自家製ローストビーフの日持ちを伸ばす方法

料理・レシピ

自家製のローストビーフを作ると、レシピには「1〜3日間程度で食べてください」と書かれています。確かに、家庭料理というのは、衛生的に不安なところも多く、多くの食べ物は完成したらすぐに食べてしまうのが安全です。

ですが、例外があり、ローストビーフやパテドカンパーニュなど、お肉料理の一部は、作ってから数日、または一週間以上した方が美味しいものもあります。

塩分濃度を高める

古来から干し肉が長期保存食として利用されているのは、塩分濃度が高いのと、 肉の水分量が減ったため、長期保管が可能になっています。また、表面をスモークすることによって、殺菌性を高めているということもあります。燻製は木のチップを焚きつけることで、フェノール化合物やアルデヒドが燻製中の食品に反応してできる樹脂膜の役割をするようです。

本来であれば肉はあっという間に腐ってしまうのですが、 高い塩分濃度と低い水分量、また表面をコーティングすることで何ヶ月も保管が可能になります。

塩分濃度を高くするのは、浸透圧の原理によって、細菌の細胞壁が壊れやすくなるためです。細菌やカビ、酵母菌などが死滅するので、塩分濃度が10%以上になると常温でも菌が繁殖しにくくなります。
ただ、ローストビーフやパテドカンパーニュは、あまりにも塩分が高いと、味を落としてしまいますし、食べにくくなってしまいます。1~2%程度の塩分を目安にすると良さそうです。

減菌処理を丁寧にする

家庭料理であっても、きちんと衛生管理をすることで、長く食べることができます。

「下味をつけるときに、生のお肉にフォークで穴を開けた方がいい」と紹介するサイトが多いですが、私はこれをやりません。数日以上に保管をするのであれば、中に菌が入らない方がいいので、 塊肉をそのまま大きいブロックで焼くことがおすすめです。

使い捨ての新品ゴム手袋をして、調理器具をアルコールスプレー(消毒用エタノールIPAスプレー)などで殺菌します。フライパンでまんべんなく焼き目をつけて、紙シートを敷いたオーブンレンジで120~140度で20分ほど加熱します。そのまま予熱で20分ほど放置して、粗熱を少し取ります。中心部の温度が最低でも63℃に達するよう確認すると安全です。

この時点で、オーブンレンジの中のお肉はかなり減菌された状態ですので、ここから余計な雑菌をつけないように気をつけます。私の場合は、余熱までオーブンレンジの扉を開けずに、少し粗熱が取れた段階で、手早く新品のジップロックに保管します。

そこから急速冷蔵をして、食べたい日まで開封せずに置いておくようにしています。この方法であれば、直接手に触れることもなく、 雑菌の混入するリスクをできる限り減らすことができます。

真空湯煎する

それでも気になる場合は、ジップロックで真空状態にした後に、10分程度熱湯で煮沸して湯煎しても良いかもしれません。

ここで特に注意した方が良いのは、必ずしも真空湯煎=安全ではなく、今度は酸素が絶たれるので嫌気性細菌のリスクが急増します。ウェルシュ菌をはじめとする嫌気性細菌は、真空パックなど酸素が無い状態で繁殖を活性化します。そのため中心部が75℃以上になるように加熱すると良いです。

完全に加熱をして衛生管理をすることで、こうしたリスクを減らすことができます。
いずれにしても身の回りに広く存在する菌ですので、食品工場でない限り完全に殺菌することは基本的に不可能ですので、常に頭の中にこうしたリスクがあることを考えておきましょう。

低温保管をする

もう一つは、冷蔵庫の中で保管する場所をドアポケットのような温度変化が高いところではなく、できればチルドルームのような低温な場所に保管した方が良いです。チルドは0〜2℃くらいの低めの温度に保たれているので、ローストビーフやバテドカンパーニュなど、1週間から10日ほど保管することが可能になります。

ただし、時間が経過するほどリスクが上昇しますので、 開封をしたときに嫌な臭いがしたら迷わず破棄するようにしましょう。人間の嗅覚というのは、しっかりしているもので、 臭いがおかしいと思ったときは、大抵痛んでしまっています。加工食品問わず、匂いを嗅いで大丈夫かどうか判断するというのは、動物の本能として正しい行動だと思います。

また、安全だと思ってもそれでも不安な場合は、スライスする前にローストビーフを食べる前に表面を再び軽く数分間焼き直しておいたり、表面を食べないように中の部分だけ食べても良いですね。

リスクがあるので、やや料理の上級者向け?

ある泡の出る液体について少し自己研究していた時期があるので、コンタミの混入については一般的な人より理解しているつもりです。丁寧に減菌処理したつもりが、細菌が混入していることがあります。

お肉の長期保管する訓練をしたい場合は、 豚のブロックを買ってきて、「自家製パンチェッタ作り」で修行するのもオススメです。塩分濃度と水分量によって、どれくらい保管期間が違うのかを目をもって勉強することができます。
うまくいっている場合は、乳酸発酵のような、さわやかなヨーグルトのような香りがしてきます。失敗してしまった場合は、腐敗臭や、明らかに体に悪そうな臭いが漂ってきます。色も悪くなりやすいです。

こうした感じで熟成のお肉の訓練をしておき、慣れてきたらローストビーフやパテドカンパーニュの長期熟成に挑戦してみるのも面白いかもしれませんね

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