イタリアのスーツを買ってスラックスを裾直しすると、元の3分の2の長さになってしまう。いらなくなったパンツを友人にあげると「ちょうど良いクロップド丈だね!」と言われてしまう。フルレングスですが何か。
特にスーツ姿はかっこよく決めたいのに、足が短いせいでスーツが似合わない……。
そんな辛い悩みを持っている方は少なくないはずです。そんな方のために、ここでは足が少しでも長く見えるスーツの選び方を紹介していきます。
足が長く見えるスーツ選び
スーツ姿で足を長く見せたいのであれば、まずは足を長く見せるのに適したスーツがどういうものかを知り、それを選ぶのが第一です。
足の短めの人に適したスーツ選びを知らずにスーツを選んでは、どれだけ投資しても理想のものに出会える可能性は低いでしょう。
どんなスーツが足を長く見せてくれるのか?早速解説していきます。
スーツにはもともと足長効果がある
もともとスーツは一揃いという意味のある言葉ですが、その名の通りスーツはトップスもボトムスも同じ生地で作られており、全体に統一感があります。
そのため上半身、下半身と明確に分かれているカジュアルなファッションに比べ、どこまでがパンツでどこまでがジャケットなどが判別しにくい。
これは結果として、大きな足長効果となります。
それに加えて、プリーツの入ったスラックスでベストを入れた3ピーススタイルなどは、足を視覚的に+5cmすることも不可能ではないほど有効なスーツですね。
でもなぜかスーツを着ていて足が短く見える。そういう人は、おそらく着ているスーツが間違っているのです。
スーツで足が短く見えてしまう原因には、以下のようなものが挙げられます。
- スーツ自体のフィット感が悪いこと
- 足のシルエットを無視したパンツであること
- シルエットが悪く縦のラインが強調されないこと
- 上下の連続性に乏しいこと
そしてこれらを解決したり、これらを克服できるようなスーツ選びこそ、足が長く見えるスーツ選びなのです。
仕立ての良いスーツが最も効果あり
足を長く見せるのに最も効果的なのは、仕立ての良いスーツを選ぶことです。実は仕立ての良さが体型のコンプレックスの多くを解決してくれるのです。
先ほどスーツのフィット感の悪さや、足のシルエットを無視したスラックスが、足を短く見せてしまう原因になるということを書きました。
スーツ全体が緩くて、至るところにゆとりのあるような状態では、身体のシルエットの横幅が強調されてしまいます。縦ラインを強調することができないので、結果として足が短く見えてしまうことが多いですね。
ではどうしてそんなオーバーサイズや、緩いサイズのスーツを着ている人が多いのか。これはスーツの仕立てが悪いせいです。
スーツの仕立てが良い場合には、ジャストサイズで着ても着心地がよく、肩周りや首回りに違和感が出ることなどもありません。これは職人が手間を掛けてアイロンワークを施し、身体の形に合った立体を作り上げているからです。
ですが工場で大量生産で作られるようなスーツは、平面的で身体の立体を無視しています。そんな仕立ての悪さを隠すために必要以上にスリムにしたり、逆に可能な限り多くの人が着れるように無駄なゆとりを持たせたりします。
こういうことから、例えば「ジャケットを身幅や着丈で合わせると肩が窮屈」「ジャケットの肩幅は狭く、着丈も短いのに身幅だけ広すぎて余る」などという問題が発生するのです。
また足のシルエットを無視したスラックスは、まるで野菜切り包丁のようなシルエットだったり、はたまたテーパードという名目で極端に細く、履き心地の悪いものになっています。
そしてそのようなフィット感の乏しいスーツは、どれもシルエットを縦長でスマートなものには見せてくれず、結果として足を短く見せてしまいます。
これはスーツの足長効果以前に、スーツが粗悪で体型全体を「より悪い」ものにしてしまっている例です。
それに対して仕立ての良いスーツは、まず身体にぴったりと沿い、実際の体型以上に太ったりして見えるようなことはありません。さらには肩や胸の立体感など補うべき部分を補い、男の体型をさらに理想的に見えてくれます。
そして足です。仕立ての良いスーツのスラックスは足のシルエットを再現するため、余分なダブつきが一切なく、足を最も良いシルエットに見せれくれる。クリースの入ったスラックスは、デニムやチノパンなど他のパンツに比べても膝の位置が分かりにくく、足の正確な長さを隠してくれるでしょう。
さらには先ほど少し書いた「連続性」という武器を与えてくれます。無駄のないシルエットが自然な曲線でジャケットへとつながっていくので、縦のラインが強調されます。
仕立ての良いスーツはこのように、足を長く見せるのに最も適したスーツなのです。
股上深めパンツのスーツを選ぼう
さて、仕立ての良いスーツがスタイルを良く、足を長く見せてくれるのがお分かりになったでしょう。ここからはディテールや仕様の選び方を工夫して、足がより長く見えるようにしましょう。
まずは、股上の深いスラックスを履くことです。
女子たちの間では定番の、ハイウエスト。ウエストを持ち上げることによって足を長く見せるというシンプルなトリックですが、なるほど結構効果があります。彼女達はさらにそこで、タイツとヒールの色を合わせるなどという工夫をし、ますます足を長く見せようとします。
ではメンズは?
実はメンズも同じくウエストを高くすることで足が長く見えますが、なぜかこれは定番とはなっていません。中高生の頃しっかりとスラックスを履いていたところ「やーい、上げパン!」とバカにされ、苦い思いをした男性が多いからでしょうか。
いずれにしろスーツをしっかりウエストで履くのは足を長く見せるために必須ですし、さらに股上のやや深いものを選べば、かなりの足長効果が期待できます。
最近はスリム&ショートの流行であることもあり、無駄に股上の浅いスラックスが少なくありません。しかし股上の浅いスラックスは、紛うこと無く足を短く見せますし、お腹の贅肉が気になる人は、より太って見えます。
股上の浅いスラックスが似合うのはアルセーヌ・ルパン3世の泥棒一味か、それに準ずる手足の細長い人々です。
暗い色のスーツは足の短さが目立たない
より上下の連続性を高め、さらにはどこからが股下か分かりにくくなる暗い色のスーツは、足を長く見せるためには最もおすすめ。
明るい色であれば見える股上、股下の境目も暗い色になると極端に見えにくくなる。特に立ち姿では足がかなり長く見えますね。
さあ、黒に近いグレー(チャコール)やダークネイビーで、身体の上半身と下半身を一体にして、足が長いだの短いだのという概念を覆しましょう。
ちなみに逆に言えば、カジュアルスタイルの定番である白やベージュのパンツは足を短く見せてしまうことが多いので注意ですね。
白パンはジャケパンコーディネートであまりに人気で、取り入れている人も多いです。さらには流行りだからといって股上の浅いパンツの足下をロールアップしていたりしますが、足の短い人の場合はこれが最も宜しくない着こなしですね。
白い部分は目立つうえ、パンツの長さ=足の長さと錯覚して、大変足が短く見えます。
カジュアルでも足の短さを隠したければ暗い色を。スーツではチャコールグレーやダークネイビーを選ぶことによって、上下の連続性を高め、足を長く見せましょう。もちろん縦長効果のあるストライプもOKです。
いかがでしたか?
今回は足の短さが気になっている人のために、足が長く見えるスーツの選び方を解説しました。是非参考にして、スタイリッシュなスーツの着こなしを目指してくださいね!