Sartoria Partenopea サルトリアパルテノペアの魅力

メンズファッション

Sartoria Partenopea サルトリアパルテノペアとは

ナポリ仕立てのニュアンスを感じられるスーツを手軽に欲しいと思ったとき、さすがにアットリーニやキートンと言ったブランドは手がでない。そこで検討するのがイザイア、もしくはキートンのセカンドラインであるサルトリオ、アットリーニのセカンドラインであるスティレラティーノなどです。

しかしなんとなくしっくりこない。イザイアはなんとなくハンドステッチにわざとらしさがあったり、意外と着心地が自分に合わなかったり。サルトリオやスティレラティーノは着心地こそ良いけれど、やはりさすがにマシンメイド主体だけあってちょっと表情の豊かさに欠ける。

そんなときにちょうど隙間を埋めてくれるブランドが、Sartoria Partenopea サルトリアパルテノペアです。

値段帯的にはイザイアよりも少し安く、ディペトリオやジカプリといったブランドよりは高い。スーツにして20万円弱という感じです。

ナポリで伝説のサルトと呼ばれたアンジェロブラージが立ち上げたこのブランドは、同じく彼が昔展開していた既製服ブランドABLA アブラの後継ブランドとして、より現代的なシルエットと伝統的なサルトリア的手法の融合をはかっています。日本では少しマイナーなブランドではありますが、エディフィスやエストネーションといったセレクトショップにて扱われていて、着実にファンを増やしています。

ちなみにこのABLA アブラというブランドもまた、バーニーズニューヨークのエクスクリューシヴブランドとして復活したようです。以前のABLA アブラはベルベストを感じさせる精巧さとナポリ風の軽やかさを兼ねたブランドでしたが、現在はどんな感じなんでしょう。

ナポリの着心地と洗練されたスタイル

 

ナポリ仕立てといえばマニカカミーチャに始まり、自然体のシルエット、そしてセンツァインテルノと呼ばれる副資材を排した作りで有名で、その外見は一言で表すのであれば「リラックス」しています。こんな感じですね。

suit stripe shirt

これはもちろんナポリ仕立ての良さではありますが、逆に言うと威厳がないし、なで肩のシルエットやシワの多い見てくれなど、なんとなく風采が上がらないため、人によっては「あんなもんスーツじゃない」と否定したりもしますね。

しかしナポリ人は意外にも構築的なシルエットのスーツを作らせると、非常にうまく作る。これはいつもセンツァインテルノで芯地を省いて作っている分、逆に立体的なアイロンワークや縫製のみでシルエットを作り上げる技術ができあがっているからですね。芯地が無くても美しいシルエットを作り出せる彼らに芯地を用いたスーツを作ってもらうと、余裕さえ見せるような素晴らしいものを作り上げてくれるわけです。

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イザイアのグレゴリーというシリーズもそうですが、ナポリのブランドの肩パットの入ったモデルというのは、柔らかさときっちりとした印象の両方を持ち、他の地域のスーツにはないバランス感を兼ね備えていますね。

このサルトリアパルテノペアのジャケットも、マニカカミーチャというほどではありませんが、しっかりと波打つ袖付けです。

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これがマニカカミーチャのように脱力した雰囲気とまではいかずとも、力が入りすぎず、威圧感のないシルエットを実現してくれるわけですね。この辺りのさじ加減が、ナポリ流のナチュラルショルダーでしょう。着てみるとその着心地の良さに驚きます。もちろんアンコンのジャケットのように軽いわけではありませんが、肩パットや芯地が動きをさまたげることがなく、しっかりと身体についてきます。

最も手軽に「手縫い」を感じられるブランド

またサルトリアパルテノペアのスーツやジャケットは、やはり10万円付近のブランドと比べるとずいぶんと多くの部分が、手作業にて作られています。例えば襟付け。これは着心地を左右する部分ですから、譲れなかったのでしょう。またラペルの裏のハ刺もしっかりと行ってあります。ボリオリやラルディーニといったブランドではまず見られず、サルトリオやスティレラティーノでも別注元によっては省略することの多い部分ですね。

袖付けや、その他の着心地に関わる部分もまた手縫いで行われていることが多いようです。ちなみに贅沢なことに、ステッチやボタンホールも手縫いです。

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手作業らしさを感じさせる、なんとも愛嬌のあるボタンホールですね。ベルベストはボタンホールを見れば分かる、と言われるほど美しく端正に整ったボタンホールですが、サルトリアパルテノペアのそれは、まるきりナポリ人の性格の現れたような雰囲気です。リラックスしていて、端正と呼ぶには少し歪んでいる。しかし一針一針が丁寧に運ばれていて、職人の誠実さを感じます。

ラペルのエッジを縫うハンドステッチもそうですが、全体的に手縫いの割合が高く、しかもその一つ一つがしっかりと丁寧に行われている。もちろん同価格かやや高いイザイアも手縫いの割合の高いブランドですが、そのステッチはあえてハンドによるものだと主張するような、ずいぶんと長くラフなステッチだったりします。それは真心を混めた手縫いというよりは、少しビジネスライクな手縫いです。

サルトリアパルテノペアは言うなれば、職人の手縫いの柔らかさや温かさを最も手軽に感じられる非常にコストパフォーマンスの高いブランドの一つだと言えるでしょう。

見かけたら試着してみよう

ナポリ仕立てというのは元来、サルトリアに赴きスミズーラで作ってもらうことで初めて出来上がる仕立てです。そのため我々日本人にとっては恐ろしく入手が難しいスーツと言えるでしょう。

しかしその仕立ては、多くの魅力に満ちあふれている。それを少しだけでもニュアンスでも感じてみたい、そんな人にはまずサルトリアパルテノペアを試着していただきたいですね。

それにはボリオリやラルディーニといったマシンメイドのブランドとはまた違った次元の良さがあり、イザイアにはない柔らかさがある。サルトリオやスティレラティーノも非常に良いブランドですが、より職人的なものを感じたければサルトリアパルテノペアです。

セレクトショップなどで見かけたらまずは試着し、その着心地の良さを体感してみてください。

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