品質重視のジャケットが欲しい人におすすめのブランド5選

メンズファッション

ジャケットは品質で選べ!

世の中には真に多くのテーラードジャケットが存在しますが、その中でクオリティを重視した長く着られるジャケットというのはごくわずかです。

さらに残念なことに、高級なインポートとされているブランドの中にも、化繊を多用し5年もすれば明らかに風合いが劣化するようなジャケット、あるいは手作業を極端に減らし、効率重視で作られた着心地の悪いジャケットを作るブランドが増えています。

実際にそのジャケットが10万円の価値があるの?と聞かれたとき、雑誌やネットで評判が良いから……店頭で人気だと言われたから……というだけで選んだジャケットに、胸を張って「10万円の価値がある」と言えるでしょうか。

ジャケットは男の「見る目」をそのまま表すアイテムです。しっかりと考え、目を効かせて選んだ品質の良いジャケットというのは、着る人にお洒落の感性だけでなく男としての判別力があるということを主張してくれます。

そういうわけで今回は品質重視のジャケットが欲しい人におすすめのブランドを紹介していきましょう。もちろん、どんな点で品質がいいのか、コストパフォーマンスがどうなのか、なんていうことについてもしっかりと触れながら説明していきます。

BEAMS F

beams f jackets

セレクトショップには数多くのインポートジャケット達が並べられておりますが、それと同じくらいのスペースをかけて並べられているセレクトショップオリジナルのジャケット。セレオリ、と聞くと利益率ばかりを優先した質の悪い商品を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、ジャケットやスーツなどのドレス系アイテムに関しては当てはまらない。

ボリオリやラルディーニといったブランド名でアドバンテージのあるブランドを並べていながら、インポート好きからしたら何のネームバリューもないオリジナルの商品を買ってもらうには品質と安さで勝負するしか道はない。そういうことで、セレオリのジャケットはブランド生地を使用し本格的なディティールを持ちながら5〜8万円ほどと、非常にコストパフォーマンスが高くなっているわけです。ちなみに同じような生地と仕様のジャケットをインポートで探すなら、10万円〜となることが殆どです。

そしてそのセレオリの中でも、コストパフォーマンスに優れているのがこのBEAMS F ビームスF。ここのジャケットは基本的に日本製で、テーラードと呼ぶにふさわしい手のかかった作りです。例えば襟裏のひげのような分かりやすいディティールはもちろんのこと、美しいマニカ・カミーチャ(雨降らし)による袖付けや、手縫いの襟付けなど、見えない部分にも手抜かりがない。

シルエットも今注目されているインポートブランドのジャケットをしっかりと研究しており、さらに日本人に合うようやや着丈を短く、細身にしています。そのため、誰にでも似合いやすく、これから品質重視のジャケットが欲しい人におすすめなのです。

CARUSO カルーゾ

 

caruso

中堅ジャケットの雄とは私が勝手に呼んでいるだけですが、しかしラファエル・カルーゾには中堅の良さがある。そもそもラファエル・カルーゾはイタリアの大手アパレルブランドであるMaco社が展開するサルトリアブランドですが、常にあんまし知名度が上がらず、人気になりきらない。しかしこれは良いことでもあります。

というのもインポートブランドが人気になると、およそ以下のような道をたどります。

①品質の良さが評判となり人気になる

②買う人がブランドネームだけで良いジャケットと判断するようになる

③そのブランドのタグがついていればどんなジャケットでも売れるようになる

④セレクトショップが利益を大きくするため別注で原価を下げ始める

⑤ジャケットの品質が下がるが、皆気づかずに買い続ける

つまるところ、値段は変わらないまま原価を下げればセレクトショップは儲かりますが、そのために生地のグレードや細かい仕様を省略するようになるわけです。ラペルのステッチがミシン縫いで、ヴィスコース80%ナイロン20%なんていうLARDINI ラルディーニが10万円以上の値段で売られているのはこういう理由があるわけですね。

逆に言えば人気になりきらないブランドというのは、いつまでも①を目指していなければなりません。つまり常に品質を意識し、品質で人気になるように努力している状態にあること。これが中堅ブランドの良さなのです。

そしてラファエル・カルーゾはまさにそれです。ボリオリやラルディーニよりは高く、ベルベストやイザイアよりは安い微妙な価格帯。インポート大国日本での微妙な知名度。こんなハンデを品質で補おうとするカルーゾのジャケットは、生地にも縫製にもケチの付けどころがない。コストパフォーマンスに優れた、全うなジャケットです。

Sartoria Partenopea サルトリアパルテノペア

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さて、これまた中堅ブランドであるサルトリアパルテノペアですが、こちらはおすすめする理由がカルーゾとは少し違う。こちらは「ナポリ仕立て」を手軽に味わうことのできるブランドとして、おすすめなのですね。

「ナポリ仕立て」というのは別にそういう種類のスーツやジャケットがあるというわけではありません。単にイタリア南部の都市ナポリのサルトリア(仕立て屋)が作る服が独特のディティールや、独自の理念を持っていることから、それらがまとめてナポリ仕立てと呼ばれるようになったわけです。

