SNSで、フランス旅行中にアジア人差別を受けたという投稿を見かけたので、実際に差別を受けることがあるのか、自分の体験をもとに考えてみます。
パリにて店員さん来なくてそろそろ腕が限界な僕どうぞ。 pic.twitter.com/FCBDwEywnQ
— 高藤直寿TAKATO NAOHISA (@naohisatakato) August 9, 2024
投稿は、東京五輪の金メダリスト・高藤直寿さんがパリで受けた待遇について書かれたもので、「いつまで経っても店員さんが注文を取りに来てくれない」という内容でした。
去年パリに行ったけどジェラート店では舌打ち、岸につけられてる船上レストランを覗いたら川側は白人ばかりで岸側はアジア人ばかり。丁寧な店員さんも勿論いたけどね。 イタリアではトイレ近くの席は全員アジア系だったし、注文したらちょっと待てと偉そうに言われたのよ。欧州なんてそんなもん
https://x.com/naohisatakato/status/1821787205217517768/quotes
他にも実際にパリを旅行して差別を受けた方がいるようです。
フランスと日本の食文化の違いが影響している?
フランスでは店員さんに手を挙げて呼ぶ行為は失礼です💦
メニューも開いたまま…まだ決めかねてると思われます
注文が決まったらメニューを閉じて待ちます
急いでたらちょっと指上げてアイコンタクトか、通りかかったら声を掛けてもいいかもですが…
もうほんと…差別でもなんでもないですよ、やめて😭 https://t.co/e1hzUUEEgr— walkingsacha25🇯🇵🇫🇷 (@walkingsacha25) August 10, 2024
それに対して、こののような反応もありました。
まず大前提として、日本とフランスでは食事の文化が大きく異なります。
日本では、牛丼チェーンや立ち食い蕎麦のように、入店して数秒後には注文を取りに来るお店、大衆居酒屋のように片手を挙げて大きな声で店員を呼ぶスタイルのお店、高級寿司屋のようにお任せの一種類しかなく、自動的に料理が出てくるスタイルのお店など、様々な形態が存在します。
一般的には、注文が決まったら手を挙げるか、ボタンで店員を呼ぶスタイルが多いでしょう。
高藤さんのツイートに添付された写真を見る限り、テーブルクロスがないことや来客の服装などから、そこまで高級な店ではないようですが、慌てて店員を呼んで注文をするようなタイプのお店ではないように見受けられます。
このような場合、店員が注文を取りに来るまで待つのが正しい作法です。フランスでは、会話を楽しみながらゆっくり料理を待つのが一般的で、日本のように急いで食事を済ませたい人は少数派です。
これは、日本にあるフランス料理店でも同じで、軽くランチを済ませたいと思っても、コースの最後の料理が出るまで1時間以上かかることもあります。特に、在日フランス人学校がある神楽坂のフランス人がオーナーの店では、平気でランチに1時間半かけることもあり、日本人からするとその提供の遅さに驚かされることがあります。
こうした文化の違いに慣れていないと、注文が遅れることにイライラしてしまうかもしれません。しかし、本当に差別を受けているのであれば、そもそも店に入る際、空席が目立っていても「満員です」と断られるはずです。
🇫🇷の事情は知らないので、実際にアジア系のみ冷遇されているのかもしれないけど、🇬🇧で生活していて感じるのは、🇯🇵の店員のようにテキパキさばく店は少なく、そもそも「どのくらい待たされると苛立つか」の基準が日本人と違うこと。飲み物1つ注文してから出されるまで「忘れられてる?」レベル多い。 https://t.co/ibZDx5wVLr
— イギリス生活&ニュース (@Kazz_UK) August 13, 2024
この投稿に同意できるのですが、 日本人の店員さんのようにテキパキと注文をさばいて素早く提供していくお店が少ないです。
悪意や善意が関係なく、一律でゆっくりと提供されることが一般的なので、メニューを渡される段階で飲み物を頼み、それを飲みながらメニューを決めてゆっくりと待つといった感覚が一般的です。
中には、メニューと同時に一口サイズのアミューズ(amuse)が出て、「シャンパンでも飲みながらゆっくり決めて」といった店もあります。日本では考えられにくいですが、 こうしたメニューを決める時間も長めになっているのが一般的です。
フランス旅行で差別される?
実は、昨年初めてフランスを旅行しました。それまではイタリアに10回ほど行ったことがありましたが、パリの治安の悪さや差別について事前に聞いていたため、少し緊張しながら滞在しました。
ところが、実際にフランスを1週間ほど旅行してみると、その親切さに驚きました。差別を受けるどころか、親切で丁寧な人々ばかりで、とても快適な旅行を楽しむことができました。
事前の情報通り、パリではほとんどの人が英語を話せますが、ボーヌやリヨンに行くと、フランス語しか話せない高齢の方が多くいました。幸いなことに、スマホの翻訳機能を使えば、ゆっくりですが会話ができたので、特に不便は感じませんでした。
また、イタリアには延べ半年近く滞在し、頻繁に外食をしていましたが、一度も差別されたことはありませんでした。星付きレストランでサービスが悪かった経験が一度だけありましたが、それは差別というより「冷遇」と感じた程度で、露骨にひどい待遇を受けたわけではなく、機械的な対応だっただけでした。
観光地で良い待遇を受けるのは難しい
これは日本国内でも同様に言えることですが、非常に人気のある観光地では、必ずしも良い待遇を受けられないことがあります。
例えば、築地市場で海鮮丼を食べるときや、京都の有名な寺院の前にあるレストランで食事をするときなど、そのお店が現地の常連さん向けではなく、観光客向けに存在している場合、毎日新しいお客さんが訪れることになります。
そのような場合、一人一人のお客さんを丁寧に対応してリピートしてもらおうというよりも、立地の良さから次々とお客が入ってくるため、対応がぞんざいになってしまうこともあります。とにかくお金を払ってくれればそれで良い、悪い評価があったとしても、どうせ2回目は来ないから気にしないというオーナーも確かに存在します。
言語が通じない上に、上記のような人気エリアにある観光地や観光客向けのレストランが重なってしまうと、差別されたと感じることがあるかもしれません。
総じて、イタリアやフランスで差別を受けることは、現在ではかなり少ないのではないかと思います。特にパリでは、黒人、白人、アジア人といったさまざまな人種が共存しており、すでにアメリカのように多様な社会が形成されています。そのため、わざわざアジア人だけが差別されるということは考えにくいです。
SNSでは、差別を受けたという人と、全く差別を感じない人が二極化しているようです。アジア人という要因以外にも、他に何か理由があるのかもしれませんね。