なぜか引っ越しが多い人生を送っており、静岡や東京都内で何度も引っ越しを繰り返してきました。そこで今回は、賃貸マンション選びで注意すべきポイントをおさらいしてみたいと思います。
1.賃貸と引っ越し費用の予算配分
一般的に「家賃は給料の1/3〜1/4が目安」と言われることが多いですが、これはあまりにも漠然としています。例えば、SOHOや在宅ワーク、リモートワークなどで出勤が極端に少ない人や、自宅を中心に生活する人は、家賃の比率を高めて住環境を整える方が良いでしょう。一方で、週6日以上の出勤や、激務で家には寝に帰るだけという人は、シンプルでコンパクトな部屋にしてコストを抑え、その分を外食や衣類、交際費に回す方が賢明です。
まずは、1ヶ月のうちどれくらい自宅にいるかを計算し、そこから家賃の予算配分を決めるのが理想です。筆者も、少し無理をして南麻布のマンションを借りたものの、ほとんど家に帰ることがなく無駄になってしまった経験があります。また、新築や築浅のマンションでは「解約は2ヶ月前までに通知」などの条件があり、短期間の居住では余計なコストが発生することもあります。月々の賃料が高くなると、敷金・礼金や保証料、解約時の賃料なども増えるため、慎重に検討することが大切です。
さらに、火災保険や安心サポート利用料、インターネット代、駐車場・駐輪場の料金など、様々なコストが掛かります。電気代や上下水道代も加わると、引っ越し初月と翌月は「こんなに掛かるのか!」と驚くほどの請求書が届くことも珍しくありません。特に3〜4月の引っ越しシーズンには、引っ越し業者の料金も高騰し、単身で渋谷区から港区に引っ越すだけでも15万円近い見積もりが出ることがあります。余裕を持って計算することを強くお勧めします。
2.マンションの民度を測る方法
静岡市で住んでいた某高層マンションは、驚くほど民度が高く、エレベーターで出会う人は皆、丁寧に挨拶をしてくれました。子供連れの家族や老夫婦なども、「おはようございます」と礼儀正しく挨拶し、エレベーターを先に出る際も「お先に失礼します」と声をかけてくれます。ぶっきらぼうに見えるおじさんでも、夜にエレベーターを降りるときには「おやすみなさい」と言ってくれるなど、居住者全員が家族のように接しつつ、過度に干渉しない絶妙なバランスが取れており、とても住みやすい環境でした。
一方、干渉しすぎる自治体では、ゴミの捨て方を厳しく強制したり、イベントや避難訓練をしつこく要求してくることがあります。逆に、新宿の単身者向けマンションでは、住民同士が挨拶を交わさず、すれ違う際にもお互いに目を合わせず、まるで存在を消すかのように過ぎ去ることがあります。これでは、万一の時に助け合うことは難しいでしょう。バランスが重要です。
マンションの民度を測る方法は挨拶だけではなく、駐輪場、ゴミ捨て場、そして共用部の清掃状態を見ても判断できます。駐輪場がきれいに整列され、子供の玩具や粗大ゴミが散乱していないか、壊れた自転車や廃タイヤが放置されていないかを確認しましょう。また、集合ゴミ捨て場もきちんと使われているかどうかは重要です。
廊下やエントランスホールなど、共用部分の床や壁が汚れていないか、髪の毛が落ちていないか、個人の所有物が放置されていないかもチェックします。よく管理されたマンションは驚くほど清潔で、静岡の某マンションや、渋谷区にある大きな庭を持つマンションも、髪の毛一つ落ちていないほど綺麗に清掃されていました。このように清潔なマンションは、他の様々なトラブルにも迅速に対応でき、安全であると考えられます。
3.カードロックは意外に面倒
セキュリティが高いマンションでは、カードキーとドアの鍵が別々になっていることがありますが、これが意外と面倒です。例えば、両手にスーパーの袋を持っている時は、一度荷物を床に置いてカードキーと鍵を探さなければならず、非常に手間がかかります。さらに、どちらか一方を忘れてしまうと、管理棟に行って事情を説明する必要があり、非常に煩わしいものです。
中には、メインエントランスから自分の部屋まで4箇所もカードキーが必要な高級マンションもあり、しかもカードリーダーの反応が悪く、何十秒もかかってしまうことがあります。その後に自室のドアを開けるとなると、ほんのコンビニに行っただけでもヘトヘトになってしまうことがあります。
最近の新しいマンションの中には、車のスマートキーのように、ポケットに入れておくだけでエントランスが解錠され、エレベーターも自動で動作し、最後に自室のドアだけを物理キーで解錠するシステムを採用しているところもあります。これらのシステムは非常に便利で、両手がふさがっていても自動でドアが開くため、日常のストレスを大幅に軽減してくれます。
4.隣人の騒音問題
よく「壁の薄さには気をつけろ!」と言われますが、まさにその通りです。マンションの壁の厚さは物件によって異なり、音の反響の仕方も様々です。二重サッシの建物であれば外からの音は軽減されますが、幹線道路沿いのマンションでは特に音に注意が必要です。首都高速やバイパスの近くにある場合、夜間に走るトラックの音が部屋に響いて、安眠が妨げられることもあります。
マンションを選ぶ際には、夜間に一度現地を訪れて、周囲の騒音レベルを確認することをお勧めします。裏ワザとして、部屋全体にカーペットを敷き、防音カーテンを使うことで、環境音が劇的に改善されることもあります。
5.空調と換気
立地や建物、周辺環境によって空気の滞留状況は異なります。ある高層マンションに住んでいた時、ビル風が非常に強く、玄関では風に吹き飛ばされそうになり、歩くのが大変でした。しかし、部屋に入ると風はほとんど気にならず、玄関と対面にある窓を両方開けると、一瞬で換気ができるほど風が通りました。好みもあると思いますが、私はこのように空気の通りが良く、一瞬で換気できる建物がとても好きです。
