FacebookがMetaに社名変更したというニュースをご存知と思いますが、名前の通り既存のSNSを拡張した”メタバース”が主流になると言われています。メタバースとは仮想空間、コンピュータやネットワークの中に構築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指すそうです。
筆者自身、最近まで「メタバース=フェイスブックの新SNSサービス」だと思っていましたが、それは誤りです。昔、アメリカで流行した「セカンドライフ」や日本で圧倒的な人気を誇っていた「アメーバピグ」も厳密にはメタバースに分類されます。
なぜ今からメタバースが流行するのか?
皆さんは映画サマーウォーズを見たことがありますでしょうか。サマーウォーズの世界には、OZと呼ばれる仮想空間があり、そこではアバターで知り合いと遊んだり、リモートワークで仕事を請け負ったり、買い物をしたり、映画や株取引、行政手続き、競技まで存在しています。
映画を公開した当時は、まだスマートフォンが完全には普及しておらず4Gネットワークも少し整備されつつあるような状況でした。映画公開から12年経った今、スマートフォンやスマートウォッチやタブレットなどのポータブルデバイスが完全に普及して、通信網も4Gから5Gに整備されています。
端末の通信速度と処理速度、それに電子決済サービスが急激に成長したことと、コロナウイルスの影響によって外出や旅行が規制されたことから、インターネット上でのコミュニケーションが活発化しています。実際にわずか1~2年で会社の飲み会から街コン、実店舗型の集まりは大幅に縮小されました。
このような背景からメタバースのような仮想空間での、仕事や遊びは今後普及していくと考えられています。
メタバースで何ができる?
先ほども解説したように、メタバース=サービス名ではないので現時点では様々なプラットフォームが乱立しています。数年以内にMeta社がフェイスブックとインスタグラムの膨大なユーザーを、新しく作るメタバースに誘導するという流れが考えられます。
- アバターや部屋など自分だけの空間作り
- 設置したスペースに友人と集まって会話したり音楽、動画を楽しめる
- リモートワークの社員が集まって打ち合わせや会議を行う
- 音楽ライブイベントや映画上映など大人数参加型のイベントを開催する
- ゲーム内のアバターやアイテムを売買する
- 現実世界の商品をメタバース内で売買する
- 仮想通貨や売買や、NFT(非代替性トークン)を用いたメタバース内のオークション
- 企業による商品やサービスの宣伝(販売予定の建物や新製品の車などに見れる乗れる)
- メタベース内での個人サービス(話し相手、作曲や演奏、イラスト、恋愛相談や占いなど)
- マインクラフトのように共同で創作をする
- 任意の組織や集団が仮想空間で集まる
実際に提供されているサービスや、今後出ると思われる項目について箇条書きにしてみました。
この他にも様々な活用方法が出てくるはずです。
メタバースプラットフォーム cluster(クラスター)を体験してみました!
Meta社によるプラットフォームはリリースされていないので、類似のプラットフォームを何個か調べてみて、2016年からクラスター株式会社が公開しているcluster(クラスター)を体験してみました。
アプリケーションはデスクトップ版、VR版、スマートフォン版の3種類のプラットフォーム向けに提供されて、さまざまな環境で使用することができます。実際にこのクラスターでは、音楽ライブやイベントなどが既に数多く行われているようです。
公式サイトにアクセスして、TwitterやGoogleアカウント、iCloudアカウントなどでログインをします。
アカウント名とユーザー名を設定します。
アバターはVRM形式で利用できるそうです。個人で製作したデータを利用できるのですが、今回はササッと体験してみたいだけなので初期アバターを利用してみます。
あまりゲームで遊んだことがないので、ソードアート・オンラインの世界に迷い込んだ気分です。
男性・女性どちらのキャラクターを選んでも問題ありません。
ホーム画面に行くと、デイリーピックアップとしてイベントが紹介されています。
新着ワールドというのは個人が作成して公開した空間のようです。
面白そうなワールドを発見しました!
