知っているようで知らない国民の三大義務「勤労の義務」

PENSIER

小中学校で習う憲法。日本国民の三大義務は、日本国憲法第26条の「教育を受けさせる義務」、第27条の「勤労の義務」、第30条の「納税の義務」とされています。

日本人特有の思考「働かなければいけない」というのは、ここから影響を受けているのではないでしょうか。他にも「働かざる者食うべからず」なんて言葉もあります。
知らなかったのですが、「働かざる者食うべからず」という言葉は仏教っぽいのですが、実は新約聖書が由来のようです。新約聖書『テサロニケの信徒への手紙二』3章10節には

「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」という一節がある。
εἴ τις οὐ θέλει ἐργάζεσθαι μηδὲ ἐσθιέτω (働こうとしない者は、食べることもしてはならない)

とあり、2千年近く前には忠告されていたようですね。

「勤労の義務」とは?

第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
② 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
③ 児童は、これを酷使してはならない。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/

日本国憲法第27条には全ての国民が働かなければならないと書かれています。
初めてしっかりと原文を読んだのですが、思ったより詳細は省かれています。

小中学生のときは他国に関心が薄かったので、今まで漠然と「働くのが義務なんだな」と思い込んでいました。しかし、ふと考えてみたのですが、「専業主婦は働いていないのでは……?」と思い、調べてみました。

主婦は働かなくてもいいのか?

どうやら主婦が家庭内で行っている家事労働も「労働」とみなされるべきであり、これは広義の労働の一部にあたるようです。日本の法律や社会通念において、家庭内の労働も賃金労働と同様に重要な役割を果たしています。

これらのことから、主婦が家庭内で行う労働は憲法の労働の義務を果たしているとされるようです。

なるほどなるほど、なんか腑に落ちないですがそういう事のようです。
では投資家は!?不動産投資家や金融投資家は、放ったらかしで利益を得て生活している人も存在します。

投資家は働かなくてもいいのか?

投資家もまた、資本を運用し経済活動に参加しています。
資産運用を通じて経済に貢献し、リスクを取って利益を追求することは、労働とは異なる形での社会貢献と言えます。このような活動も広義での「勤労」に該当すると考えられます。

このような考え方が基本のようです。つまり、会社を運営するためのお金を提供するのも労働だし、誰かが住む家のために建てる資金を提供する人も労働にあたるようです。

言われてみればそうかもしれませんね。

退職された高齢者は働かなくてもいいのか?

老齢年金の支給額が60歳から65歳まで引き上げられましたが、 平成生まれへの人たちはきっと受給できる年齢が70歳から80歳まで上昇するのではないでしょうか。

こうなると、これからの未来は、死ぬまで働いていないと生活ができないような状態になりそうですが、 現在は60歳くらいからだんだんと退職をして、無職になることが基本です。

ニュースで逮捕された人が報道されると「70歳無職」と書かれることがありますが、この表現について疑問がありました。「だいたいの70歳は無職なのでは?」「今まで18歳から65歳まで、死ぬほど真剣に働いてきた人かもしれないのに……」なんて思いましたが、現状を整理すると、無職が正しいです。

この疑問をChatGPTで問いかけてみたところ、以下のような返答となりました。

1. 労働能力の変化:高齢になると身体的・精神的な労働能力が低下することが一般的であり、これにより継続的な労働が難しくなります。憲法の労働の義務は実際の労働能力を前提としています。

2. 社会的役割の変化:高齢者は長年にわたり社会に貢献してきたという前提があり、退職後は社会からの恩恵(年金や医療制度など)を受ける段階に移行することが一般的です。

3. 福祉制度の存在:日本には高齢者向けの年金制度や社会福祉制度が整備されており、高齢者が労働を続けなくても生活を維持できる仕組みが存在します。これにより、高齢者が労働を義務として続ける必要がなくなります。

4. 法的解釈の柔軟性:憲法第27条の「労働の義務」は、全ての国民が可能な範囲で社会に貢献することを意図していますが、その解釈は実際の社会状況に応じて柔軟に行われます。高齢者の場合、労働義務を形式的に適用することは現実的ではないため、事実上の解除とみなされます。

これらの理由により、退職された高齢者は労働の義務から事実上解除されることとなります。社会全体が彼らの過去の貢献を認め、安心して老後を過ごせるような仕組みが整えられているのです。

つまり、体力や精神的な労働能力が低下していて、 社会制度も整っているので、もう労働する義務からは解放されますよ、という 暗黙の了解のようなものです。

つまり判定ガバガバな憲法?

これらの事情を考慮すると、真剣に肉体労働をしていなくても、お金を使って生活しているだけで社会貢献しているために、労働の義務が免除されますよと言ってもおかしくないくらいちょっと卑弁な気もしてきます。

何しろ専業主婦の中には旦那さんが非常にお金に余裕があり、家事から育児まですべて外注してお金で解決している夫婦もいます。

つまり憲法27条の「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」は、罰則規定もない抽象的な概念であり「働けそうな人は、自分の好きな範囲内で、できる期間を働けたらいいよね。」といった目安になるような憲法なのかもしれませんね。

PENSIER
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関東在住。14年ほどブロガーをやっています。

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