そのディティールというのは、袖付け部分をシャツのようにして付けるマニカ・カミーチャや高い位置で小さめのアームホール、立体的なパルカポケットなど様々なものがありますが、それらの多くは一つの理念=着心地の軽さにつながっている。マニカ・カミーチャは腕の可動域を大きくしていますし、ナポリの職人が作る高く小さめのアームホールを持ったジャケットは、両腕を真上まで上げても肩が浮かない。そしてパルカポケットは、身体に沿った立体的な前身頃に合わせてあのような形になったわけですね。

ナポリの職人は独自の研究と改良を続け、世界中を見てもナポリにしかない、柔軟で軽やか、リラックスしたエレガンテを備えたスーツを作りだしたということです。

そういったナポリ仕立てというのは本来、ナポリに自ら赴き、誂えてもらってこそ真価を発揮します。しかしナポリは治安が悪い場所も多く、ナポリ仕立ては高く、職人はまじめに納期を守ろうとしない。そういうわけでナポリ仕立てというのはなかなか、手に入れにくいものです。そういうわけでナポリ仕立てを世界に広めるべく生まれた既製服ブランドがいくつか生まれました。

その中で抜群にコストパフォーマンスが高く、まさにナポリ仕立て入門にふさわしいブランドと言えるのがサルトリアパルテノペアです。各所にナポリ仕立てを感じさせる手縫いを残しながらも、コストを抑えたこのブランド。個人的にはちょっとナポリ仕立てを「商材」としすぎているきらいがあるイザイアよりもこちらの方が自然で、職人的な誠実さを感じます。

Belvest ベルベスト

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さて、上でちらと名前の出たベルベスト。実はこのベルベストというのが、高級テーラードジャケットの「黒幕」です。世の中には数多くのハイブランドと呼ばれるブランドがあり、あーんなブランドタグやこーんなブランドタグで睨み合っていますが、なんのことはない、そのブランドタグをペリッとはがしてみれば下からベルベストのタグが出てくるという具体です。

かの有名な世界のトップメゾンであるエルメス、バーバリープローサム、ランバン、ラルフローレン、そしてロロピアーナと言った一流のブランドのジャケットのOEMを一挙に引き受けていた、あるいは今なお引き受けているのがこのベルベストなんですね。

そんなベルベストのジャケットはやはり値段が少し高いこともあり、日本で人気を博しているマシンメイドのジャケットブランド、ボリオリやラルディーニ、カンタレリ、タリアトーレなどとは一線を画す品質です。変わったことはしていない、非常にシンプルな作りでありながら、恐ろしく立体的で丸みを帯びたシルエットが、着心地を軽くしている。

神経質なまでに繊細なコバステッチがベルベストの精巧さをより印象付け、整然としたボタンホールにいたっては「ベルベストにしかできない」と言われるほど美しい。

圧倒的な存在感を持つこのマシンメイド最高峰、ベルベストのジャケット。何がいけないかって、それはもうベルベストを一度着たら、ベルベスト以上は着れてもベルベスト以下は着れなくなってしまうことでしょう。

Stile Latino スティレ・ラティーノ

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スティレ・ラティーノはチェザレ・アットリーニというイタリアを代表する高級サルトリアが展開する、セカンドライン。

チェザレ・アットリーニは現在最もエレガントにナポリ仕立てを体現しているといわれ、既製服で最高峰と言われているKiton キートンとタイマンを張っているブランドです。アットリーニの作るジャケットは丸縫いすなわちフルハンドメイドであったり、あるいは素晴らしい生地を使用したりとなるほど素晴らしい品質ですが、その値段といえば、神聖なるお札が少なくとも40枚くらい飛んでいってしまう。

その半分くらいの値段で手に入るスティレ・ラティーノは、マシンメイドが主体ではありながら、アットリーニのニュアンスを感じることのできる素晴らしいジャケットを作っています。

というのも、スティレ・ラティーノのジャケットは別注するセレクトショップによってもかなり値段と品質が変わりますが、良いものの場合、非常に希少な生地を贅沢に使い、さらにはジャケットの半分以上が手縫いだったりと、ほとんどアットリーニと変わらないような仕様だったりすることもある。まあ「そういった類いのスティレ・ラティーノ」はなかなか手に入りません。

一度イタリアから直輸入した、イタリア国内向けのスティレ・ラティーノが、まさにそういうジャケットでした。

日本のセレクトショップから売られているスティレ・ラティーノはそこまでは手が込んでいません。一見してみると、「これでこの値段?」とちょっと文句を言いたくなってしまう。しかし着てみるともう言葉が出てこない。まるきりマシンメイドとは思えない着心地。どんな風に動いてもつっかえることなく、可動域はニットのように広く、それでいてシルエットは絶妙にタイトで美しい。病み付きです。

そういうわけで、セールで見かけたら絶対手に入れましょう。スティレ・ラティーノです。

 

いかがでしたか?

今回は品質で選びたい人におすすめのジャケットブランド5選でした!

紹介しておきながら自分で「なんとまあ、ちょっとマイナーなブランドばかり集めたもんだ」と思いましたが、そこはお許しを。先ほども書いたように、人気なブランドは悪魔に魂を売ってしまうことがままあるわけです。もちろん人気なブランドでも良いブランドは多いし、最終的にはブランドだけではなくジャケットそのものをみて品質を判断するのが重要です。

ぜひこれらのブランドを見比べながら、本当にこだわった品質重視の一着を見つけてください。
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