愛すべきナポリの地下鉄
荘厳で華々しいイタリアの首都ローマを後にし、フレッチャロッサでキャンティクラシコを飲みながら「アッリベデルチ〜ローマ〜♪」と口ずさみながらナポリに到着したあなたは、大変びっくり驚くことになるでしょう。
「なんて汚い街なんだ!」
まあそう慌てなさるな、ナポリはこういう街なのだから。
イタリアの他の都市では「この人は危なそうだから近寄らないようにしよう」と思う人をときどき見かけますが、そんな人だけを集めたようなナポリの中央駅周辺を見れば、北部イタリア人がナポリをアフリカと呼ぶ理由も分かるかもしれません。
街を歩けばいたる所で何かが本気で腐った臭いがする、なんていうのはガイドブックの風光明媚なナポリのページにはおよそ書けません。
しかしなんとかナポリ中央駅前の道を、赤信号で車の間をすり抜けるナポリ人と混じって横断し、メトロのガリバルディ駅の改札を通ったならば、あなたはもう一度驚くでしょう。
「なんて綺麗な地下鉄なんだ!」
そう、ナポリの中でも主要な観光地を通る地下鉄のライン1は、非常に近代的でまるで東京のメトロのように綺麗。そして車両の中も清潔で、いつも比較的空いている。さらには治安もかなりよく、気をつけていればスリにさえ遭わないという愛すべきメトロなのです。
ですから、ローマのすし詰めのメトロの中、車両内TVでジャパニーズレストランの寿司のCM映像を見せられてうんざりしたあなたも、ナポリにくればもう幸せ。地下鉄に座って一日を過ごしたいと願うことでしょう。
ナポリの地下鉄の治安
ナポリの地下鉄の特徴は一言で表せば、安全・快適・便利!なんていうと流石にそろそろ怒られてしまいそうですが、実際にかなり快適なレベルだと思います。
まずはナポリの地下鉄の治安ですが、何より普段からそれほど人が多くないため、車両内に写真のように隙間が多い。それゆえスリなどが出没しにくく、比較的安心して乗ることができます。確かにちょっと外見の怖い人もいくらか乗っていますが、これはナポリ人にありがちな強面なので、仕方がないでしょう。
だいたい最初はアジア人など皆怖じ気づいてしまうほど、強面なおじさんがナポリにはたくさん歩いています。ただ、その人達のほとんどは悪気などなく、単に顔が怖いだけです。
もちろんそれでも、スリに対する最低限の注意は必要です。またナポリの地下鉄にはときどき物乞いや、物売りがいたりしますが、基本的に全て無視しましょう。
ナポリの地下鉄の利便性
ナポリの地下鉄ライン1は、結構利便性が高くナポリ内で移動をするのであれば、最もおすすめな公共交通機関です。
ナポリのメトロの主要な駅とその周辺の観光地は以下の通り。
Garibaldi ガリバルディ駅 – ナポリ中央駅目の前、始発終着駅。
Municipio ムニチピオ駅 – ヌォボ城、ガレリアウンベルト、キアイア通り、卵城
Toledo トレド駅 – トレド通り(繁華街)、フニコラーレの駅
Dante ダンテ駅 – スパッカナポリ
Museo ムゼオ駅- 国立考古学博物館
Vanvitelli ヴァンヴィテッリ駅 – サンマルティーノ修道院、サンテルモ城
もちろんメトロのライン1の駅から少し離れていて、歩かなければならない場所も少なくありません。例えばキアイアや、アメデオ広場の方はライン1だと少しアクセスが悪いですね。
しかしナポリの街はそれほど大きいわけではないので、メトロの駅からであれば比較的簡単に歩いて移動することが可能です。
例えばアメデオ広場とムニチピオ駅は地図上では離れていますが、お洒落なカフェや現地民向けのショップなどが集まるキアイア通りや一流ブランドが軒を連ねるミッレ通りなどを見ながら歩けば、わりとすぐにアクセスすることができます。
メトロの難点
ナポリのメトロは先ほどからも書いている通り、かなり便利な公共交通機関ですが、難点(デメリット)もなくはありません。
一つはメトロ駅の入り口からプラットフォームまでの遠さ。ローマの地下鉄なんかは、駅に入ればすぐにプラットフォームですが、ナポリは3回も4回もエスカレーターを使って、プラットフォームまで行かなければなりません。
ガリバルディ駅のプラットフォームなんかは地中に深すぎて、ヴァンヴィテッリ駅からメトロに乗って到着すると、地上に出るときに高度変化で耳が痛くなるという伝説もあります(いつもテキトーなことばかり言っているナポリ現地人談)。
またもう一つ、ナポリの地下鉄では券売機が壊れており、駅から出て近くのタバッキ(タバコ屋)などにわざわざチケットを買いにいく必要があることも。改札が開いていて、チケット無しでも乗れてしまうことがありますが、メトロ出口で検札をしていることもあるので、チケットは必ず購入しましょう。
いかがでしたか?
個人的にはナポリのメトロは愛すべき便利な公共交通機関だと思います。ぜひナポリ観光の移動手段として有効活用してくださいね!