35年間同棲してきたピロリ菌に、強制立退き命令を出すことになりました。
もっと早く立退きしてもらえばよかったのですが、 慢性的に胃腸の調子が悪く、その原因となっている可能性が高いため出ていってもらうことになりました。
今までピロリ菌の除去に興味があったのですが、 具体的にどうすればよいかわからなかったので、わかりやすくまとめてみました。
「ピロリ菌除」が保険用適用される条件とは?
1.ピロリ菌感染が確認されていること:•内視鏡検査や尿素呼気試験、血液検査などでピロリ菌感染が確認されている必要があります。2.以下のいずれかの病状があること:•胃潰瘍または十二指腸潰瘍:ピロリ菌感染によって引き起こされる消化性潰瘍がある場合。•胃MALTリンパ腫:ピロリ菌感染が原因となる胃の粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫がある場合。•胃がんの内視鏡的治療後:胃がんの内視鏡的治療を受けた後、再発防止のための除菌。•特発性血小板減少性紫斑病:ピロリ菌感染が関連していると考えられる血小板減少性疾患がある場合。3.その他の適応:•2013年2月から、胃炎(慢性胃炎)についてもピロリ菌の除菌が保険適用となっています。この場合も、ピロリ菌感染が確認されていることが前提です。
特筆するべき点は、2013年から、慢性胃炎についてもピロリ菌の除去が保険適用となりました。
今までは、胃がんで摘出した場合など、 ピロリ菌除去が認められるのが難しかったのですが、 2013年から慢性的な胃炎で内視鏡検査をして、 血液検査や呼吸検査などでピロリ菌がいることが判明(確定)した場合は、 保険適用することができます。
私の場合は初診料、胃カメラ・内視鏡検査、血液検査をしたので保険適用で6,000円程度。 薬代は保険適用で1,600円程度でした。すべてを自費で行った場合は、 2万円から3万円程度かかってしまうと思います。
「ピロリ菌除」の必要性は?
ピロリ菌の正式名はヘリコバクターピロリと呼ばれ、胃の粘膜に生息している螺旋状の形をした細菌です。胃には強い胃酸があるため、昔は細菌はいないと考えられていましたが、 1982年にオーストラリアのワレンとマーシャルという医師が、胃の粘膜から培養に成功し、ピロリ菌の存在を確認しました。
ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っていて、 ピロリ菌の周辺をアルカリ性にすることができるので、 長く生き残ることができます。
現時点では感染経路は明確ではないのですが、 乳幼児期の親子の感染や水道の整っていない、井戸水などで感染すると考えられています。大人になってから感染することはほとんどないので、 子供の時期に食べ物を口移しするなどで感染するのではないでしょうか。
ピロリ菌は、自覚症状が少ないのですが、感染していると、炎症が長く続いて胃炎になりやすいです。 さらに驚くことに、胃肺炎や十二指腸肺炎の患者さんの80%から90%がピロリ菌に感染しています。 このことから、こうした病気の原因となっている可能性が高いです。
また、胃がんとも密接に関係していると言われ、 ピロリ菌に感染している人の方が胃がんになりやすいことが統計上わかっています。
なぜか、あまり検査してくれない「ピロリ菌検査」
これは私の体験談なのですが、胃の不快感を覚え、何度か内科に行ったことがあるのですが、 触診で軽くお腹を触ってもらうだけで、特に精密な検査をしてもらえることが少なかったです。
人間ドックを受けたことがあるのですが、そのときは内視鏡検査ではなく、バリウムの検査でした。バリウムの検査が精度が低いとは言いませんが、 やはり直接カメラで見る胃カメラと比較すると、 病気の症状を見逃しされがちです。
今回、私が胃カメラをしたときに、明確なピロリ菌による症状の炎症だと画像で診断していただいたのですが、 こうした症状も、胃カメラでないと見逃されやすいです。私の場合は、画像で診断してもらった後に血液検査をして、 血液検査の診断でもピロリ菌の陽性だと受けました。
他の病院では、全然ピロリ菌の診断をしてもらえなかったので、 得意とする消化器内科の専門医の方に見ていただくのが良いと思います。また、健康診断のときにバリウムではなく、 胃カメラの内視鏡検査を行うのがおすすめです。
除菌薬「ボノサップ パック400」とは
ボノサップパック400は、ピロリ菌の除菌治療に使用される薬剤セットです。以下の3種類の薬剤が含まれています:
1. アモキシシリン(アモリンカプセル):250mg
2. クラリスロマイシン(クラリス錠):200mg
3. タケキャブ:20mg
これらの薬剤を1セットとして、1日2回、7日間続けて服用します。
どのように作用するのか?
