お洒落なビジネスマンになろう
皆さんは仕事のとき、お洒落をしているでしょうか?
こんなことを言っては、「お洒落なんかしていないで仕事に集中しろ!」「仕事にお洒落はふさわしくない!」とヤジを飛ばされてしまうかもしれません。
もちろん仕事にお洒落は不適切だ、という考えもあるでしょう。しかし生きていくうえでメインのコミュニティとなるのが職場ですし、人生の多くの時間を職場で過ごすことになるのですから、そこでお洒落をするのは大変意味のあることです。
しかも正しいお洒落の仕方をすれば、お洒落は仕事に悪影響を及ぼすどころか日々のモチベーションはもちろんのこと、仕事への集中力を高め、商談やプレゼンの成功率を上げることにもつながります。
ここではそんな「ポジティブ&オーセンティック」なお洒落をビジネスシーンで実現する方法を紹介していきます。
「人と違うものを着る」がお洒落ではない
ビジネスシーンでお洒落をするにあたって、最初に一つだけ知っておくべきことがあります。
それは「人と違うものを着ることがお洒落」という考え方が、完全に間違っているということです。
例えば量販店などを見ていると、「二重襟とカラーステッチで個性的なスタイルを演出」なんて謳われている装飾でコテコテのシャツや、「ボタンホールの色でスーツにアクセントを」と袖やラペルのボタンホールの糸の色を変えてあるスーツをよく見かけます。
こういったものは大概、「人と違うことをして、目立とう」という考え方が基準となっていますよね。世の中には普通の襟で無地のシャツを着ている人ばかりだから、ボタンの色を変えてチェック柄の二重襟にして、お洒落を主張しましょう!とこういうわけです。
しかしそれは本当にお洒落なのでしょうか?
私にはむしろ中高生のヤンキーや、Twitterで炎上するような投稿をする大学生と同じ考え方に思えます。
ファッションマニアの人や、デザイン系の専門学生などが非常に奇抜な服装をしているのを街中で見かけ、心の中で軽蔑した経験があるかと思います。しかし上記のようなスーツやシャツは、それよりもよほど安直で、中途半端です。
しかも「場にふさわしくないものを着ている」という意味で、休日に自分の好きな服装をしているマニアや、デザイナーズブランドの服を着るデザイン系の専門学生よりも、よほど軽蔑の対象となってしまうでしょう。
本当のお洒落は人と違うものを着ること、人と違う着こなしをすることではありません。
特にビジネスの場でのお洒落は、「人と同じルール」の中で、どれだけ洗練された、そして気の利いたルールの守り方をできるかです。
その人のスーツの着こなしを見て「この人の私服はきっとお洒落に違いない」「この人は色々なことに造詣が深くて、優れた美的センスも持っているんだろうな」と皆が思うような、そんなスーツの着こなしです。
ではどうやったら、そういったスーツの着こなし方ができるのか?それをこれから解説していきます。
個性や色柄ではなく「品の良さ」にこだわろう
ビジネスで着るスーツには、制限があります。
ベージュを着るわけにはいかず、派手な柄のスーツを着ることもできない。着てよいのは大抵グレーかネイビーの無地か、それに近いものです。
つまり色柄に自由がない、ということですね。多くの人はここで絶望して、「ビジネススーツはお洒落ができない」と感じます。
しかしそんなことはありません。実はビジネススーツであっても、男がこだわるべきものに、こだわることができます。
それが「品の良さ」です。
先ほど奇抜な服装の話を少しだけしましたが、若い人にとってファッションとは「個性の演出」であることが殆どですよね。自分の支持するブランドを身につけ、人とは違った着こなしをすることによって、自分のスタイルを主張することがファッションです。
それに対する大人のファッションのテーマは「気品」です。どれだけ品のあるスーツを、エレガントに洗練したセンスで着こなすか。他人と比べるのは「普通からの外れ方」ではなく、物選びのセンスと、組み合わせ方、そして各所の着こなし方です。
ビジネスシーンのグレーやネイビーの無地スーツだって本当は大変に魅力的です。
そもそもファッションの本場であるイタリアで、「最もエレガントなスーツはチャコールグレーの無地スーツだ」と言われているのです。そんな素晴らしいスーツを身につけるチャンスがあることに、感謝しきれないくらいです。
また、もともと英国紳士の装いとして生まれたスーツは、彼らの「目立ってはいけない」という哲学の通り、シンプルであってこそ魅力的です。無地のスーツ、無地のネクタイ、無地のシャツが結局最高のお洒落であることも少なくありません。
例えばダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの着こなしは、ほとんどそのままビジネススーツとして通用するものですが、とても洗練されていて紳士的な雰囲気です。
ですから「ビジネススーツは自由が利かなくて、お洒落ができない」というもったいない考え方はやめましょう。
そして「気品あるスーツとセンスの良いルールの守り方でお洒落を追求したスーツ着こなし」を目指していこうではありませんか!
