AVIAN 手工アコースティックギターのニュアンスと扱いやすさを両立

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AVIAN(エビアン)とは?

このエビアンというブランドは、島村楽器のオリジナルブランドです。

というくだりだけで、もう十分ですね。ギター好きな人であればあるほど、島村楽器のオリジナルという言葉だけで「ふーん」と怪訝な目でギターを見てしまうものです。しかしそうはいっても、ギターはブランドじゃなくて音で選ぶべきもの。

エビアンのギターは、このギターならではの素晴らしい音色と他のギターにはない個性をもっています。そんなわけでエビアンのアコギ AVIAN songbirdを紹介です。

そもそもこのエビアンというのは、イギリスの家具ブランドであるHALO社というメーカーの特にギターを愛する人々が新事業として始めたことがきっかけとなったギターブランドだそうです。

島村楽器で購入するときには「アメリカ製」なんて聞きましたが、実際にはエビアンのギターは基本的に中国製ですね。マイケル・バシュキン氏、ハリー・フライシュマン氏というアメリカの有名な手工ギター作家を工房に招いて、アメリカの高級な手工ギターの手法をうまくアジア製の安価なギターに落とし込んだ、というようなコンセプトですね。

AVIAN Songbirdについて

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このソングバードは少し変わったギターです。全体的にアバロンなどの装飾を控えたシンプルな外見になっており、これが逆に手工ギターのような佇まいを演出していますね。

もちろんアバロンを使ったギターもカッコいいですが、個人的にはアコースティックギターは装飾がシンプルな方が美しいのではないかと思っていますので、嬉しいポイントです。

こういったシンプルな外見と造形の美しさで魅せるような雰囲気のギターには、他には同じくアジア生産のBaden ベイデンなんかがありますね。非常にマイナーなギターではありますが、Avalon Guitars アヴァロンも以前こういったシンプルなものを作っていました。

このエビアン・ソングバードのかなり変わっている部分がヘッド。

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かなり細く&薄くて、大丈夫か?という感じさえするネックからすらりと伸びるヘッドは、エレキとも従来のアコギとも異なる微妙なバランス感です。ヘッドの装飾は音に影響を与えない、とは有名な手工ギター職人のアーヴィン・ソモギー氏の言葉でしたが、まあそれでもやはり音に影響があるのではないかというコンパクトさです。

ちなみにトラスロッド

カナダのギターメーカーである、シーガルのヘッドをくり抜いたような形とも思います。

そしてこのギターの最大の特徴はなんといっても、カッタウェイ部分ですね。

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一見普通のカッタウェイに見えますが、実際には表面をえぐったような形になっています。これはハイフレットのプレイアビリティを向上させておきながらも、ギター内部の体積を確保し、鳴りへの影響を最小限にするための、それこそ手工ギターで頻繁に用いられる仕様です。

手間は掛かりますが、音はやはり普通のカッタウェイに比べると響くといわれています。

使っている木材に注目してみましょう。

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トップはスプルース、サイドバックはローズウッド、いずれも産地の表記はありませんが、単板です。指板はエボニーです。ネックはメイプルがメイン。サドルナットは牛骨です。

特別に杢目がきれいだとか、そういうわけではありませんが、奥行きのある目の詰まった木材で、外見からもしっかりとした質感が感じられます。

ちょっと注目すべきなのはこのギターがかなり質量のある木材と、軽い木材を合わせて使っていること。メイプルとエボニー、スプルースとローズウッド。いずれもバランスの良い音を生み出すのに役立っているのかもしれませんね。

それでは実際に弾いてみた感想を。

AVIAN Songbird サウンド評価

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さて、実際に弾いてみるとまず音量のダイナミクスの広さに圧倒されます。ほんのかすかに爪弾くアルペジオから、思い切りかき鳴らすコード弾きまで見事に音がついてきて、つぶれてしまうことがありません。

あまり作りや木材の良くないギターの場合には小さい音はこもってしまいやすく、大きな音はつぶれてしまいやすい。しかしこのギターは小さい音でもしっかりと音にハリがあって、きらびやかさをなくさないし、限界ぎりぎりの大音量でも表現力を保ってくれます。

音量については、ちょっと繊細なドレッドノートという印象です。

次に音色ですが、これは驚くほど明るくきらびやかです。もちろん低音から高音にかけて非常にバランス良く音が出るし、音が堅いわけではありません。単に倍音が豊かで、きらびやかさがあるということですね。

ローズウッドにマホガニーという組み合わせのおかげか、低音も高音も非常に迫力のある音で鳴ってくれます。ネックの細さ、薄さ、軽さが音のきらびやかさに貢献しているのかもしれませんね。

ちなみに音色を分かりやすくいうのであれば、新しい弦を張ったときのような音の傾向です。人によってはもっと音が丸い方が良い、甘さがある方が良いと感じるかもしれませんね。

例えば爪弾いて、フィンガースタイルでメロディを弾く人であればもう少し甘く暖かい音の方がいいかもしれません。個人的にこのギターをおすすめするとしたら、タッピングやストロークなどの入ったフィンガースタイルを弾く人ですね。

何より音量が出るし、ソロでストロークしたときの迫力から、アルペジオの繊細さまでそういったジャンルのフィンガースタイルに求められるものが揃っている。DADGADチューニングなんかにもしてみましたが、良い意味で弦の鳴る音=少し金属的できらびやかな音が、ローズウッドの重厚なサウンドと交わって、非常に存在感のあるサウンドになりました。

AVIAN Songbird 総評

そういうわけで今回はエビアン・ソングバードの紹介でした。総評を書くなら、非常に良いギターだと思います。存在感のあるサウンドを、高いバランス感の上に成り立たせた感じの音が、弾くこと自体を楽してくれます。

ちょうどエビアンを試奏したとき、定価70万円ほどの国産手工ギターも同時に試奏しましたが、感じたことが一つ。

それはエビアンのギターが良い意味で、「手工ギターの簡略版」であるということ。確かに国産の手工ギターは非常に美しい音を持っていますが、弾き方によっては音が全然前に出ず、表現の幅の広さ故弾き手を選ぶ印象がありました。私にはもったいない!というのが正直な印象です。

しかしエビアンのギターは手工のニュアンスを感じながらも、弾き手を補って音を前に出してくれる。音量しかり、きらびやかなサウンドしかりです。言ってしまえば「分かりやすい」サウンドなので、いくつも良いギターを持っている人からしたらつまらないかもしれない。

しかし、これまで数万円のギターを使っていて、グレードアップしたい人には、このギターは本当におすすめです。何より音が出るので、弾くのが楽しくて、曲を練習したり、作ったりするのが非常に進みます。

いかがでしょうか。

今回は島村楽器オリジナルのアコースティックギター、AVIAN Songbird エビアン・ソングバードを紹介しました。

お店で見かけたら是非試してみましょう。色々なアコースティックギターと比べながら弾くと、なるほど値段のわりによくできているなあと感じるはずです。

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平成3年生まれ。
2017年春頃より、二代目ライター田中に就任しました。メンズファッションを主に執筆しています。
以前のライターとも仲が良いので、様々なことを聞いて書いています。

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