居酒屋で60代以上のお爺さんと話してると、たまに話題に出ることのある電話加入権。今では信じられないのですが、1990年代くらいまでは加入権の買取屋と販売屋が数多く存在して、価格がピークのときは1回線20万円以上で電話加入権が転売されていたようです。「え、普通にNTTに連絡すればすぐ電話線引けるんじゃないですか?」と聞き返したのですが、どうやら当時は固定電話の設置が非常に混雑していたようで、今のように無料に近い金額で即設置はできなかったようです。
その加入権とやらが曲者で、経理上は減価償却ができない資産でありながら、現在の実質的な価値はゼロ円に近いというもので、持っている誰しもが諦めている資産なのです。
固定電話はステータスだよオジサン
そんな過去の事情から、家庭に固定電話があるというのは信頼の証。ローンを組んだり、クレジットカードを作るときも「固定電話(必須)」「携帯電話番号(任意)」という時期があったほどです。
2000年代までは履歴書に固定電話が無いと「この人は信用のない人だ」と落とされる理由の一つになることもあり、社会的な信用の尺度にさえなっていました。
ところが携帯電話の普及率が極めて高くなり、小学生でさえ自分のスマホと専用番号を持つようになった結果、家族が居ても固定電話を備えない家が増えました。そうした経緯もあったためか、ローン会社やクレジットカードも携帯電話だけでも通るようになったといいます。
固定電話に絶対に出ない若者
今どきは2000年前後に生まれた若者が社会に出ているのですが、中には固定電話を使ったことが無い人もいるようで、そんな彼らには会社の固定電話を受けることに恐怖を覚えるそうです。
携帯電話は発信元の電話番号が通知されますが、固定電話はナンバーディスプレイが付いていないと誰から掛かってきたか分かりません。それが固定電話を使っていなかった人には心理的負担となるようです。
時代の変化が早すぎる?
固定電話に出れないサラリーマンの話を聞いて衝撃を受けたのですが、世の中は更に変化が進んでいるようで携帯電話番号さえ持たない若者が出ているようです。ある中小企業の人事から聞いて衝撃的だったのが、「スマホの番号ないのでLINEのIDでもいいですか?」というもので、スマホにはSMSショートメッセージしか付いていなく電話番号での通話ができないそうです。
スマホの通信料金が高いというのは昔のことで、今では格安SIMの登場によって月額1,000円以下のプランも続々と登場しています。それでいながらLINE通話無制限など存在するので、本当に驚きの連続です。
「パケ死」「パケホーダイ」さえ死語になった現代では、固定電話はオジサンの象徴なのかもしれませんね。