ドラマを見ると、重厚感のある広い邸宅にメイドさんや家政婦が忙しなく動き回っているのを見ます。
実際にとある家政婦サービスを利用したR氏のインタビューを元に、家政婦サービスを利用するときの注意点について話します。
家政婦・ハウスキーパー・メイドは大きく2種類に分けられる
住み込みなどの直接雇用
R氏によると、名家・由緒ある家系の邸宅には、住み込みの家政婦や運転手が居るそうです。
ある地域の邸宅には、二代目・三代目と家政婦や運転手などが親子の世代を跨いで勤仕することも合ったそうです。90年代までは多かったそうですが、2019年現在では跡継ぎや相続で土地・権利が細分化したりとで、直接雇用で家に住み込みさせる人は少なくなりました。
直接雇用する利点は信頼性が高いということです。子供の面倒を安心して任せられ、家族の一員のようにして何でも任せることができます。また秘密保守の面から言っても踏襲の形は優れています。大企業を経営している人も多く、家の内では秘密を得てしまう事もあるので、信頼性の面からも直接雇用は有効的です。
直接雇用で住み込みさせるとなると豪商のような財力が必要になります。邸宅にはシャワールーム・レストルームを完備したメイド部屋。24時間対応させるには交代制か複数人雇う。秘書件運転手も必要でしょう。
そうなると1人雇うコストが年間数百万から一千万円以上掛かってしまいます。冒頭のように世帯収入が何億円も無いと直接雇用する事は難しいでしょう。
家政婦紹介所
現在は家政婦紹介所や、家政婦派遣会社を通して、担当者が派遣されるのが一般的です。
これにより手頃な価格で2時間5,000円などで依頼する事ができます。週に3回2時間お願いしても6万円で利用できたりと、一般家庭でも依頼できる手頃さになりました。
会社によっても異なりますが、初回にアドバイザー役が来て、「何をして欲しいのか」などをカウンセリングします。そこから適性がある人員を派遣するのが一般的のようです。初回のハウスキーピングではアドバイザー役が同伴して適切な掃除ができているか管理をします。
しかし、いくつかの注意点もあります。
価格が安いほど信頼性が乏しい
例えば2時間3,000円の家政婦派遣があったとします。忙しい共働きの人には「便利」と思うでしょうが、信頼はできません。1,000円を会社が手数料として得て、残りの2,000円が賃金となります。交通費や通勤時間を除いて時給1000円ではコンビニのアルバイトなみの人が来ると推測できます。金額が高ければ良いというわけではありませんが、ダスキンのようなプロのハウスクリーニングでは二人一組で掃除に来ます。
一つづつ指示をしなければいけない
食器の置き場や、食材の残りの管理、床の掃除や風呂の掃除など、「適当にやっといてくれ!」という訳にはいかず、始めのうちは1つずつ全て説明しなければいけません。「これは捨てる、これは残す」「ああ!これは食べかけだから捨てないで!」など依頼者とハウスキーピングの意思疎通がうまくいくとは限りません。こだわりが強いひとだと「ああもういい!自分でやる!」となるかもしれません。意外にイチから家の作業を説明するのは面倒なものです。
年配者しか働かない
家政婦、ハウスキーパーでは20代~50代の人員は少なく主に60代以降の人が来るそうです。てっきり大学生位のアルバイトが来るのかと思いましたが、業者によっては定年退職後の働き口として雇うそうです。そうなると意思疎通や掃除の依頼を正しくこなせるかは、その人次第となります。在宅中に掃除をしてもらうには居心地などの問題もあります。
ハウスキーパー担当者が入れ替わる
ハウスキーパーにも仕事のシフトがあるので、日によっては担当者が入れ替わることがあります。すると、再び説明する必要があるのです。「あれ?どこいった?」と別の場所に仕舞われることもあります。
リラックスするはずの家に、知らない人が居るだけで緊張します。これではお金を出して片付けてもらうのがストレスになってしまいます。
トラブルの対処など
利用者の多くは金銭的に余裕があるので、家の中に貴金属や貴重品がある事が多いです。特に指輪などのアクセサリーやバッグなど乱雑に管理している女性もいます。ズボラな人であれば玄関にポケットの中のお札(数万円)と小銭をボコッと置きっぱなしにする人もいます。
ハウスキーパーは身分証明や連帯保証などで安心できる人がほとんどですが、中には部屋のものを盗んで持ち帰ってしまう人も居るそうです。もちろん盗む人が悪いのですが、時給千円の人が床にゴミと一緒に乱雑に落ちたお札を見て魔が差しても責められない一面もあるでしょう。そういったトラブル予防のためにも信頼のできる会社、担当者をつける必要性があります。
またプレッシャーを掛けすぎてもいけません。この食器は10万円するから丁寧に洗うように。なんてのは余計に緊張して破損のリスクが高まります。多くの会社は保険に加入していますが、高額なものを闇雲にさわれせるのも危険です。
そんな訳で、一概に「家事が大変だから」と言って家政婦を雇うのも簡単に行かない一面もあるのです。