イタリア的ファッションの作り方
このサイトでは度々紹介しているイタリア風のメンズファッションですが、具体的にどうやって作るべきか。おさらいの意味も込めてもう一度解説してみます。
まず必要なものは以下の通り。
・仕立ての良いテーラードジャケット
・テーパードのパンツ
・ドレス仕立てのシャツ
この3つが、イタリアのメンズファッションの基本となっているアイテムです。そしてイタリア人のファッションの基本的な考え方は、「ドレスダウンしていくこと」です。これを覚えておきましょう。
どういうことかと言いますと、イタリア人のファッションには、軸がある。
それはイギリス的とも言える、完璧なスーツ姿です。このスーツ姿を、カジュアルジャケットとパンツのジャケパンへ、「ドレスダウン」する。さらに、パンツをデニムに変えてより「ドレスダウン」する。
イタリア人はこのようにしてファッションを作り上げます。だからこそ、ラフで軽やかでありながらも、どことなくまとまりがあり、何気ない統一感のあるファッションができるのです。
彼らは決して、適当なアイテムを「こんな感じ」と組み合わせているわけではありません。
彼らは常に「スーツ姿」からの距離感がどのくらいか、ラフすぎないか、はたまたシチュエーションの割には硬すぎないかなどを意識しているのです。
ジャケットの素材感で演出
(写真では分かりにくいですが、上二つがサキソニー、下左はフラノ、下中がツイード、右下がカシミア)
さて、話を秋冬へと進めていきましょう。
イタリア人は基本的に、一年を通して構成は似たようなジャケパンスタイルをしています。しかし、見てみるとその雰囲気は全然違う。それには2つの理由があります。
一つは色使い。春夏らしい色と、秋冬らしい色を使い分けているのですが、これは後ほど述べます。もう一つは素材感です。特にメインとなるテーラードジャケットの素材が春夏らしいか、秋冬らしいかによって、彼らは一流の季節感を表現しているわけなのです。
具体的には以下のようなものが、秋冬に好まれます。
・起毛のウール(フラノ、サキソニー、ツイード)
・厚めのコットン
・カシミア、アンゴラ
特に起毛のウールは秋冬のメインとなる素材です。ラルディーニやボリオリといったブランドのジャケットに見られるような軽やかでざらっとしたツイード、ツイードよりも細かく毛玉のあるような自然な風合いのフラノ、そしてなめらかで薄手のカシミアですね。
ツイードは英国調のハッキングジャケットや、スポーツジャケットに好まれますね。イタリアのブランドのものでも、エルボーパッチがついていたり、ポケットが斜めになっていたりと英国調の雰囲気のあるものがちらほら見られます。
サキソニーはREDAやCANONICOといったコスパの良い生地ブランドが得意としており、セレクトショップのテーラードジャケットなどによく採用されます。
厚めのコットンというのは、非常にカジュアルな印象がありますが、イタリア人には好まれます。カシミア、アンゴラなどはゼニアやロロピアーナ、ブリオーニといったラグジュアリーブランドの得意とするところ。普通の生地に比べると値が張るので、イタリア人で着ているはそれほど多くありませんが、贅沢な雰囲気でお洒落です。
以上が代表的な素材です。
特にテーラードジャケットの素材が、重要です。イタリア人はすっきりとしたシャツを好むため、シャツに関してはドレス生地の滑らかなコットンが比較的多く見られますね。フランネルシャツと起毛のジャケットでは、少しメリハリに欠けるという考えがあるのかもしれません。
ただ、パンツはバランスを取るため、薄手すぎないよう注意しましょう。場合によっては、起毛素材やコーデュロイなどのパンツを利用するのも良いですね。
またネクタイなどの小物も、起毛素材のものが好んで着用されます。ウールネクタイや、ウール混シルクネクタイは彼らの定番で、秋冬素材のテーラードジャケットと合わせて、暖かみのあるコーディネートを作るのに使われますね。
逆に春夏では、麻や薄手のコットン、シルクウールリネンといった混紡が好まれますね。
秋冬のカラーコーディネート
先ほど、ちらと書きましたが、季節感を演出するのに大事な要素の一つが色使いです。実際には色使いと素材が組み合わさって初めて、季節感が出ますが、とりあえずは色で考えていきましょう。
秋冬で好まれるのは、まず暗めの色です。
・モスグリーン
・ブラウン
・チャコールグレー
また、少し明るめの場合には紅葉や秋冬素材を連想させる色が好まれます。
・キャメル
・グレー
・ベージュ
・オレンジ
こういった色のテーラードジャケットが、彼らのメインになります。さらに、チェック柄が好んで着られるのも秋冬の特徴。ラルディーニやタリアトーレといったブランドのような大柄チェックから、クラシカルな千鳥模様、ガンクラブチェック、ターターンチェックにいたるまで。
細かいチェック柄はトラッドなイメージ、大柄は少しモードなイメージです。
いかがでしたか??
今回は秋冬のイタリア・ファッションについて解説してみました。ぜひ参考にしてくださいね!