MINI Rectifier 25 Head
このミニレクチが発売されたときには、あのレクチファイアサウンドを持ち歩けると全国のエモな皆さんやヘビーラウドな皆さんが歓喜しました。
しかしそれと同時に、音に関してはシビアなギタリストたちですから、「本当にレクチなの?」という疑問も常に。そもそもレクチファイアといえば、恐ろしく重厚な低音と荒々しい歪み、圧倒されるような音圧が特徴のギターアンプ。そんなものを25ワットで小さく作ろう、という発想が「大丈夫なの?」というわけです。
実際ミニレクチってどうなの?と皆さん思っているところでもう発売から何年も経ってしまっているし、自分も買ってから何年も経ってしまったわけですが、改めてレビューしようと思います。
ミニレクチファイアの仕様
まずはミニレクチの仕様を見てみましょう。
◯Custom Designed & Hand Crafted in California
10万円ほどという値段は25ワットのアンプにしては少し高級ですが、ちゃんとカリフォルニアで作っているのがその理由のようです。
◯メタルシャーシ/ ダイアモンド・プレート
ざらざらとしたサンドブラストのような仕上げの頑丈なメタルシャーシです。少し重いですが、サイズ的には小さく、持ち運びには便利です。
◯Class AB 駆動10w/25w Multi-Watt
10ワットと25ワットの切り替えが可能ですが、10ワットは正直そこまで使えない印象。何より大事なディストーションチャンネルがあまり綺麗に歪まなくなります。
◯2Channnel / 4 Style Modes
◯オールチューブ:パワー管2xEL84 / プリ管5x12AX7
◯安定した動作を実現する為の固定バイアス
◯All Tube バッファード FXループ
◯サイズ:12 5/8” (W)x6 3/4” (D)x5 7/8” (H) ・重量:約5.5kg
◯1 ボタン フットスイッチ(チャンネル切り替え用)
◯パッド付きGig Bag 付属
繊細で美しいクリーンサウンド
メサブギーのレクチファイアといえば、それはもうザクザクズクズク歪みまくり、というイメージが強いかもしれませんが、使ったことのある人はむしろそのクリーンの綺麗さを褒めます。
もともとメサブギーのレクチファイアを使うようなジャンルの人は、重厚な歪みと同じくらいに、綺麗で濁らない純粋なクリーンを求めています。
まあ、ツンデレなわけです。メサブギーのクリーンは例えばマーシャルのクリーンに比べると、ずいぶん違います。マーシャルがバンドサウンドで突き抜けるようなパワー感のある太いクリーンなのに比べ、レクチファイアのクリーンはよりアンプラグドのニュアンスの強い、非常にクリアなサウンドになっています。
そしてこのミニレクチのクリーンは、本家レクチファイアの美しいクリーンをより繊細にしたようなクリーンが特徴となっています。
もちろんワットが小さい分出る音量は限られていて、本家レクチファイアのようなパワーはない。けれど他のアンプでは滅多にないほど透明感があり、良い意味で細く繊細で、適度なコンプ感のあるミニレクチのクリーンは、アルペジオのフレーズでぞっとするものがありますね。
少し使いにくいクランチ
そもそもレクチファイア自体がこのあたりのサウンドがそれほど得意なアンプとも言えないのかもしれませんが、ミニレクチのクランチサウンドに関しては少し使いにくい印象があります。
というのは音があまり分離しない印象があり、コード弾きなどで使用すると少し潰れたようなサウンドになってしまいがちです。ただこれはハムバッカーのギターとの相性が悪いのかもしれません。特にコード弾きでクランチの場合は、シングルの方が音が歯切れよく決まりますね。
単音弾きでクランチを使う場合にも、シングルの方が芯があって綺麗です。ハムバッカーのギターの場合には「このアンプである必要はないかなあ」という印象。少し割れたような、ちょっと中途半端なサウンドになりがち。とはいえギターによっては相性が良く、綺麗に決まるものもあるはずです。
このサイズなら納得!のディストーション
最後にディストーションサウンドを試してみます。使用したギターはPRSのハムバッカーのモデルです。なるほど音圧に音色、歪みの深さなどどれをとってもレクチファイアを感じさせる重厚なディストーションサウンド。
もちろんサイズの小ささはやはり感じます。しかし25ワットでよくここまで出来たなという、再現度の高いレクチディストーションですね。
少し思うことがあるとすれば、ドライブを12時以降にすると6弦、5弦の音が潰れてしまい、ちょっとガリっとした感じの歪みになっていってしまうことが気になりました。これはPRSについていたピックアップが中途半端に出力の低いモデルだったため、歪みきらない感じになってしまったのかもしれませんし、もともと歪みが少し荒すぎてしまうのかもしれません。
この辺は是非、自分のギターで試してみて欲しいと思います。
ミニレクチの音量はライブに足りる?
最後に、ミニレクチの音量についてですがこれは、25ワット以上のサウンドを期待すると失望するし、25ワットだとちゃんと意識してあげれば十分なレベルです。
ボリュームノブを回してみると、前半はかなり急激に音量が上がるので「おお、出るな!」と思いますがそのまま回しきっても後半はそれほど変わらない。
そうはいっても、ライブハウス程度であれば全然十分なサウンドだと言えます。またミニレクチ純正のキャビネットはあまり音量が出ないので、フルサイズと組み合わせてあげましょう。
いかがでしたか?
今回はミニレクチのレビューをざっくりとしてみました。本当はチャンネルごとに2タイプ音色があるのでそちらも書こうと思いましたが、長くなってしまうのでぜひ自分で試してみてください!