FENDER Hot Rod DeVilleを見つけるとき
例えば、あまりに長引くスタジオ練習の結果、明日食べる食べ物にも困り食いっ逸れてしまって、親戚の農家のおじさん家にお米でも貰いにいこうということになって。
ついでに古いガレージを漁ったりなんかしていると、まるで昔からずっとそこに置いてあるかのように、埃をかぶって落ちているアンプがフェンダーのホットロッドデビルです。
なお、このサイトはときどきテキトーなことを書きますがおかまいなく。今回はフェンダーの中ではツインリバーブやホットロッドデラックスなどの影に隠れてしまい少しマイナーではありますが、フェンダーアンプファンがちょっと気になっているホットロッドデビルを紹介しようと思います。
フェンダーサウンドが魅力?
基本のTreble Middle Bassのつまみに、ドライブとリバーブとマスターボリューム。それにBrightやMore Drive などいくつかのボタン。かなりシンプルなアンプと言えるかもしれませんが、普段からFフェンダーのアンプに慣れている人にとっては、もうおなじみでしょう。
Hot Rod DeVille 212IIIはセレッションの12インチスピーカーを2発搭載した60Wのアンプで、コンボアンプとしてはわりと標準的なサイズのモデル。頑強なエンクロージャーのせいか結構重たく、同じサイズのVOXのアンプなどを想像しながら持ちあげると、ぎっくり腰でライブに出れなくなります。
くわばらくわばら。
それでは実際に音を出してみましょう。まずはFender USA 70年代のストラトを使ってみます。
まずはクリーンから。ドライブを控えめにマスターボリュームを挙げてみます。なるほどフェンダーサウンドと呼ばれる強烈な高音とややメロウな中音域、そして図太くクリーンな低音を感じることができます。もちろん60Wの真空管アンプなだけあり音量はかなり出てきますが、あくまでコンボアンプの箱から鳴っているような気持ちのよいコンパクトさがあります。
流石ヴィンテージ的要素のあるアンプだけあり、ENGLのようなモダンなアンプに比べると音は良い意味で少し細く、枯れたような印象があります。ブリッジ側のピックアップに切り替えると、一気に甘さが出る。またストラトのブリッジ側のピックアップではフェンダーアンプの良い意味での音の細さが幸いし、非常にクリアでありながらもメロウな絶妙な音が出ますね。
ドライブを上げていってクランチにすると、ジャリッとした荒々しい歪みに。これはブルースなどに合いそうな歪みですが、あまりにドライブを上げすぎると芯がぼやけていきます。軽く歪ませる程度が一番気持ちの良い印象です。MORE DRIVEのボタンはやや真空管らしいパンチに欠ける、というのは多くの人が指摘している部分ですが、確かに少し平たい印象かもしれません。
ところでレビューしていて思ったのですが、このホットロッドデビル、フェンダーサウンドを狙っているにしては少し中途半端な印象。ツインリバーブのようにカラッとしたサウンドでもないし、意外にマイルドな一面も持っている。
ということで、もしかしてと思いこんな組み合せを試してみました。
ギブソンの箱ギターです。それはどうなの?と思われるかもしれませんが、これがぞっとするほど良い。アンプのTreble Middle Bassのノブはほんの少しずつだけ上げましょう。9時〜10時くらいで十分です。わずかにドライブさせて、リバーブを深めに。ボリュームはかなり大きめにします。
それからフィンガーピッキングでジャズのフレーズを少し。あるいはピックでも非常に優しいピッキングでそっと弾いてみる。なるほど非常に甘く柔らかく、それでいて枯れた音。こんなサウンドのギタリストがソロでジャズをやったりなんかしたら、うっかり聴き込んでしまいそうです。
実はこのアンプ、例のカラっと乾いたフェンダーサウンドを再現しようとするよりも、ジャズなどの非常にセンシティブな演奏と甘いサウンドの方が良さが発揮できたりします。
いかがでしたか?
今回はFENDERのHot Rod DeVille 212IIIをレビューしてみました。