「CME日経平均先物」「SGX日経平均先物」同じ日経先物なのに、何故金額が違うのか?

経済・投資

現物株をしている人は、「先物やオプション取引はリスクが高く、手をつけていない」という人が多いと思います。
実際その通りで、現物株であれば、投資金額が最大の損失(リスク金額)になり、それを超えることは絶対にないのですが、 先物やオプションは、投資金額を超えた損失を出してしまうことがあります。

なぜ”明日の日経平均株価”が分かるのか?

私が株式投資初心者の頃は、明日の日経平均株価を予想するアプリで、なぜ実際に予想に近い数字が出るのを不思議に思っていました。
先物について全く知識がなかったので、 どういう原理で、明日の株価がわかるのか知りませんでした。

しかし、先物取引を学び始めてから、その仕組みが少しずつ理解できるようになりました。先物取引とは、将来の特定の日に特定の価格で資産を売買する契約であり、これが日経平均株価の動向を予測する際に重要な役割を果たしています。

1. 先物取引の基本

先物取引は、主にヘッジや投機を目的として行われます。
例えば、投資家が今後の日経平均株価が上昇すると予想する場合、現在の価格で先物を買っておけば、実際に株価が上昇した際に利益を得ることができます。このため、先物市場は将来の株価の期待値を反映することになります。

2. グローバル市場の影響

日経225先物は、日本だけでなくCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)やSGX(シンガポール取引所)でも取引されています。これにより、日本市場が閉まっている間も、世界中の投資家が日経225先物を取引し続けます。
特に、アメリカ市場やアジア市場の動向は、翌日の日経平均株価に大きな影響を与えます。

3. 価格の発見機能

先物市場は、価格の発見機能を持っています。
これは、市場参加者が将来の価格を予想して取引することで、現在の価格にその期待が反映されることを意味します。つまり、先物の価格は、投資家たちの集合的な予想が反映されたものであり、これが翌日の日経平均株価の予測に近い値となる理由です。

“明日の日経平均株価”が分かる理由

主にこれらの3つが、明日の日経平均株価がわかる理由になります。

株式投資をしている個人や、プロの金融機関の人たちが、今後の株価の先行きを予想して、日本市場が閉まっている間も海外で売買しているため、限りなく翌日の日経平均株価に近づいていくわけです。
より簡単に例えると、明日の天気が晴れで暑ければ「冷たい水」を仕入れて、雨であれば「傘を仕入れる」このような感覚に近いです。

では、なぜ取引所によって先物の金額の違いが出るのか?

日本国内でも先物取引が行われていますが、日本市場以外では、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とSGX(シンガポール取引所)で取引が行われています。

夜間に先ほどの値段を見ていると、この2つの取引所が値段がぴったり同じときと、ややずれているときがあります。なぜこのようなことが起きるのか解説してみます。

CMEとSGXの違い・特徴

https://www.cmegroup.com/

1. CME(日経225先物)

CMEでは、日本の日経225指数に基づく先物取引が行われています。
シカゴ・マーカンタイル取引所は、世界最大級のデリバティブ市場であり、グローバルな投資家が取引を行います。

特徴:
•取引時間:CMEの日経225先物は米国の取引時間に合わせて取引されます。これにより、米国市場の動向に影響を受けやすいです。
•流動性:グローバルな投資家が多いため、高い流動性があります。
•通貨:取引は主に米ドルで行われます。

https://www.sgx.com/

2. SGX(日経225先物)

SGXでも日経225指数に基づく先物取引が行われています。
シンガポール取引所はアジアの金融ハブとして重要な位置を占めており、アジアの投資家に人気があります。

特徴:
•取引時間:SGXの日経225先物はアジアの取引時間に合わせて取引されます。これにより、アジア市場の動向に影響を受けやすいです。
•流動性:アジア地域の投資家が多いため、特にアジアの取引時間帯で高い流動性があります。
•通貨:取引は主にシンガポールドルまたは日本円で行われます。

このように、取引市場の場所や参加者・時間帯が違うことが分かります。

CMEとSGXの先物価格の違いが出る理由は?

CME(日経225先物)は、米国の取引時間に合わせて取引され、主に米ドルで取引されます。グローバルな投資家が多く、高い流動性があります。
SGX(日経225先物)は、アジアの取引時間に合わせて取引され、シンガポールドルまたは日本円で取引されます。アジアの投資家に人気があり、特にアジア市場の動向に影響を受けやすいです。

1. 市場の取引時間の違い

CMEとSGXは異なるタイムゾーンで取引されています。SGXはアジアの取引時間に近く、CMEはアメリカの取引時間に合わせています。このため、取引時間の違いによって価格が異なる場合があります。

•SGX:主にアジアの取引時間帯に影響を受けます。
•CME:主にアメリカの取引時間帯に影響を受けます。

2. 流動性の違い

各取引所の流動性も異なります。SGXはアジア市場の投資家が多く取引するため、特にアジア市場の影響を強く受けます。CMEはグローバルな投資家が多く、特にアメリカ市場の影響を強く受けます。

3. 市場のイベントやニュース

各市場で異なるニュースや経済指標が発表されることにより、価格に影響を与えることがあります。特に、アメリカの経済指標や企業決算などが発表されると、CMEの価格に影響を与えることがあります。

4. 為替相場の変動

日経225先物は日本円で計算されますが、CMEでは米ドルで取引されるため、為替相場の変動が価格に影響を与えることがあります。為替レートの変動によって、CMEとSGXの価格が異なる場合があります。

5. 投資家の取引戦略の違い

各市場で取引する投資家の戦略やポジションの取り方が異なるため、価格に違いが生じることがあります。例えば、アジア市場の投資家とアメリカ市場の投資家が異なる見通しを持っている場合、それが価格に反映されることがあります。

このように、取引時間と流動性、イベントやニュース、為替の変動、考え方の違いによって差が生じることがあります。

CMEとSGXの先物価格は、どちらが翌日の日経225の始値に近いのか?

CME(日経225先物)は、アメリカ市場の影響を受けるため、アメリカの経済指標やニュース、株価の動向が反映されやすいです。そのため、アメリカ市場が大きく動いた場合、CMEの価格は翌日の日経225に強く影響を与えることがあります。

SGX(日経225先物)はアジア市場の影響を受けやすく、特に日本市場に近い時間帯で取引されるため、翌日の日経225に対してCMEよりも直接的な影響を与える傾向があります。

どちらが近いのか?

日本市場の終了後も短い時間で取引されるため、翌日の日経225の始値に対してはSGXの価格の方が近い場合が多いとされています。
一方で、アメリカ市場の影響が大きい場合は、CMEの価格が翌日の日経225に強い影響を与える場合があります。特にアメリカの経済指標や企業決算など、重要なニュースがあった場合、CMEの価格が翌日の日経225に近いことが多くなります。

統計データによると、一般的にSGXの価格の方が翌日の日経225の始値に近いことが多いとされています。しかし、アメリカ市場の影響が大きい場合はCMEの価格がより近いこともあるため、どちらが優位かは一概に言えません。

このように、どちらが優れている、どちらが劣っているといった話ではなく、 経済指数や企業決算などにも大きく左右がされますし、 為替の状況によっても、 違いが出てきます。

これらの理由から、日本市場が閉まっている時でも、明日の日経平均株価が予想できること。また、同じ先物取引でも金額が違うのかわかります。先物取引は高いリスクがありますので、初心者は指数を見るだけにとどめておくことを推奨します。また実際に取引する場合は、現物株で数年以上取引経験を積み、十分にリスクを理解した上で参加してみてください。

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