『——いやいやとてもニコライなんかのできるわざじゃありませんよ、ロジオン・ロマーヌイチ、これはニコライじゃない』
ポルフィーリィ・ペトローヴィチ
ニコラシカ
世の中には変わったカクテルが沢山ありますが、中でも際立つ外見をしているのがニコラシカ。知らない人からすれば、どうやって飲めば良いのかさえ分からないカクテルです。
そんなニコラシカはドイツで生まれ、どんな理由があるのか、ロシア人男性の名前ニコライの愛称ニコラシカが名前となった。
分かりにくいですが、ロシア人には定番の愛称というか、名前によってのお決まりの愛称があります。ソフィアをソーネチカ、ロジオンをロージカ、ニコライをニコラシカといった具合ですね。
そういうわけで、ニコラシカがニコライという人物に関わりがあるのではないかとされています。もちろんニコライといえばロシア皇帝のニコライ2世、ということでニコライ2世がブランデーとレモンを合わせて飲んでいたのが起源ともされています。
ブランデーは主にフランスで作られる酒ですが、ロシアでは多くの人々に飲まれてきた酒です。19世紀の小説、カラマーゾフの兄弟では、主人公アリョーシャの兄弟であるイワンやドミートリィがブランデーを飲む描写が何度も出てきます。
そして注目すべきはその飲み方です。
ロシアでは伝統的に、ブランデーなどを一気飲みすることが多いらしい。ことによるとドイツ人がそんなロシア人の飲み方を見て着想を得て、ニコラシカを作り上げたのかもしれませんね。
ニコラシカの飲み方
ではそのニコラシカの飲み方ですが、これは意外に簡単。レモンを両端から摘んで、噛み付くか果肉の部分を噛み切って、口の中をレモンと砂糖の味で満たす。
そのあと、ブランデーを一気に注ぐといった訳です。バー等で頼む場合には、外見を重視して大量の砂糖が盛られていることも多いので、必要に応じて不要な砂糖を灰皿などによけてしまいましょう。
自宅で作る場合には、カットレモンが乗るように口の狭いグラスを用意します。砂糖は写真のように、自分の好きな分だけ乗せればいいでしょう。
ニコラシカは意外にも、簡単な飲み物です。
むしろ重要なのは、いつ飲むかということ。
すっきりと気分を一新させたいとき、身体を一気に温めたいとき。そんなときにニコラシカは大活躍です。かなりアルコールの強い、というよりはストレートのカクテルなので、酔うことは確実でしょう。
しかし逆にだらだらと飲みたくないときには、このニコラシカをスタンディングのバーで一杯飲んで、水を一杯飲んで帰るというのもおすすめ。イタリアのエスプレッソ文化に通じるスマートさがあります。
また、もう少し手軽に同じような味を楽しみたいという人は、しっかりと果汁の入った本格的なレモネードにブランデーを好きな分だけ足しましょう。