[ネタバレ感想]名探偵コナン 紺青の拳と時計じかけの摩天楼

(ネタバレ&駄文ですみません)劇場に行くと10代のファンと並んで20代後半のファンも多い名探偵コナン。
小学生以来、筆者もこっそり劇場版を見に行っているのですが、初代の劇場版と対比して最新の「紺青の拳」について感想を書いてみます。

年々つまらなくなってゆくコナンの劇場版

昨日の記事のように老害と言われてしまえば終わりなのですが、全てのコナンの映画を劇場で見てきたファンとして年々つまらなくなっていくのを実感します。特に登場人物が増えて、女子受けのする安室透を全面に出してからつまらなさが加速しました。
初代の「時計じかけの摩天楼」は非常にシンプルな話で、ネタバレすると、犯人である森谷帝二が自分が若い頃に設計した建築を次々と爆発するのですが、登場人物がとても少なくコナン一行と犯人、市長しか出てきません。そして所々に犯人の残した痕跡やメッセージを強調してあり、映画を見ている人の中で鋭い人であれば犯人を特定できる部分が3~4回出てくるのです。初期の左右非対称のアシンメトリーの話やパイプの煙、都市建築計画の頓挫など、2回以上見ると「これはよく考えたら分かりやすい!」という場面が豊富にあります。

しかし、近年の劇場版は何度見ても犯人を推測するのは困難を極めます。そして非常にテンポが悪いのです。
「紺青の拳」もネタバレになるのですが、犯行動機やトリックが全く予想が不可能で、何回見たとしても犯行を推測することができません。舞台がシンガポールなので仕方ないのですが半分以上が英語の吹き替えで、暴漢に襲われるなど男女のトラブルや交通事故、など感情的に訴えかけるシーンが多いのです。そして肝心の主役のコナンもコナンとしては登場せずに、現地の少年”アーサー・ヒライ”と名乗り一行と行動します。
あらすじも複雑で焦点が定まっていません、沈没船からのブルーサファイアの引き上げを本質にしたかったはずなのですが、そこに至るシーンが後半の犯人推理まで出てこずに、見ている人からして絶対に謎が解けない状況にあるのです。

人気キャラクターの受けを狙って、京極真や怪盗キッドなどサブキャラクターを出すのですが、どこか中途半端でルパン三世のようなアクションが主体になり沈没船からのブルーサファイアを引き上げたという最後の推理と全く繋がりがありません。

キャラクター、登場人物をどんどん増やした弊害として満遍なく出さなければならないというプレッシャーからか、ストーリーがぐちゃぐちゃになっています。
劇場版でお決まりの博士のクイズなどを前半すぐに持ってくるなの、本当に苦しいストーリー展開となっています。
とりあえず爆発という展開で、ストーリーに緊張感がなく、これなら初代の「時計じかけの摩天楼」の方が遥かに緊張感があり、20年以上前なのに未だに見ていてドキドキとする展開の速さです。

映画の心地よさというのは、そのテーマに沿って観客を置き去りにせずに着いていきやすい内容になっていることです。登場人物が多くなり、シナリオが複雑になって、各キャラクターの内容に反れると2時間の映画ではまとまりが失ってしまいます。

裏切りの裏切りは映画には不要

よほど緻密に練られたストーリーで無い限り、「裏切り者の裏切り者」といったシチュエーションは観客の疑問を増やすばかりで、すっきりとした展開にはなりません。
特に警察の中に裏切りものがいた、なんてのはつまらなさを加速させます。キャラクターが強すぎるというのも見ていて飽きやすく、主人公の不完全さというのが人間的で面白さを生むのではと思います。

中でも、シンガポールの街作りとブルーサファイアの関連性が乏しすぎます。その点で初代の「時計じかけの摩天楼」は一番始めから犯人の森谷帝二が全くブレずに、建築デザインの重要性や、シンメトリーへの非常に強い拘りを何度も繰り返していたので筋が通っていて、「なるほど」「やっぱりな」と腑に落ちます。感の良い人なら、途中で真犯人が分かってしまうというのも推理映画として正しいと言えます。

主人公とテーマを絞るしか他にない

安室透が出てこなかっただけマシなのですが、とにかく登場人物が多すぎる。もし怪盗キッドを主体で出したいのであれば、コナン・怪盗キッド・本当の敵、という3者に絞って、テーマに沿って進めるべきです。
紺青の拳は本当の敵が2人(レオン・ローとリシ・ラマナサン)取り巻きの海賊が出て、怪盗キッドとコナン、欄と園子と京極真の恋愛沙汰、そこに弁護士(シェリリン・タン)の殺人事件や秘書(レイチェル・チェオング)の殺人事件、ブルーサファイアの引き上げ(ジョンハン・チェン・都市計画)と中富 禮次郎(海上運輸と不祥事のもみ消し)、空手の格闘(京極真・ヘッズリ・ジャマルッディン)、レイチェル・チェオングとおっちゃんの接触、そこに灰原哀と少年探偵団。

もう何が何やら分からない状態です。
過去のコナンの映画に面白いものはたくさんありましたが、登場人物が整理されていて観客が着いていけるところにあります。特に映画監督のこだま兼嗣の作品は起承転結がハッキリとしていて見ていて痛快です。

黒ずくめの組織と、どう帳尻を合わせるか

これだけでも大風呂敷を広げた状態ですが、ここから更にFBI,CIAなどの組織と警視庁、ゼロなどと黒ずくめを追わなければいけないので本当に大変だと思います。
それでいて観客を置き去りにしない映画というのは難しいかもしれせんが、今後もキャラクターが増え続けて難解な腑に落ちないトリックが増えるのであれば、昔の作品の方が面白かったと言わざるを得ないので、原点回帰に期待します!
(アラサー老害の感想ですみません)

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