ボノサップパック400は、3つの異なる機序でピロリ菌を攻撃します:
1. アモキシシリンは、細菌の細胞壁合成を阻害し、菌を殺す役割を果たします。
2. クラリスロマイシンは、細菌のタンパク質合成を阻害し、増殖を抑えます。
3. タケキャブは、胃酸分泌を強力に抑制し、胃のpHを上昇させることで、他の抗生物質が効果的に働く環境を作ります。タケキャブは、新しいタイプの胃酸抑制剤であり、従来のプロトンポンプ阻害剤(PPI)よりも強力で持続的な効果があります。
朝夕7日間を飲み切るセット
除菌治療をする上で医師の判断なく勝手に、投薬を中止するというのは良くないです。薬剤耐性を持った菌の出現リスクがあります。
7日間きっちり飲み切った場合は、約9割以上の人がピロリ菌を除去することができます。
途中で投与をやめてしまうと、薬が効きにくい、または薬が全く効かないピロリ菌が生き残ってしまいます。それが増えてしまうと次回同じ薬を飲んだとしても、効き目が落ちてしまいます。
こういったリスクを回避するために、 軽度な副作用(軟便・軽い下痢)であれば、 薬を飲み切ってしまった方がいいと紹介されています。
ただ、発熱や腹痛を伴う下痢、下痢に粘液や血液が混ざっている場合、もしくは発疹を起こしたような場合は、 薬を飲むことを中止して、医師・薬剤師に相談した方が良いようです。
効果測定は早くても投与終了の4週間後
今回のピロリ菌除去は「一時除菌療法」に分類されて、効果を測定するのは薬を飲み切ってから4週間以上先になります。私の場合は9月の中旬頃に ピロリ菌が除菌できたかどうかを検査するのを予約しています。
もしそれでまだピロリ菌が残っていた場合は「二次除菌療法」と言って、別の種類に切り替えてまた同じように検査をしていきます。
9割の人は1回目で除菌ができ、残りの人のほとんども2回目でできるそうですが、 ごく稀に2回やっても除菌できない人がいるそうです。そうした場合は、稀なので大学病院などに紹介されることが多いようです。
副作用は出る?アルコールやカフェインは飲める?
注意事項を忘れていたのですが、できるだけ平日の月曜日などをスタートにした方が良いそうです。
理由は副作用が出た場合でも、すぐにかかりつけの病院で見てもらうことが可能だからです。逆に土日にスタートしてしまうと、もし病院が休みの時に重い副作用が出た時に困ってしまうので、注意が必要です。
また、下痢や腹痛など副作用がいくつか起こりやすいようですので、大切な仕事の前には飲まず、少し余裕がある週に飲むのがおすすめです。
私の場合は、今日の午前中から開始したのですが、 軽い眠気が続いて体がだるくなる程度で、 今のところまだ下痢の症状は出ていません。
アルコールは厳禁
薬を飲んでいる間は、アルコールは厳禁となります。
私の持っているガイドブックには、 アルコールだけの記述しかなく、 カフェインは特に禁止はされていないですし、 薬剤師さんの説明でもカフェインについては触れられませんでした。
ネットで検索してみると「あまり良くない」という記述があるのですが、薬を飲むときは水にして、ランチタイムなどで軽くコーヒーを取る程度でしたら、そんなに問題ないのではないでしょうか。
ちなみに、ガイドブックにも、処方箋にも、お薬の明細にも、 食前・食後のいつ飲むか、明確な記述がありません。今回、薬剤師さんは「食後に飲んでくださいね」と指導していただいたのですが、 ネットで検索すると、個人病院の方が「食前に飲んだ方が効果が出やすい」と紹介している人もいます。
どちらが正しいかわかりませんが、 一般論では、薬を食前に飲むと空腹時なので効果が急に出やすい、血液濃度が上がりやすいとされています。副作用があまり出ないのであれば直前、 少し副作用がきついのであれば直後という感じでも大丈夫だと思います。
担当する医師や薬剤師によってアドバイスが異なると思うので、 ご自身の担当医の方に相談してみてください。