ライカ店舗でM11を触らせてもらいました!
2013年発売のライカM Typ240と比較して簡単に紹介してみます。
ライカM11とは?
ドイツの老舗カメラメーカーであるライカが製造する最新のレンジファインダーカメラです。
このカメラは、ライカの長い歴史と伝統を受け継ぎながら、最新の技術を駆使して設計されています。
まず、M11の目玉とも言えるのが、6000万画素のフルサイズCMOSセンサーです。Typ240と比較すると格段と解像度が高く、風景やポートレートなど、どんなシーンでもブレることなく撮影できます。
外観はライカMシリーズの特徴であるクラシックでシンプルなデザインを踏襲しています。
「一見同じ」ですが実は最新の技術が詰め込まれています。マグネシウム合金製のボディに変更され、軽量でありながら高い耐久性を持ち、持ち運びやすさと堅牢性を兼ね備えています。また、底板を取り外すことなくバッテリー交換が可能となる新設計が採用されており、バッテリー交換が簡単になりました。
ISO感度についても特筆すべき点があります。ライカM11は、ISO64からISO50000までの広範囲の感度設定が可能で、低照度環境でもノイズが少なく、クリアな画像を提供します。これにより、夜間や室内など、さまざまな光条件下でも高品質な写真を撮影することができます。
さらに、ライカM11には新たに導入されたマルチフィールド測光やライブビュー機能、Wi-Fiによるリモート操作など、現代的な撮影機能が充実しています。
M11はアルミニウムボディに?
ボディが今までの真鍮製からアルミボディに変更されました。
昔ながらのライカのマニアはブラックペイントのボディ本体を「エイジング」といって、削れて下地の真鍮が見えるのがかっこいいとされてきました。
そのことを知らず、私はライカ専門店の方に「下地の真鍮が見えてきたので、タッチペンなどで黒くしようと思っている」と言ったところ、マニアではない斬新な答えのようで笑われてしまいました。
このブラックボディが削れてくるのがかっこいいとされているので、今回アルミボディに変更されると、いくら傷がついても下地の色が出てくることはありません。ボディの丈夫さと軽量性を両立するために、今回のように新素材を使うことになったようです。
※写真は削れて地金が見えてしまった私のライカM Typ240
慣れと言ってしまえばそうなのですが、 旧式の方が安心する人も多いと思います。
例えば「レンジファインダーカメラ」と最新の「電子ビューカメラ」の違い、これは、私が思うに車のメーターに近いなと思います。
私は古典的なタイプなので、車のメーターは絶対にアナログの針が付いているものが良いです。自ら発光することがないので、目に優しいですし、 動きも滑らかで物理的な計器なので、安心できます。
2010年頃の車は少し中途半端で、アナログメーターとデジタルな表示が融合しています。2020年以降になると急激にフル液晶に変更されていき、全てが液晶モニターになっている車ばかりです。
エンジンを切った後にメーターの部分がゼロになっていると安心するのですが、デジタルになってからは完全に画面が消えているのでハンドルの奥が真っ暗闇になっています。 これが私はかなり不安で落ち着かなくなります。
つまり、電子ビューカメラもアルミボディのカメラも最新になり、性能はどんどん上がっているのですが、人間の直感的な部分では、昔のモデルの方が馴染みがあるという人が一定数存在するということです。
意外にも動画撮影が非搭載
ちょっと意外だったのが、TYP240のモデルには動画撮影が付いていたのですが、今回は廃止されて静止画だけの撮影となっています。
最近のデジタルカメラには動画撮影機能を付けることが非常に多いので、 その点では意外な選択だなと思いました。
操作性はキープコンセプト
ライカの操作感としてはほとんど同じで、トップの部分のダイヤルの操作が少し変わりましたが、 サイズ感やダイヤルの位置、ボタンの位置などは以前のモデルと似ているので、おそらく2、3日すれば慣れてしまうほどだと思います。
これもまた好みが分かれますが、シャッター音は昔のモデルの方が私は好みでした。
ベースプレート(底蓋)の廃止
私は今まで10年以上のニコン信者だったので、ライカの底蓋交換は非常に面倒でした。
「ニコンなら片手でバッテリー交換できるのに……」だとか、「片手でメディア交換できるのに……」と思っていました。
「ライカのベースプレートは重いし削れるしアカン!」と思っていたのに、実際に底蓋不要になったM11を使った瞬間。
「ベースプレート、あのままで良かったのに……!」(手のひらクルー!!!) になりました。
ベースプレートは 交換するときはすごく大変なのですが、デザイン性が美しいですし、 何よりも金属のプレートに包まれているという安心感があります。これがワンタッチで交換できるタイプになり、 何やら安っぽくなってしまったというか、 一般的なコンパクトカメラと同じ感覚になってしまった残念感があります。
そもそも1回の充電で数百枚を余裕で撮影できるので、頻繁にバッテリーやSDカードの交換は行わない人が多いと思います。
よっぽど一日何千枚も撮影するようなプロであればバッテリー交換が楽な方がいいですが、 趣味で一日二三百枚撮る程度の人であれば、 夜帰ってきたタイミングで充電をしてSDカードからバックアップするタイミングなのでそこまで面倒ではないなという風に思いました。
レンジファインダーが見やすく!
