思い出を作りたければ紺色の車に乗ろう

PENSIER

世界中の車の非常に多くが白、黒、シルバーと言われている。

確かにぱっと周りも見回してみても、車はこの三色が圧倒的に多い。新車の販売では、約25%つまり4台に1台が白だという統計もある。近年はかのアップル社製品のイメージとミニマルなデザイン志向がリンクして、白が人気だという。

白はどんなときでも車が主役になるし、黒は都会に溶け込むクールな色だ。シルバーの車はビジネスにも使いやすく、心強い。

しかし車と共に思い出を作りたいのであれば、紺色の車を選んでみてはいかがだろう。

これはリナシメント編集部からの、ささやかな提案だ。

自然の色を取り込む車の色

そもそも日本で人気なドイツ車には、白や黒、シルバーといった色が非常によく似合う。

夜の首都高、緩やかなカーブで軽やかに自分の車を追い越していったシルバーのポルシェ911のテールランプを見ていると、シュトゥットガルトで生まれた工業製品の美しさが実に東京に合っていることを感じる。

スポーティなアルピンホワイトのBMW、ややブルーがかったフレッシュなシルバーのアウディ、そして黒いAMG仕様のメルセデス。これらは都内の日常生活によく似合う。

それに比べると紺色は、やや存在感が希薄に見える。

それはなぜかといえば、紺色には自然の色が必要だからである。

紺色の車は同じ場所にとめても、時間や季節で全く違う色になる。

快晴の空、夕暮れのグラデーション、木々の色。日の光と、刻一刻と動いていく影。こういったものを取り込んで、自分の色としてしまうのが紺色の面白いところだ。

エレガントに佇む

先にも書いたように、白の車は主役だ。どんなところにあっても強烈な存在感があり、そのスタイルを際立たせる。

それに比べて紺色の車は、実に控えめだ。しかしどこに停めても、エレガントに佇む車と言える。

出かけた先で自分の車を振り返れば、決して主役として全ての前に立つのではなく、景色の一つとしてそこにいる姿に感動するだろう。

紺色の車に乗っているときには、車だけが主役ではない。履いているダークブラウンの靴、イエローゴールドのクラシカルな手巻き時計、ナポリ製の真っ白なシャツ、ベージュのリネンジャケット、年季の入ったボストンバッグ。全てがその旅の主役になって、記憶に残る。

何を着て、何を身につけ、どんなラッゲージを持って旅に出ようか。

そんなことを自ずと考えさせられるのが、紺色の車の面白さなのだ。その車について思い出したとき、自分がどんな服装で、誰とどんなところに行ったのか、すぐに思い出させてくれる。

思い出を作りたければ紺色の車に乗ろう。

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