気品漂うスーツとは?
上の項では気品のある着こなしこそが、ビジネススーツでのお洒落だということを書きました。
しかし先ほどのダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドのスーツ姿を見て、「同じような色のスーツなのに、全然雰囲気が違うよ!イケメンだからだ」と思った人もいるはずです。
まあ、彼が大変イケメンで、素晴らしい肉体の持ち主であることはほんの1ミリも否定しません。ですが、実は「スーツが違う」のです。
ダニエル・クレイグが着用しているスーツは、現在もっとも注目されているデザイナーズブランドである、TOM FORDのものです。TOM FORD トムフォードはデザイナーズブランドながら、ラグジュアリーな素材を使ってさながら注文服のような手間をかけて高品質なスーツを作るブランドです。一着50万円〜という値段設定ですね。
実はスーツの気品は、品質から生まれるのです。
そしてその品質の内訳は、大きく二つ。「素材」と「仕立て」です。
トムフォードのようなスーツに使われている素材は、最高級のウールです。厳選された原毛を時間を掛けて丁寧に生地として織り上げたもので、シルクの光沢を少し控えめにしたような、落ち着いた光沢があります。
この光沢感がスーツから漂う上品さを生み出しているのです。
またスーツには手縫いやアイロン掛けで丁寧に仕立てることにより、人間の身体にぴったりと沿うような美しいシルエットと立体感が生まれます。
このようなそれ自体が気品を放つようなスーツを着ることによって、スーツの着こなしはシンプルであっても非常にお洒落に見えるようになります。
イタリアの伊達男も、イギリスの紳士もそうですが、彼らの着こなしがどうしてあれほど魅力的なのだろう、と感じたことはありませんか?実は彼らは徹底的にスーツの品質にこだわっているのです。
満足のいく既製スーツを探し、なければ手縫いで仕立てるサルトリアやテーラーにお願いして、一着15万円〜50万円のスーツを仕立ててもらっているのですね。
我々は、ビジネスで使うスーツにそれほどの金額を出すことはできないかもしれません。
ですが「品質」という点に注目してスーツを選ぶことによって、ビジネススーツの着こなしを一気にお洒落なものにすることができるはずです。
大事なのは仕立てと生地です。
日本にはリングヂャケットのように「工場で作る良質なスーツ」という概念を抜け出し「仕立て服のように手間をかけて作るスーツ」を生産しているブランドがいくつか存在し、それらは上質な生地を使っているのにも関わらず15万円以下で購入することができます。同じ内容でイタリア製であれば、30万円は確実に超えてしまうでしょう。
ぜひそういったコストパフォーマンスに優れたスーツをチェックしてみてください。
更に上品さを生み出すシャツの高級感
さらに、合わせるシャツを可能な限り上質にすることが、上品な着こなしをするためには大変効果的です。
それはなぜか?逆に上質でないシャツがどうして上品に見えないのかを考えれば、答えが出ます。
ポリエステルやナイロンの生地を使った格安のシャツにはいくつか問題があります。一つは生地そのものの風合いが悪いこと。ナイロンやポリエステルは、コットンやリネンなどの自然素材に比べて、生地の発色が不自然で、また表面の光沢感や生地感もビニール的なかたさがあることが多いです。
こういった風合いの悪いシャツをスーツの着こなしに取り入れると、結果としてスーツ着こなし自体が安っぽいものに見えてしまいます。
また格安のシャツは、仕上げが悪く精密さが足りません。スーツを着た場合シャツが見えるのはほとんど襟の部分だけですが、襟は仕上げの良し悪しが最も顕著に出る部分です。スーツを着てネクタイをしている人でも、前から襟を見ればシャツの品質は明らかです。
そういうわけで、上質なシャツを着るのがおすすめなのです。
上質なシャツは滑らかで光沢感のあるコットンやリネンを使用して、非常に繊細なピッチのミシン縫いで丁寧に作られます。また物によっては手縫いを施して、柔らかさを更に追求していたりもします。
そういったものを選べば、スーツの着こなしがさらに上品、お洒落なものになるでしょう。
いかがでしたか?
今回は「ビジネススーツのお洒落は『品の良さ』で決まる」と題して、ビジネススーツでお洒落をするときに気をつけるべきこと、スーツのお洒落=気品であること、どんなスーツやシャツが気品漂うビジネススタイルを作ってくれるのかを解説しました。
是非参考にしてくださいね。
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