高級スピーカー、タンノイ(TANNOY) Precision 6.4の音質レビュー

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伝統を払拭した新しいブリティッシュサウンド

先に言ってしまうと、タンノイ・マニアはこのスピーカーをよく思わないでしょう。なぜなら今までの伝統的なタンノイからは想像も付かないほど近代的なデザインとシルエット、またサウンドまでが過去から一新されているからです。

ゆったりと落ち着いた王道のタンノイと比べると、このPrecision 6.4は似ても似つかぬ存在です。
チーク材やウォルナットで出来ていた家具のようなキャビネットは、まるで最先端のB&Wのような造形になりピアノ仕上げが施されています。ウーハー部分にはツインマグネットを使用したフルレンジユニットが、その下には6インチ(150mm)同軸ユニットが3基積み込まれています。

驚くほどにシャープで鮮明な音

このスピーカーは例のごとく静岡のAVBOXさんで手頃な価格で譲って頂いたのですが、試聴する前には「タンノイなんでオジサン臭い…。モヤモヤもったりした音でしょ?」と熱心なB&W信者の筆者が一瞥していたのですが、実際に聞くと某ダイヤモンド何とかに負けない程にシャープでクリアなサウンドが響き渡りました。

これに、すっかり驚いてしまったのは言うまでもありません。今までのタンノイが古臭くて微妙だな、と思っていた層にとっては革新的なシリーズとなりました。

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具体的に何が凄いのかというと、距離を離れて聞いても立体的なまま音が混ざらないのです。比較的安いスピーカーにありがちなのが、スピーカーをセッティングしてクロスする一番良いスポットでは音が綺麗だけれど、離れて聞くとぐちゃぐちゃになってしまう、という現象があります。

ところが、このPrecision 6.4は何メートル離れようと、別の部屋で作業しようと、まるで音量を絞ってその部屋で聴いているかのごとくクリアな音になるのです。DAW(パソコン)で作られた音源の曲は、電子音が耳に痛いくらいに高音域が鋭いです。そのため大音量にしないで聞くか、もしくはデジタルアンプでなく、ちょっぴりローファイな重量級のアナログアンプを用いると良いかもしれません。

逆に言うと、距離が有ると高音域というのは減衰しやすいため、離れて聞いてもクリアなのはこのお陰かもしれません。例えばフジコ・ヘミングのラ・カンパネラを来ても、マイルス・デイヴィスのトランペットしかり、J-POPでも繊細に音が分離して聞こえます。

特に女性ヴォーカルの声は、中央で歌い上げている感じが美しく立体的な表現です。ただしB&Wの高級機種(800系)と比べると、艶やかさや深みが足りなく思えますが、価格から考えてかなり優れているのは違いありません。

音の延滞が無く、消えてゆくスピードが速いのも特徴です。アンプに起因する部分もありますが、マッキントッシュ+JBLを聞いた時に音が尾を引くようにして延滞して次の音と重なってしまう経験がありました。つまりクリアな音が好きであれば、直ぐに消えて次の音と混じらないようにするというのが大切といえます。

十分に低音が出るという話でしたが、また新品を買った直後だからか重低音の部分がばっさりカットされたような感覚です。それだから別の音域が目立つという事もありそうですが。使い込んで音が変化したら、追記でレビューをしたいと思います。

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タンノイ(TANNOY) Precision 6.4 スペック

推奨アンプ出力 20W~200W
連続許容入力(RMS) 100W
最大許容量(瞬間) 400W
能率(2.83V/1m) 90dB
インピーダンス 8Ω
周波数特性(-6dB) 29Hz~35kHz
ユニット放射角 90°コニカル
ドライバーユニット 150mm(6インチ)
クロスオーバー周波数 170Hz,1.6kHz
エンクロージャー パッシブラジエーター
サイズ 310 * 1052 * 352mm
エンクロージャー容量 44.1リットル
重量 21.8kg 発売日:2012年メーカー希望小売価格(税別):1本 ¥220,000

参考価格 175,700円 (税込)

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