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半額セールで慌てて買っていけない理由とは?

実はあるカジュアルブランドに少しだけ携わったことがあり、仕入れの実状を知ってしまいました。
今の時代は物が過剰に溢れている時代なので、本当に質の高い良い商品を作っても宣伝力が無いと埋もれてしまいます。不況の煽りを受けて、実店舗で高い値段で良い商品を買うよりも、似たデザインで安いカジュアルなものをネット通販で買ってしまうといったことがあります。

これは一例ですが、ある紳士革靴が格安の2980円で販売されていました。5メートルも離れると本格的な革靴に見えるのですが、本革靴の知識がある程度持っていると手に取る前に「何か変だな」と感じます。
革の質感やコバの処理など、置いてある状態でも「こりゃ激安靴だ!」と分かるのですが、恐る恐る裏返してみると予想は的中、アッパーとソールを接着剤で貼り合わせて加圧密着させるセメント製法だということがひと目で分かります。お情け程度にグッドイヤー・ウェルト製法の糸のあとがプレス形成で再現されています。

ここで驚くのがITALYと書いてある点です。このMade in Italyと書いていないものの、この表記でイタリア製でなければ景品表示法違反と責められても仕方ないレベルです。実際に製造元を特定したワケではないので、ここでは実際にイタリア製であると仮定して話を進めましょう。

明らかに本革ではないけれど、ビニールかと聞かれるとそう言い切れないなぁと質感に悩んでいると、タグに商品の説明がありました。コンポジションレザーというもので、くず革を粉々に粉砕して形成したもののようです。以前、BMWの本革シートはダコタレザーで血筋まで残っているものでレクサスはエンボス形成のインチキレザーだと怒ったことがありますが、このコンポジションレザーというのは家具でいうMDF(中密度繊維板)のようなもので、繊維状にして形成したシートのようです。

気になるのが表面のレザーと呼ばれるものが中国製ということです、そしてインナー部分の生地も中国製と書いてあります。素材が全て中国製にもかかわらず、イタリアと書いてあるのはイタリアで組み立てたからでしょうか?2980円という特売のカラクリが見えてきますね。この商品が中国製だ!とは断定はしませんが、怪しいことは確かです。
安物買いの銭失いというのはよく言ったもので、格安革靴を買うくらいならスコッチグレインの国産革靴をセールで1万円弱で購入した方が、何年にも渡って安心して使うことができます。そもそもソールの張り替えのできない革靴というのは緊急用と考えるべきです。

今のは革靴の一例ですが、値引きされて信じられないほどに安くなっている商品には理由が存在します。
女性用のバッグやワンピース、靴など、どの商品も70%OFFになるようなアイテムは基本的に製造原価が安く、その値段で売っても元が回収できてしまうような品質がおおいです。
安いからといって慌てて買うと、すぐ壊れてしまう、形が崩れてしまうなど長持ちしないのが常です。

中には本当にお買い得な商品もあり、優れた材料で丁寧に製造されているにも関わらず、形が不人気だったり色が不人気だったりと過剰在庫で困った販売者が、格安で売り切ってしまうというものもあります。
このような「ちょっと変わってる」という商品は品質が高いにも関わらず、コスパ抜群で入手できることもあるので「あ!安い!」と価格に踊らされてしまわずに、商品を手にとってじっくり作りを観察してみるのが大切です。

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