一方で、現在住んでいるマンションは、常に風がほとんど無く、部屋の全ての窓を4〜5箇所開けても、全く換気ができません。ジメジメしていて、部屋にニオイがこもりやすいのが難点です。さらには、ベランダからのタバコのニオイが空調の逆流で部屋に入ってくることもあります。高級マンションでも換気や空調設備が不十分な物件があるため、注意が必要です。
6.日当たり
日当たりも非常に重要なポイントです。ご存知の通り、北向き、南向き、西向き、東向きでは賃料やマンションの販売価格が大きく異なります。特に、日中自宅にいることが多い人にとっては、日当たりの良さは欠かせません。田舎生まれの筆者としては、朝にしっかり日差しが入らないと目覚めが悪く感じます。
北向きで隣接する建物が近い物件などは、朝でも昼でもどんよりと暗く、起きる気力が湧かないこともあります。特に都会育ちでない限り、しっかりと日差しが入る部屋を選ぶことが大切です。
7.スーパーの近さ
料理が好きな人にとって、スーパーまでの距離は特に大切です。静岡の某マンションに住んでいた時は、デパ地下までエントランスから徒歩1分という無敵の環境で、「俺の地下冷蔵庫」と豪語していました。足りない食材や調味料、酒が必要な時は、サンダルでさっと買いに行けたのです。
しかし、今では徒歩15分かけてマルエツ(少し物足りないスーパー)までトボトボと往復しなければなりません。少し良いスーパーに行くためには車で15分かかり、買い物して帰ってくると1時間は必要です。東京に住んでいるので仕方ありませんが、料理好きにとっては、気に入ったスーパーが近いことは非常に重要だと改めて感じています。
8.コンロとディスポーザー
IHクッキングヒーターしかない物件に住んでいた時、私はIHの上にカセットコンロを置いて調理していました。イワタニのガスを24本以上ストックして、疑似的にガスコンロ生活を楽しんでいたのです。電子タバコ派と紙巻たばこ派、あるいは文庫本派と電子書籍派のように、IH派とガスコンロ派も「絶対こっちの方が良い!」と無限に続く不毛な議論をしていますが、両者が分かり合うのは難しいです。つまり、好きな方が設置されている物件を選ぶのが最善です。
料理好きの方には、引っ越し時にディスポーザーもチェックすることをおすすめします。「○○をチェック!」でも書きましたが、「マックス」というメーカーのディスポーザーは本当に優秀です。容量が大きく、破砕スピードも速く、ゴミもほとんど残りません。一方、「安永クリーンテック」というメーカーのディスポーザーを搭載した物件に2回住みましたが、どちらも頻繁に詰まり、業者を呼んだり、自己メンテナンスしたりとストレスが溜まりました。構造が全く異なるため、仕方ないことですが、ディスポーザーのメーカーにも注目して選ぶと良いでしょう。
9.タクシーメインの場合は…
事情により、タクシーや自家用車を利用する生活をしていますが、分かりやすい建物でないと説明が非常に大変です。例えば、「元麻布ヒルズ」と言えば、タクシーの運転手には一発で伝わります。たとえ知らなかったとしても、「元麻布の変な形のマンションです!」と言えば、すぐに理解してもらえます。
しかし、現在私が住んでいるマンションはそうはいきません。「○○○交差点分かりますか?」「そのまま真っ直ぐ行ってください」「次の信号を過ぎたところを右に入って」「そうです、その狭い道です」「突き当たったら左、そのあと右に進んで」「三本目を右に…あ、その白い車が停まっているところです!」「はい、そこです!」と、毎回こんな感じで細かく道案内しなければならない無名の場所にあります。
今では、東京のタクシーは迎車アプリで事前に目的地を確定できますが、流しのタクシーを拾った場合は口頭で説明するしかありません。住所をそのまま入力してくれる運転手さんは少なく、結果として細かい道案内をすることが大変になります。
10.駅メインの場合は乗り換えも考慮して
以前、山手線のある駅近くに住んでいたことがありますが、そこには坂があり、歩くのが非常に大変でした。地図上では駅まで近いように見えても、実際に歩くとヘトヘトになってしまうことがあります。特に梅雨の時期には、雨に濡れながら駅までの道を歩くのが一層つらく感じました。
バス停も近くにあったのですが、東京駅まで行くには何度も停車しながら進むため、1時間近くかかることもあり、「駅もバス停も近いけど、不便だなぁ」と感じることが多かったです。また、駅を利用する際には、複数の路線がある場合、使いたい方向の路線が近くにあるか確認することが大切です。迂回するのが大変なこともあるのです。
例えば、東京駅では、八重洲口から丸の内口までの直線距離は短いものの、自由通路を使って移動すると予想以上に時間がかかります。新宿駅も地図上では近く見えても、地下を行き来するとかなり時間を要します。
さらに、職場までの直通路線がなく、途中の駅で乗り換えが必要な場合、その乗り換えが一苦労です。慣れている人も多いかもしれませんが、田舎から来た人にとっては特に辛い乗り換えの経験になるでしょう。
失敗しない!賃貸マンションの物件選びで注意するポイント
そんなわけで、賃貸マンション選びで失敗しないためのポイントをまとめてみました。覚えておくべき点は、月の賃料が50〜100万円するような高級マンションだからといって、必ずしも快適であるとは限らないということです。セキュリティが厳しすぎて出入りが面倒だったり、近くにスーパーがなく、生活スタイルに合っていなかったりする場合もあります。
上記のポイントを参考に、自分が重視する点をリストアップして、生活にぴったりの物件を見つけてくださいね!