ファインダーの中がクッキリして、歪みが少なく見やすくなったのですが、もともとレンジファインダーカメラ使ってる人は頭がオカシイので、別に高性能になってもあまり感動はありません。
また、ライブビューが高性能化したらしいのですが、1度もライブビュー使ったことないので、これもまた、フーンとなりました。
ライブビューとか好きなら、ソニー?とかフジフィルム?とか、なんかそういうの使ったら良いんじゃないですか?知らんけど……となりました。
私は元々ニコン信者でD2X→D3→D4→D4S→ライカM(Typ240)なので、他社のことは全く分かりません。2018年のキャノン EOS-R発売当初にレビューしましたが、酷い電子ファインダーアレルギーで、あのファインダーの中に液晶画面があるのが絶対に受け付けません。
そんなワケでニコン一眼レフ信者をしていたのですが、結局ライカMのレンジファインダーを覗いて「コク……(うんうん、こういうのでいいんだよ)」となったのです。つまり、オッサン老害はライカMが良いということです。
多分、夜の撮影には最高
デモ機種だけで、ちゃんと試していないのですが、ISO感度の設定範囲はISO 64からISO 50000、画像記録時の色深度は14bit、ということで、夜の撮影はとても良さそうです。
Typ240のISO感度は100から6400。とされていますが、一昔まえのニコンのように常用は100〜400です。ギリ緊急用の800といった感覚です。
NikonD2Xの常用100〜200、緊急用の400よりはいくらかマシですが、現代人のデジカメの感覚でいると酷いノイズによるストレスや画質の劣化があります。
iPhone15proMaxなんて、夜の公園で片手でとってもビビるくらいにキレイな絵が出るので、比較にすらなりません。
なので、Typ240は夕焼けを撮った後は眠りについています。そんなわけで、M11は夜も使えると思うので、ポートレートから夜景、散歩まで楽しめそうです。
総合的にはどう?
まとまりのない文章となってしまいましたが、 オールマイティに一日中撮影したい人は、とても良いボディだと思います。
特に、軽量化もされていますし、性能も全体的に上昇しています。
ただ、昔のライカが好きだった人は、いくつか受け入れられない点が出てくると思います。 これは仕方がないことで、進化の過程で古いものの文化は切り捨てられることがあるからです。
私は車はBMWを何台も乗り継いできたのですが、最新のBMWは同じようにあまり好きではありません。
最新技術が取り入れられて、モニターもiPadのようなものが搭載されて、スマホとの連動も自動化されていますし、メーターやライトも発色のいい鮮やかな青色LEDなどで照らされています。
ただ、私が好きだった時代は2008年以前のもので、 当時のモデルは標準ナビゲーションもないですし、 とてもシンプルで、剛性が高く機械として完成されていましたし、 青色LEDではなく、アンバーの穏やかな明かりで統一されていました。
車もカメラもそうですが、 古いものが好きな人にとって、最新機種を選ぶというのは時に難しいかもしれません。
ですので、たとえ100万円以上するカメラを買う予算があるとしても 安易に今持っているものを処分してしまうのではなく 一度じっくりと最新機種を触ってみて、それでやっていけそうなのであれば 乗り換えるのも良いかもしれませんね
また、それとは別に、まったく今までLeicaを触ったことがないのであれば、最初からこの最新機種を使うことにより、違和感を覚えることなくシンプルに楽しむことができると思います。
いずれにしても、新しいモデルは完成度も高いので、 ぜひショールームなどで試してみてくださいね。