PRSのアンプが気になるけど、流石に手が届かない……。
あ、SEシリーズがあるじゃん!そういうわけで、日本にはなかなか入ってこないPRSポールリードスミスの真空管アンプについてレビューしていきたいと思います。
◯PRSポールリードスミスのアンプ SEシリーズ
これは名前の通り、PRSポールリードスミスのアンプの中でもSEラインのアンプです。
コンボアンプで10万円ちょっとという値段設定が安いかどうかは別として、PRSポールリードスミスのアンプがこの値段で手に入るというのは素晴らしいことですね。
ちなみにスタックタイプも出ていて、ワット数は20W、30W、50Wの設定があります。
それぞれサイズが異なり、値段も若干違います。
まずはSE50のコンボアンプを見ていきましょう。
◯PRSポールリードスミスのアンプ SE50の外観
このアンプは頑強なエンクロージャーに囲まれていて、タフです。
皮っぽい質感の外装は高級感があります。またアンプキャビネットや、アンプ背後のネット、それに持ち運び用のハンドルなど一つ一つ見ても、さすがPRSポールリードスミスらしいしっかりとした作りです。
結構重いので持ち運びには苦労するかも。
ノブ類はシンプルですが現代的、操作感は適度に重みがあって好印象です。
◯PRSポールリードスミスのアンプ SE50のスペック&機能
以下が基本的なスペックになります。
50 watts
2 “JJ” EL34 Tubes
12AX7 Preamp Tubes – Clean and Lead Channel Preamp
12AT7 Preamp Tubes – Loop, Reverb and Phase Inverter
All Pots, Jacks and Switches are Chassis Mounted. Tube Sockets are Board Mounted.
2 Channels (Lead and Clean)
Lead and Clean Master Volume Controls
Global Reverb
Independent Volume, Treble, Mid, and Bass Controls and Bright Switch for each Channel
Effects Loop with Line or Pedal Level Selector Switch
Fixed Bias with Test Jacks and Adjustment Pot
4, 8, 16 Ohm Selection with Two Output Jacks
Robust Black Vinyl Covering
いろいろ機能はありますが、ほとんど標準的なアンプと言えるでしょう。特別で便利な機能やあっと驚くような機能はありませんが、その分音質に特化しているとも言えるでしょう。個人的にはあまり多機能なものより、そういうシンプルで音のバリエーションを絞ってでも、クオリティーを追求しているようなアンプが好きです。
ちょっと気になるのがEL34の真空管。
調べてみたところfenderなどのアメリカ系のアンプではなく、marshallなどのイギリス系のアンプに採用されている真空管がこのEL34みたいです。
センド&リターンがついてます。
またオーム数の切り替えも可能なのでキャビネットを選びません。
て、コンボアンプから他のスピーカーに繋ぐ人はそれほど多くないと思いますが…。
PRSポールリードスミスのアンプ SE50のサウンド&音質
まずは公式サイトの動画をどうぞ。
自分も実際に試奏しました。
まずはクリーン。
そこまでキャラクターのある音ではありませんが、現代的でクリアな音です。これはPRSポールリードスミスのギターにもよく言われることですから、PRSポールリードスミスのアンプにも当てはまることなのかもしれませんね。
輪郭がしっかりしており、一音一音が力強くコシがあります。
Bright というトグルなんかも付いていますが、基本的に煌びやかな音というより温かい音です。
そのBrightスイッチをオンにすると、低音が締まりプレゼンスが持ち上がりまして、これはなかなかいい感じ。
でもやっぱり強い個性はありません。温かく、コシのある綺麗な音です。
次にクランチ。
しかしその、ちょっと個性の足りないクリーンに比べ、このクランチはヤバいです。クリーンチャンネルを使ってゲインを上げていく。それからクリーンチャンネルのマスターボリュームを下げていきます。
シングルコイルのギター、欲を言えばVintageのFenderなんかを合わせてみてください。
流れるようにスムースなドライブと、細く繊細でありながら銀色のトーンの芯が残る。
これはある意味クリーンのサウンドより綺麗です。
ノブはフラットを基準に、必要に応じてTREBLE、MIDDLE、BASSを削ったり足したりして使うと良い感じですね。
オーバードライブをみていきましょう。
これもかなり良いです。トグルを落として、クリーンチャンネルからドライブのチャンネルに切り替えます。
一気にコンプレッションがかかり、低いゲインでもけっこう歪んでいく。
さあ、かなり期待できます。
そのままコードをかき鳴らしてみると、最高に滑らかなオーバードライブです。PRSのアンプの歪みは凄い!
さっきのクランチをもっともっと温かく、しかし激しくドライブさせた音。
これをシングルのピックアップで、ブリッジ側にして弾いてみましょう。Brightスイッチもオンにしてコードを弾く。
分離しつつ、粒がそろい、気持ちのいいコンプレッションがかかる。
どちらかというとTube Screamer系の音だと思います。
最後にディストーション。
オーバードライブからゲインを上げていけばディストーションです。
確かに公式ページにある通り、メタルまで(もうちょっとで)いける歪みです。
ちょっとブースターをかませばいい感じになると思います。
が、さすがにコンボアンプです。
ちょっと低音に限界を感じます。低音が足りなくて、なんとなく迫力がない。セッティングで低音を強くするとちょっとブーミーになる。さすがに1基のスピーカーには出せる低音に限界があります。
プリアンプ自体はいけそうな感じですが…。
と、いうことでおなじみENGLのキャビネットに繋いでみると、確かに低音ががっつり出てきました。
でも極上のクランチと最高のオーバードライブは再現されない。
あれって、結構絶妙なバランスで成り立っていたんですね。コンボアンプならではの滑らかさだったようです。
SE20 HEADについて
つぎにPRS SEシリーズアンプの中でも、最も大きさが小さいもの。SE20のヘッドをスタジオで鳴らしてみました。まずはマーシャルのキャビに。
なるほど、音の出口がマーシャルになるので全体的にマーシャル的な要素が強くなります。その分PRSのSEアンプならではのブティック系の音からは離れてしまうので、ちょっと相性が良くありません。
PRS SEのアンプヘッドに合わせるのであれば、より現代的なキャビネットが良いかもしれません。さきほどのENGLや、メサブギー、ヒュースアンドケトナーなんかは、かなり相性の良いキャビネットだと思います。
ちなみにパワーの不足についてはあまり感じられませんので、小さなライブハウスであれば20ワットで十分なのではないかと思います。
PRSポールリードスミスのアンプ SEの評価&総評
PRSポールリードスミスのアンプとしては低価格のSEシリーズですが、ほんと十分に良い音をしています。
クリーンは無難ですが、クランチやオーバードライブは他にない滑らかさと豊かなミドルレンジ、そして気持ちのいいコンプレッションを持っています。このへんのサウンドを手に入れるためだけでも、このアンプは買いです。
PRSポールリードスミスのアンプが欲しい!
となる人は珍しいかと思いますが、「PRSポールリードスミスってギター凄く良いけど、アンプはどうなのかな…」と気になっているあなた。あなたはきっと後悔しないと思います。
値段からみても本当に良いアンプです。