月餅を食べてみました

料理・レシピ

先日、中国食材店に立ち寄った際、目に留まったのが、普段見かけない種類の月餅「金棗核桃月餅」でした。なんと、125gでお値段550円。

日本で手軽に購入できる山崎パン製の月餅などが200円前後で販売されているのを考えると、かなり高級です。重量には少し差があるものの、これほど価格差があるのはなぜでしょうか。実際に購入して食べてみたので、その味わいを詳しくレビューしてみたいと思います。

広式月餅とは?

広式月餅は、中国の広東地方を発祥とする伝統的な月餅で、通常、焼き菓子として提供されます。その特徴的な外観は、金色の焼き目と重厚な生地の存在感で、内部には餡(あん)が詰められており、ナッツやドライフルーツなどの具材が入っていることが多いです。今回の金棗核桃月餅もその一種で、ナツメとクルミを主な具材として使用しています。

広式月餅は中秋節を祝うための伝統的な菓子であり、この時期に家族や友人と分け合って食べることが一般的です。月餅の重厚さは、豊かな祝祭を象徴し、その一口一口に歴史や文化が詰まっています。

広式月餅はどんな時に食べる?

広式月餅は主に中秋節(旧暦の8月15日)に食べられます。この祭りは、家族の再会や団らんを祝う機会で、月餅はその象徴的な食べ物です。月の満ち欠けに合わせて、家族が一緒に月餅を切り分け、まるで月を模した形状の菓子を楽しむのです。

ただし、現代では中秋節だけでなく、贈り物としても人気があり、特に高級月餅は企業の贈答品としても重宝されています。今回購入した月餅も、その豪華さとシンプルな素材の組み合わせが、まさに特別な場面での贈り物としてぴったりの一品です。

金棗核桃月餅の味わいは?

一口食べて感じたのは、とにかく「濃い」味わいです。驚いたのは、砂糖の甘さに頼るのではなく、油のまろやかさや餡の濃厚さが際立つところ。ラードのような油分が、餡に深みを与え、クルミの食感がアクセントとして響いています。そして、後味に広がるナツメのやさしい甘みが、喉の奥からじんわりと戻ってくるような感覚は、非常に繊細で複雑です。

材料も驚くほどシンプルです。砂糖(ぶどう糖、麦芽糖)、小豆、大豆油、小麦粉、クルミ、ナツメ、コーンスターチ、卵かんすい、酸味料(クエン酸)といった、基本的な材料のみ。しかしながら、こうしたシンプルな構成でありながら、味の奥深さを感じることができるのは、本場中国の月餅ならではの魅力といえるでしょう。

日本の月餅と比べても、砂糖の量が少なく、甘さが控えめです。これは日本の和菓子にも通じる、繊細な甘みで、まさに「優しい味わい」といった印象です。

合わせるお茶は?

この金棗核桃月餅に合わせるお茶を選ぶのは少し難しいですが、個人的には「水仙」が最適ではないかと思います。プーアール茶やジャスミン茶などの花茶も考えましたが、この月餅の奥深い風味には、水仙のような少し古風な香りのするお茶が相性抜群です。

特に「武夷老叢水仙」のような岩茶が、この月餅の素朴で複雑な味わいを引き立てるのではないでしょうか。水仙の少しスモーキーで、まろやかな香りが、ナツメやクルミの風味と見事に調和します。

甲乙つけ難い味わい

普段は横浜中華街の「頂好」という月餅を買って食べています。

こちらもシンプルな材料で作られており、味わい深い一品ですが、今回食べた「友盛」の金棗核桃月餅は、さらに素朴で懐かしい味わいがあります。どこか昔の和菓子を思い出させるその味わいは、現代のスナック菓子のような強烈なインパクトとは違い、静かに心に響くものがあります。

現代的な鮮やかな味や香りが好きな人には、やや物足りないかもしれませんが、シンプルな素材を生かした月餅は、中国茶を好む人や伝統的な味を楽しむ人々にとって、非常に魅力的な一品です。

もし見かけたら、ぜひ一度試してみてください。値段は少々高めですが、その価値は十分にあります。

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