産経新聞の「太陽光発電は人を幸せにするか」というタイトルを目にして、伊東・伊豆高原のメガソーラー建設問題を知りました。
普段はファッションやライフスタイル、ネタ記事などが多い大人になれる本編集部ですが、メガソーラーがなぜ問題になっているか記事にして再確認してみます。
【太陽光発電は人を幸せにするか】(1)法の規制を受けず 反社会勢力、外国の土地買収…このままでいいのか(産経新聞)
端的に説明すると、海外資本の会社などが再生可能エネルギーの名のもとに、地方の森林を伐採して大規模なソーラーパネルを敷設しています。
筆者は環境問題などに今まで余り関心が無かったのですが、ここ数年で地方のメガソーラー敷設の計画が多数なされて、静岡県伊東市(伊豆半島)以外にも山梨県北杜市(白州周辺)や那須塩原(那須高原)、兵庫県赤穂市、鹿児島県霧島市、など様々な場所で反対運動や現地住民とのトラブルが発生しています。
いずれも日光が当たり、まとまった土地が確保できる場所に敷設されていて、上記に上げた多くは森林に囲まれた観光地・避暑地などでとても素晴らしい地域です。
大人になれる本でも那須高原や霧島、白州など紹介することもありますが、まさかメガソーラーの問題が起きていたとは知りませんでした。
景観の悪化と土砂崩れなど自然災害の危惧
焦点となっているのは、景観の悪化と土砂崩れなど自然災害の危惧です。
伊東の例を上げると105ヘクタール(東京ドーム約20個分)に相当する高原が事業者によって買い上げられて、その半分近くにソーラーパネルが設置される予定です。伊豆・伊東は観光が主な産業のひとつですので、これだけ大きなソーラーパネルが設置されると確実に景観が悪化すると言えます。
緑の森の中にギラギラするソーラーパネルがあれば、せっかく息抜きに旅行してもがっかりしてしまいます。一度敷設されれば何十年も同じままで行政指導や裁判の判決が出ても撤去させるのは難しいと言えます。
二つ目は森林があることによって降雨の保水がなされて、陸地にゆっくりと水が流れ出しますが、それらを伐採することによって土砂崩れが起きやすくなるという事です。メガソーラーの近隣の村にとっては死活問題と言えます。
また上流から河口に向けて土砂が流れ込むと、漁業にも影響が出ます。業者側の言い分として、これらを解決するために溜池を用意したり様々な対応をするとしていますが、実際にどのような影響が出るかは完成してからでないと分かりません。
さきほど紹介した地域ではミネラルウォーターの採水を行っている場所も多く、現地の生活用水だけでなく、ミネラルウォーターの採水にも影響が出る可能性が指摘されます。
静岡県と伊東市は事業者に協力的
静岡出身の筆者自身この問題について「大変だなぁ」と他人事のように思っていました。しかしニュースを見ると静岡県知事(川勝平太知事)がメガソーラーの森林地開発の許可を出したり、伊東市・市長(小野達也市長)も事業推進で工事を認可するなど、行政が現地住民をさしおいて事業者を優遇するなど雲行きが怪しい状態のようです。
もしソーラーパネルの設置の業者が、その地元の業者であり現地住民の民意であるなら、あれこれ言う必要はないのですが、海外資本の会社が日本の美しい観光地や避暑地を利益のために開発するとなると別問題です。
伊東市の例では、すでに「伊東メガソーラー建設の中止を求める会」や「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」など民間団体が動き、伊東市と静岡市の弁護士で構成される弁護団が訴訟の準備を進めるなど行っているようです。
多くの人が「まぁなんとかなるだろう」と他人事に思っていた問題が、行政ではなくもう個人によって抵抗する域にまで達しています。ここで食い止められないと、今回の計画している業者だけでなく、別の業者が続々とメガソーラーを敷設してしまう可能性さえあります。
今回は少々偏った記事で、こういった問題はなるべく中立的な考え方が必要ではありますが、このメガソーラー建設問題に対して、より多くの人が意識を向ける時期であると言えます。そして筆者の安直な意見ではありますが、日本の地方にある美しい森林と水が長続きして欲しいと願うばかりです。