コンテンツへスキップ

ウイスキーの空き瓶が超高額で売れる理由とは?

実家にある飾り棚から「山崎18年」や「響」なんかが発掘されたら大騒ぎ、当時1~2万円程度だった国産ウイスキーが20~30万円以上になっていることも。最近は人気により発掘されつくしている感じもありますが、ヤフオクを見ていると国産ウイスキーに関連した不思議な出品を見かけます。詳しく調べてみると空き瓶に数千円どころではなく、最高金額で140万円もの空き瓶が落札されているのを発見しました。そこで、どんなウイスキーの空き瓶が高額になるのか、また何故こんなにも高価に売買されているのか推測してみます。

令和3年8月19日現在の最高金額は『【希少】サントリー 山崎35年 2006 ウイスキー 空き瓶 木箱 THE YAMAZAKI SINGLE MALT WHISKY 7440001』なんと1,400,000円で落札されています。
中身のないウイスキーの瓶としては信じられない金額です。

空き瓶をインテリアのディスプレイにしている

ネットで検索してみると、ウイスキーの空き瓶は主に「インテリアとして使われている」と紹介されています。
確かにウイスキーの空き瓶はおしゃれなものもありますし、それが希少品であればインスタ映えもします。
高級ワインの瓶なんかは、フレンチで飲んだ記念として瓶を持ち帰って飾るひとも少なくはありません。

普通に飾るだけでなく、ボトルシップやボトルフラワーのように空き瓶の内部に模造の船や、ドライフラワーなどを入れて加工する方法もあります。想像でしかありませんが、そういった用途に掛けるのはせいぜい千円から5千円程度ではないでしょうか?
自然に考えると、1万円以上出せば良いウイスキーが新品で購入できるわけで、それまで空き瓶に価値があるとは考えにくいです。

飲食店の箔付け、または詰め替えの不正利用(?)

空きボトルを見ていると高額で取り引きされているのは主にジャパニーズウイスキー、続いてマッカランやボウモアなどのスコッチです。
これらは2000年当時10万円ほどでしたが、現在では未開府であれば50万円以上で取り引きされています。

『◆激レア!!◆The MACALLAN マッカラン 30年 ブルーラベル シェリーオーク 空瓶 空き瓶 空ビン 空きビン 空ボトル 空きボトル 青★木箱付き! 』 落札399,980円 入札2 終了日時06/20

1本のボトルと箱に40万円も出しているのです。それも複数の出品と落札があります。
単なる個人のインテリアとして使用されていると考えるのは不自然です。そうなると用途はいくつかあり、一つは飲食店やバーに箔をつけるために用いられている可能性があります。

港区の麻布十番などにあるバーには、これら1ショット30mlで数万円取るような高級な店も存在します。そうなると新規オープンした店の中には、未開封に数百万円は出せないけれど泊をつけたいという理由で、空のボトルに別のウイスキーを入れて提供してもおかしくありません。

歌舞伎町や六本木なんかの一部の店では、「一番高いやつもってこい」というような味が分からないけれど、お金があることをひけらかすために注文する客も一定数存在します。もし味が分かる客でも「山崎35年」に山崎の12年と18年をブレンドして、仕上げに濃いシェリーフィニッシュのモルトを混ぜられたら、それを「偽物だ!」と声高々に言える客は本当に少ないはずです。
一度本当に飲んだことがある人でも、よほどウイスキーマニアか精通した人物でないかぎり「こんなもんだったな?」と納得してしまうはずです。
界隈で有名な人物が来店したときは、「これは開けてみたものの状態が悪いんですよ」と断れば、注文を避けることができます。

参考記事:高級ウイスキーをフリマアプリで買ったらなんか味が違う(INTERNET Watch)

空き瓶売買は中国、東南アジア、ヨーロッパでの偽物作りに加担している(?)

貴州茅台酒 マオタイ酒 天女 空瓶 空ボトル 総重量919g MOUTAI KWEICHOW 中国酒 落札352,000円

先ほどのマオタイ酒の空ボトルの落札履歴を見て思ったのですが、日本人が家で飾ったり、怪しい飲食店で偽装される以外にも、ウイスキーの空き瓶が超高額で売れる理由がある気がしてなりません。
マオタイ酒とは中国の貴州省特産の高粱(トウモロコシの原種であるモロコシ)を原料とした白酒ですが、近年は金と同じように投資されて、中国バブルを象徴しています。熟成期間が短いことから、希少性を演出するためにも生産量を絞っています。そして偽物が大量に流通して、中国政府が取り締まりを厳しくしているようです。

ウイスキーの空き瓶を調べていると、

入札履歴:(空瓶のみ)響17年 12本セット 空き瓶 空瓶 響ウイスキー
8*d*1*** / 評価:109 落札者 71,800 円 1 6月 14日 19時 49分
入札履歴:(空瓶のみ)響17年 12本セット 空き瓶 空瓶 響ウイスキー
8*d*1*** / 評価:109 落札者 61,800 円 1 5月 17日 17時 21分

このように同一人物が、1ヶ月以上も間隔を開けて落札していることが分かります。
響17年の空きボトルを、見つけた限りでも24本は入手していることになります。1本あたりの取得価格は5,566円です。ことから証拠や確信は無いのですが、入手した空ボトルを詰め替えて利用している可能性があります。

ワインの偽物は昔から存在してる

ヤフオクではウイスキーだけでなくワインの空き瓶も数多く流通しています。ワインの方は古くから詐欺に利用され、遅くとも1930年代にはブルゴーニュワインが、偽物のエチケットが貼られてアメリカに出荷されています。あまりにも偽物の流通が多いために、原産地呼称の統制が取られていたという経緯が存在します。
現代ではDRCやアンリ・ジャイエのクロパラントゥなど、日本のインポーターのラベルでありながら中身が別物でコルクの刻印が無いなんてものも平然と流通しています。
あるワインショップでは複数のワインの液面が減ってきたからという理由で、一度抜栓して6本を5本にして販売したといった話も存在するほどです。元詰のドメーヌがリコルクを行うだけでも、酸化防止の窒素を利用して慎重に行うというのに、日本のショップが行ったものはかなり怪しいと考えた方が良さそうです。

そんなわけで、ただの「空き瓶」されど「空き瓶」。ヤフオクで高額で売ったはずのボトルが巡り巡って、更に高額になって手元に戻ってきたなんてことがないように気をつけてくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

都会の喧騒を忘れさせる『朝香珈琲』。東京各地の魅力をブレンドに込め、洗練されたデザインのパッケージで、あなたのコーヒーライフに上質なひとときを提供します。
copyright otonaninareru.net