賃貸契約で、敷金礼金0が増えている理由は?

一人暮らしの教科書

10年ほど前までは、敷金2ヶ月、礼金1〜2ヶ月といった契約が一般的に見られました。現在でも、個人の大家さんが貸し出す物件では、同様の条件で部屋を貸すことが多いです。しかし、最近では大手の賃貸専門業者が「敷金・礼金ゼロ」を謳い、初期費用を抑えたように見せかけて宣伝することが増えてきました。

借り主にお得な契約には罠がある?

「敷金・礼金ゼロ」と聞くと、なんとなく初期費用が安くなるというイメージがあり、つい契約してしまう人が多いです。しかし、実際に部屋を見て気に入り、契約段階に進むと「思ったより高い」と感じることがよくあります。その理由として、損害賠償保険や安心サポートへの加入が契約の必須条件になっていたり、新築物件にもかかわらず鍵の交換費用が請求されたり、消臭費用として30,000円以上が加算されることがあるからです。

以前であれば、このような複雑な条件は強要されることは少なかったのですが、敷金・礼金をゼロにする代わりに、別の方法で費用を補填しなければならないため、実際には不要なサービスを借り手に請求する仕組みが増えてきています。例えば、新築物件であっても鍵の交換や消臭が必要というのは、合理的とは言えません。

2018年には、札幌市豊平区平岸にある「アパマンショップ平岸駅前店」で、本来契約された部屋を消臭するためのスプレーを使わずにガスを抜き、その結果引火して大爆発が起こるという事件が発生しました。業者が専門的なクリーニングではなく、1本500円〜1,000円程度の消臭スプレーを軽く撒くだけで30,000円以上請求していたという実例もあり、業界の闇が深いことがわかります。

さらに、ガスや電気などのライフラインについても、指定の会社との契約が必須となることがあり、入居後に割高な費用を払わされるケースも少なくありません。

敷金返還・原状回復費用の減額請求の回避スキーム

敷金が安くなったからといって、安心するのは危険です。現在では、入居者もインターネットで簡単に情報を検索したり、弁護士や行政書士のアドバイスを受けやすくなっているため、貸主側も「敷金返還・原状回復費用の減額請求を回避する方法」を考えるようになりました。以前は、敷金から退去時の費用を引き、さまざまな理由をつけてお金を返さないという手法が一般的でしたが、今ではそれがボッタクリと見なされ、内容証明郵便を通じて第三者から減額請求されることが増えています。

そこで貸主側が思いついたのが、「契約時にあらかじめ退去時のクリーニング費用を同意させる」という方法です。部屋がどれだけきれいであっても、必ず指定の業者でクリーニングを行わなければならず、使っていないエアコンでもクリーニングが必要といった条件が契約に含まれます。これにより、敷金を返さないという形ではなく、退去時に高額な請求をするという新しい方式に変わりつつあります。

さらに、退去時に「請求額が高すぎる」と言われないように、入居時に契約書に分かりにくい形でこれらの条項が混ぜ込まれています。結果として、正しく敷金を支払って還付を受けた方が、敷金ゼロ物件よりも安くなることがあるのです。実際、最近では「敷金を返さない」という会社は減少傾向にあり、入居時に写真を撮って証拠を残し、退去時に立ち会いでしっかり確認していれば、ほぼ全額が返還されるケースも多くなっています。

このため、契約時には特約(原状回復特約・ハウスクリーニング特約など)がどのように設定されているかを必ず確認することが重要です。退去時には何かと費用がかさむため、追加のクリーニング費用が請求されるのは大きな負担となります。最初から退去時の費用を見越して契約することが、後々の負担を軽減する鍵です。

無料Wi-Fiはメールチェック用

最近では、「無料インターネット付き」という甘い言葉で客寄せをする部屋が増えていますが、99.99%の場合、その回線速度は信じられないほど遅いです。例えば、パソコンでYahoo!のトップページを表示するのに1分近くかかることもあります。まるで2000年以前のADSLのような状態で、実測速度は2Mbps以下と、非常に低速の回線になります。

YouTubeは低画質ですら再生がままならず、ブログの更新も時間がかかります。簡単なメールチェックやLINEでのメッセージやスタンプのやり取りといった軽い作業であれば使えないこともないですが、仕事や遊びで利用するには不向きだと考えておいた方が良いでしょう。

3月末になると新生活が始まり、急いで不動産を決める人が多くなりますが、こうした点を知らないと後から余計な出費がかさんでしまうことがありますので、注意が必要です。

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