LIVERANO & LIVERANO リベラーノ
美しい半月形のカーブを描くフロントラインに、イタリア的でありながらも構築的な上半身のラインと、北イタリアの威厳と南イタリアのリラックスした印象を併せ持つ肩のシルエット。アントニオリベラーノ氏は11歳のときからサルトリアにて修行を始めた、フィレンツェ仕立ての第一人者ですね。
フィレンツェといえばルネサンスの中心地でもあり、モードの中心であるミラノに対し文化の中心とされているイタリアの主要都市です。さらにフィレンツェは、イタリアのメンズファッションにおける最も重要な祭典であるPitti Uomo ピッティウォモの開催地でもあります。
そしてPitti Uomoに集まった世界中のお洒落の最先端にいるバイヤーたちが、その会場をそっと抜け出し、エスプレッソを引っかけてから向かう先が、LIVERANO & LIVERANO リベラーノのアトリエというわけです。
リベラーノはスーツ及びジャケットをメインとしたサルトリアブランドですが、シャツやネクタイも展開しています。今回はそのネクタイの魅力に迫りましょう。
リベラーノのネクタイ
リベラーノのネクタイは芯地入りのオーソドックスなかたちながらも、非常に肉厚で上質なシルクを用いて作られているのが特徴です。そのシルクも上質なだけではなく、やや落ち着いた光沢感に少し立体感のある織りが入ったものや、無地でも落ち着いた色合いと光沢でお洒落に見えるものが多いですね。
例えばラグジュアリーさが売りのブリオーニのネクタイと比較してみましょう。
わりとサテンな光沢感で贅沢な印象のブリオーニのネクタイは、さわってみても非常につるりとした生地です。それに対し、リベラーノのネクタイはふわりとして少し表面はざらっとした手触り。それが控えめで上品な光沢の理由ですね。
「どちらのネクタイがより良いのか?というのは好みによりますので一概には言えません」と書いてしまいたいところですが、いやここは言い切ってしまいましょう。答えは簡単です。
フィレンツェで身につけるなら断然リベラーノが、ローマで身につけるならブリオーニが良い。イタリアは都市によって別の国だと言われるほど土地柄が良く出ている国ですが、フィレンツェとローマもやはりだいぶ趣きが違います。
少し褪せた色の壁と赤い屋根の建物が並び、主要都市でありながらもこじんまりとして落ち着いた雰囲気のフィレンツェにはなるほど、控えめの光沢でやわらかなリベラーノのネクタイが似合います。逆にラグジュアリーなブティックやホテルが立ち並び、ローマ時代の荘厳な遺跡や建築物が立ち並ぶローマの町並みにはブリオーニに光沢感が良く映える。
どちらも素晴らしいネクタイですが、気分やシチュエーションによって使い分ければ、より着こなしに馴染んでくれると思います。
ナポリのネクタイと比べて
それでは、スカーフのようんに軽やかと言われるナポリのネクタイとリベラーノのネクタイも比べてみましょう。ナポリのネクタイはナポリ仕立ての重鎮であるマリアーノルビナッチのネクタイをセレクトしてみました。
ナポリのネクタイを改めて見てみると、その作りに驚きます。こちらはトレピエゲのネクタイですが、ステッチの入った剣先は非常に軽やかな印象で、個人的に非常に好みです。またネクタイ自体の形を作っているメインの縫い目を見てみれば、ナポリのネクタイを見慣れない人は驚くはずです。
なんと適当な縫い目なんだ!とね。これは実は甘く縫うことによって逆にネクタイを締めたときに緩みにくくなっているんですね。あるブランドはネクタイの縫い目が均一になってしまわないよう、イタリアの主婦に台所仕事の合間に作ってもらったりするとか。こういった甘い作りはナポリの職人が好む技です。
リベラーノのネクタイはそれに比べるとずいぶんとしっかりと作られている雰囲気ですが、それでも締めたときの心地は非常に良い。何よりもシルクが肉厚でしっかりと芯地が入っているため、作ったネクタイの結び目のボリュームが出ます。
さらりと麻やコットンのジャケットを使ったジャケットスタイルに合わせたいナポリのネクタイに比べ、ウールのフィレンツェ仕立てのスーツに合わせたくなるのがリベラーノのネクタイですね。
いかがでしたか?
今回はリベラーノのネクタイを紹介してみました。セレクトショップなどで見つけたら、しめしめと思って是非チェックして欲しいレアで高品質なネクタイです。