ボジョレー・ヌーヴォーは本当に美味しいのか
「100年に1度の仕上がり」「50年に1度の出来栄え」「今世紀最高」など例年すごいキャッチコピーと共に発売されるボジョレー・ヌーヴォー。
ワインに余り関心がない人は、ボジョレー・ヌーヴォーとは具体的に何か知らないまま飲食店で飲んでいるようです。ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランスのマコンとリヨンの間、ボジョレー地方の山のふもとで作られたワインの新酒の事です。
新酒とはその年に作られたばかりのもので、例年9月頃にぶどうを収穫して醸造を行い瓶詰めして、わずか3ヶ月も経たないうちに出荷します。
このため、とてもフレッシュでフルーティー。まるでジュースのような味わいと言われるのです。
2018年ボジョレー・ヌーヴォーなぜ不味いと言われるのか…
「ボジョレー・ヌーヴォー?不味いやつね!」と思っている層も多く、ボジョレーで騒ぐ11月を軽蔑している人達もいます。なぜ不味いと言われるのか…。
それは熟成感が無く香りも乏しく、ただ甘いジュースのようで不味いということに由来します。またアルコールの質が低く、缶チューハイのように翌日に頭痛が起こる人も多いです。ボジョレー・ヌーヴォーは特に日本に人気があり輸出用として大量に出荷されるので、品質が悪いものも多く出回っています。ですので、不味いという印象が残りやすいのです。
フランスではワインに補糖と言って砂糖を規定以上加える事を認めていないのですが、ボジョレー・ヌーヴォーを作るのにあたって大量の砂糖が、隠して持ち込まれているとニュースの記事にもなっています。
酵母を入れてアルコール醗酵させるのには糖が必要です。それを早い時間で、大量に作るとなると砂糖を添加すれば効率が上がるのです。もちろんアルコールの質や味わいにも影響が出ます。しかし輸出用で味のわからない国に出荷するとなれば効率を追求するのも自然なことといえます。こうして不味いボジョレーが日本にあふれているのです。
ただし、同じボジョレーでも「ヌーヴォー」でない物がとても美味しかったりするのです!
ウマいボジョレー・ワインはずばりコレ!
サン タムール セリエ デ クロ ルイ ジャド
Saint-Amour Cellier Des Cros Louis Jadot
|
サン・タムール (St. Amour)✕ ルイ・ジャド(※コート・ドールでグランクリュ畑を多数もつブルゴーニュの名門ドメーヌ)
まあ、そりゃウマいわな!という組み合わせです。
クリュ・ボジョレーと言ってボジョレーワインのうち、特に優れたワインを生産している10地区に与えられたAOCで作られています。
サン・タムール (St. Amour) シェナ (Chenas)
ジュリエナ (Julienas) シルーブル (Chiroubles)
ブルイィ (Brouilly) コート・ド・ブルイィ (Cote de Brouilly)
フルーリー (Fleurie) ムーラン・ア・ヴァン (Moulin a Vent)
モルゴン (Morgon) レニエ (Regnie)
この地域の名前がラベルに付いたボジョレーワインであれば、まず美味しいと言えます。この下にボージョレ・ヴィラージュ(村)というAOCもありますが、10地区のクリュと異なり、44地区の村が名乗れます。
つまり、ルイ・ジャドではなくてもクリュ・ボジョレーであれば美味しいワインに当たる確率が非常に上がるのです!どこも丁寧に作っているからです。
美味しいボジョレー・ヌーヴォーが飲みたければ価格を重視
酒屋に行ってぱっと買うときに、必ずしも優れたAOCが置いてあるわけではありません。そこで美味しいボジョレー・ヌーヴォーを買うコツですが、それはずばり価格帯が高いものです。
例えば千円のボジョレーが美味しいはずがありません!日本酒でも安い四合瓶が千円するわけで、それをフランスに持って行って売れば関税や輸送、代理店のコストで3~4倍の価格になることは理解に容易いはずです。逆を考えれば3~4千円のボジョレーを買えば、現地である程度丁寧に作られたボジョレーが飲める訳です!
冒頭のLeo Selectionのように、少し高いボジョレーを買うと抜栓した瞬間から、ガメイ特有の熟れたバナナのような芳醇な香りが漂ってきて、うっとりしてしまいます。もちろんブルゴーニュのコート=ドールで作られる特級畑の方が優れていることに違いは無いのですが、パーティーで友人たちとワイワイ楽しむのであれば、ブルゴーニュよりもボジョレーの方が楽しく鮮やかに飲めます。
ですので、安くて不味いボジョレーをガブガブ飲むのではなく、少し高いけど丁寧に作られたボジョレー・ヌーヴォーを、もしくは本当に丁寧に作られたクリュ・ボジョレーを仲間で楽しむのがお勧めですよ!