三菱地所株式会社が公開している、バーチャル丸の内です。早速遊んでみます。
ここで初めて知ったのですが、アプリケーションをダウンロードしないと遊べないようです。
OSX用のアプリをダウンロードしてインストールしました。セキュリティ警告など出るので、検索しつつ有効化します。動作は少し重く何度か再起動しました。
このように、Twitterではアカウント連携を許可してログインします。
「おお〜!」PS版のDOOMを思い出すポリゴンです。ワクワクします。
ここで操作方法が出てきます。
基本的にFPSゲームと同じようにWASDもしくはキーで移動できます。
スペースでジャンプ、アイテムはクリックで拾うことができます。
凄い!と感動したのですが、数分後には歩くのが面倒になってしまいました。
ゲーム慣れしていないオジサンには少しきついと思います。ダッシュとかないかな?と探してしまいました。
色々なところに繋がっていると思ったのですが、この空間しかないようです。
「ビルの中を再現して、自由に見れる」というだけのワールドということを5分ほど散策して気が付きました。
特にギミックがあるわけでなく、スクリーンにCMとBGMが流れているだけです。
驚くほどにツマラナイ!と思って退出することに……。
イマイチ操作方法が分からないので、色々探ってみるのですが、現状では誰もが気軽には遠い感じです。
ロビーというワールドに出てみました。
ここは様々なワールドを紹介したり、飛ぶことができたりします。驚くことに他の参加者を見つけました。
当たり前なのですが、近づいてみるとボイス機能で会話をしています。
近づくと音量が上がっていき、盗み聞き?しているような感覚になります。
コレは面白いな!と思いました。今までMMORPGで遊んだことがないので、この機能が新鮮でした。
このように、おすすめのワールドに飛ぶことができます。
空中アスレチックというので遊んだのですが、落ちたらやり直しみたいな感じのゲームです。
個人がゲームを作って公開できるというのは面白いですね。
一度遊んでロビーに戻りました。
人が近づいたときにエモーションで反応をすることができます。
他のキャラクターが近づいてきたので、何かと思ったらボイス機能は必ずイヤホンをしていないと反響で迷惑をかけてしまうそうです。
椅子に座ったりマグカップを持ったり、ギミックが可能です。
座りながら喋りができるようになっています。
ミュージックビデオのようなワールドもあり、3Dで描写されるエフェクトは新感覚です。
メタバースプラットフォーム cluster(クラスター)はどう?
まだ技術的に生成期から成長期に向かう状況なので、グラフィック性能や商用的な利用がまだ未熟というのは否めませんでした。ただ非常に面白いと思ったのは、既存のSNSではできない「半端」を再現できるということです。
例えばインスタのLIVEや、YoutubeLive、ニコニコ生放送などリアルタイム配信が存在しますが、「参加している」「参加していない」というのが明確に分かれています。メタバースプラットフォームの場合は、音楽フェスのように有名人の演奏を聞きながら友達と話す、演奏を抜けて違うブースに行って、また何となく戻ってくる。
このように「離脱」という概念があいまいになるので、現実世界に近いと感じました。
仲の良い友人たちで会話していても、ちょっと離脱したいときは距離を離れたら「あ、○○くんどっか行った」と現実で集まっているように自然に距離を置くことができます。既存のサービスだと、「一回離脱します」「ちょっと用事があるので」といって回線を切ったり、突然ログアウトして心配されたりします。
今後メタバースが成長していき、グラフィック性能の向上やVRゴーグルに最適化、参加者が増えて商業的な成功を収めたら、アニメSAOの世界のようにメタバースの参加者が一日中”潜っている”という現実も近いかもしれません。
今までの通信販売はアマゾンや楽天市場のように能動的に欲しい物を探してクリックしますが、メタバースが普及したら本当の人間、または本当の人間のように振る舞うAIと会話しながら、「今度デートの服を探していて〜」と雑談しながら現実の衣類を買うこともあるかもしれません。
そんな近未来的な世界観をクラスターでいち早く体験してみるのも面白いです。