先日の「Cartier(カルティエ)のアンティーク時計は、正規店でベルト交換ができる?」の続きですが、入荷の案内をいただき、引き取りに行きました。
当初、1ヶ月以上かかると聞いていましたが、2週間ほどで入荷し、早速受け取ることができました。
銀座は外国人の街に?
銀座の日曜日に比べれば人混みは少なかったものの、インバウンド観光客の数は驚くほど多く、日本人よりも外国人の方が多い印象を受けました。初めて銀座を訪れたのは2012年頃で、東銀座にあるマガジンハウスに仕事の関係で何度か通っていました。当時の銀座は今とは少し違っており、どこか大人の街という印象が強かったです。
銀座といえば、皆さん様々なイメージがあるかもしれませんが、私にとっては1955年に公開された映画『銀座二十四帖』を思い起こします。
この映画は川島雄三監督による作品で、主人公の京極和歌子が幼少期に画家「五郎」に描いてもらった「少女像」を手にしたことから物語が展開します。彼女はその絵を通じて五郎との再会を夢見て銀座の画廊に絵を出しますが、彼女の前に現れるのは偽物ばかり。そんな中、銀座の顔役である花屋の三室戸完(通称コニイ)が絵にまつわる真実に関わっていくという内容です。
私自身、かつては白黒映画に興味がなかったのですが、黒澤明監督の《羅生門》を観てから、その奥深さに感銘を受け、1950年代や1960年代の映画を積極的に観るようになりました。当時の銀座の様子は今とは全く異なり、街並みや車、人々の話し方など、すべてが現代とは違い、別の空間にいるような感覚を味わえます。それでも、どこか見覚えのある建物や風景があり、懐かしさを感じることができます。
銀座について語るのは恐れ多いのですが、12年以上街の移り変わりを見てきて、最近の外国人観光客の多さにはただただ驚くばかりです。以前は、イタリア製の生地で仕立てた服に英国製の革靴を履いた紳士が多く見られましたが、今では半袖半ズボンのアメリカ人がリュックを背負って歩いている姿をよく見かけ、時代の変化を感じます。
もっとも、これほど日本の夏が暑くなるとは思わなかったため、私自身も夏場にスーツを着ることはほとんどなくなり、もっぱら秋から冬にかけてしかジャケットを羽織らなくなりました。
そんなわけで、白黒映画を一度も観たことがない方も、まずは名作とされるものから手を付けてみると、意外とハマってしまうかもしれません。
Cartier(カルティエ)のアンティーク時計のベルト交換
さて、入荷したベルトに交換してもらいましたが、仕上がりは想像以上に良かったです。寸法が0.1mm単位でぴったりと合い、革の質感も良く、刺繍された糸も美しかったです。
私はできる限り時計は18金のモデルを選ぶようにしていますが、カルティエのアンティークモデルには、ヴェルメイユ(銀にゴールドのプレートを施したモデル)もあります。
1980年代から1990年代にかけて展開された「マスト・ドゥ・カルティエ」というカジュアルなラインの一部で、若い人にも手の届く価格設定でした。しかし、このヴェルメイユはゴールドプレートのため、長年使用されて磨き過ぎた結果、銀が露出しているものも見られます。
そうした点を考慮すると、値段は高いですが、18金のモデルを選べば40年以上前のものであっても磨けば新品同様に使用できるのが、Cartierのアンティークの魅力です。手巻きはもちろん、クオーツのモデルも信頼性の高いムーブメントを搭載しているため、現代でも問題なく使えます。
中古市場では当時のものが流通していますが、カルティエでは革ベルト(ストラップ)の部分がどうしても30年以上経過すると劣化します。これを正規店で新品に交換することで、タイムスリップしたかのように昔のカルティエの時計を蘇らせることができるのです。
カルティエの素晴らしい点は、廃盤になったモデルでさえ、ベルト交換やメンテナンスのサポートを受けられるところです。動物保護の観点から、当時と同じエキゾチックレザーであるクロコダイルのベルトは用意されていませんが、代替品も豊富に揃っており、好みに合わせて選べるのも嬉しいです。
最近の時計はケースサイズが大きくなり、厚みも増しています。例えばタンクシリーズも1990年代と比べてサイズが大きくなりました。そのため、エレガントなモデルを求めるのであれば、ヴィンテージやアンティークを入手してメンテナンスを行い、消耗品であるベルトを正規店で交換することで、まるで当時の時計を復刻させたかのように使用できます。
興味がある方は、ぜひ自分だけの1本を見つけてみてください。