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心理的なアニメ?迷家
今年の4月からテレビで放送された迷家(まよいが)。
あまり期待せずに見たのですが、あまりに面白くてシリーズ最後まで見てしまいました。
ストーリーですが、インターネット上で募集された「第一回人生やり直しツアー」に応募した30人がバスに乗り込み、都市伝説として楽園のように語られる「納鳴村(ななきむら)」に向かうという話です。
ネタバレになってしまいますが、恐怖系のアニメかと思ったのですが、死者が出ないということです。殺人鬼やゾンビではなく、自身のトラウマ(=ナナキ)が具現化するというのが大きなテーマです。
そのため、トラウマが無い人は村に辿りつけないと設定されています。
1話を見た時は、なんとなく参加者の中で連続殺人事件でも起こるのかな?と思ったのですが全く異なるものでした。
”トラウマが具現化”というのはアニメで非現実的に描かれていますが、実際に身近でも起こり得ることです。
そこで、アニメから考察してみたいと思います。
トラウマや恐怖が具現化する?
私の親は50歳以上ですが、小さな頃に親(祖母)に「物」を買ってもらえず生きていたので、大人になった時にその反動として大量の物を買ってしまいます。
部屋の文具箱には100〜200個ものたくさんの物(ボールペンやはさみ)が入っていますし、冷蔵庫の中には買いすぎて、中には腐ったものまであります。
「ただのムダ」
と判断するのは簡単ですが、これは小さな事ですが過去のトラウマが「具現化」しているといえます。
喪失によって信頼ができなくなる
大切な物を喪失してから、信用できない。そんな女の子に会った事があります。
思春期に突然に親を失って、それから誰かを深く信頼できない状況です。
大事な相手でも表面的な付き合いしかできずに、大切な物=喪失すると辛い、という大きなトラウマを抱え込んでしまったせいで、大切にしない=安全、という構図が出来てしまいました。
表向きには、「大人っぽくて自立してて良いねぇ〜」と言われますが、傷から生まれた状況にすぎません。
実際には信頼しても良い環境でもトラウマによって、それをできないのです。
メンヘラもナナキが具現化した状況
最近とても多いのがメンヘラ系の女子です。
精神的な不安定さを抑えるために、「人」を使ってしまうと陥りやすいです。
とにかく誰かと繋がっている事で安心を覚えたり、誰かが隣に居てくれる、肌を触れていることで満足する。それにより「人」に依存します。
「人」というのが、ヘビースモーカーにとってのタバコのような存在になるので、常につながりを求めるようになって、自分に気を惹かせようとします。
それによって自傷行為をしたり、派手なファッションをしたり、無用なラインや連絡をしたり、相手を管理しようとさえしてしまいます。
特に一度でも彼氏に捨てられた事のあるメンヘラは、捨てられる=恐怖、が通常の人の何倍も大きいので、捨てられるのが恐怖で相手を追い込んで管理しようとします。
ですが、安易に馬鹿にできません。
人に依存をするので、外見上に判断しやすいのですが、物や行為に依存する人は判断しにくいのです。
例えばハードワーカー(ワーカホリック)で仕事に依存したり、過度なマラソンやトレーニングなど運動、楽器演奏、収集癖の趣味など何に依存しているかは分かりません。
健康的な依存ならば一般的には問題ないように見えますが、本人には強迫的観念で行っている場合もあるのです。
カルマをクリアする
迷家の後半には納鳴村の研究をしていた神山晴臣が、ナナキ(=トラウマ)を失って現実世界に戻り、肉体が老化したというシーンがあります。
一見にして異様な設定と思えるかもしれませんが、確かにトラウマの部分の記憶だけを消したら自分らしさが残るか、それは残らないようにも思えます。
正しい方法でナナキを「受け入れる」のが唯一の現実世界に戻る方法とアニメではありましたが、実際に「受け入れる」というのが重要なキーワードになります。
バラモン教の業(カルマ)のように輪廻転生して同じ事を繰り返す。
例えばシングルマザーで育った子供が、愛情に足りず傷ついた心のまま大人になって、結婚せずに出産して、親と同じ状況を再現してしまう。
愛情が足りないから、子供には愛情を注がないければ、と思いつつも、ダメな状況を再現してしまいます。
そこから抜け出すためには一度、自分の精神的な状況を達観して受け入れしなければいけません。
何かに怒ったときや、悲しんだ時「本当にムカつく!」「なんで分かってくれないの!」と感情的にならずに、「今、自分は◯◯に対して意味も無いのに、とても怒っている。」「私は◯◯に対して期待してたのに、裏切られて悲しんでいる」と自分を第三者の目線で分析します。
そうすることで、「また同じ事で怒っている(失敗している)」といった事を冷静に判断できるようになり、失敗や無駄な怒り・悲しみを軽減できます。
「また私は相手に過剰な期待をしているな…」と思えれればカルマから抜け出す事もできます。
主人公の光宗が父親との会話や、母親の現状を知って、「母親と今の自分」を許す事によりナナキが小さくなりました。
恐怖や痛み、苦しみ、寂しさ、辛さ、そうった強い感情が、特に幼少期から思春期の心に傷が着くとトラウマになりやすいのです。
根本的な解決ができないと、それの対処法として、心をより傷つけないために、自分で見つけた方法で保護しようとします。(自己肯定や依存、執着など)
それを全て受け入れて、認めることによって、更には感情が揺れる時に自分を達観する事でカルマを抜け出す事ができます。
メンタルについては専門外なので上手く言えませんでしたが、迷家は最終回以外はよく出来てると思います。
身近なところに潜むナナキ…。そういったところに目を向けてアニメを見直すのも面白いかもしれません。