イタリアの生地ブランドの紹介は様々なテーラーさんがされていますが、実際に「こんなのだよ」と写真で紹介しているサイトは少ないものです。
そういうわけで今回はごく一部ですが、イタリア生地ブランドのブランド別特徴を、実際にそのブランドの生地を使っているジャケットの写真と共に「目で見た印象」をメインに紹介していきたいと思います。
Loro Piana ロロピアーナ
名実ともに高級生地メーカーの代表の一つとされているのが、このLoro Piana ロロピアーナですね。今回の写真の二つの生地はやや特徴的な柄のものとなっていますが、基本的にはよりシンプルな生地の多いブランドです。
ロロピアーナが作る生地というのは見て分かるように、一見するとわりとこざっぱりとした印象であることが多いです。ゼニアのようににじみ出る高級感があるというよりは、あくまで上品にエレガントな雰囲気を携えているといった印象。
その正体は控えめに現れる光沢感でしょうか。またロロピアーナの生地は柔らかく、襟のシェイプがふんわりとした印象になるのも特徴ですね。
ロロピアーナのプレタポルテのジャケットは非常に高価ですが、写真のようにロロピアーナの生地を使用し他のブランドが作っているものであれば比較的手頃な価格で買うことができます。
ORMEZZANO オルメザーノ
ややマイナーなブランドではありますが、40年の歴史を持ち、非常に綺麗な色合いの生地を作ることで有名なのがオルメザーノ。
写真のジャケットはコットンリネンのみを使った生地でありながらも、まるでシルクのような贅沢な光沢感を持っている不思議な生地です。このようなマジックのような風合い、色合い、そして手触りなどがこのブランドを人気にしたようです。
オルメザーノは個性的なチェック柄や、このようなヘリンボーン柄など少し変わったコレクションも多く発表している生地ブランド。
スーツというよりはアンコンのカジュアルなテーラードジャケットに使うことによって真価を発揮する、一癖も二癖もあるような生地ブランド。逆にせっかくオルメザーノの生地を選ぶのであれば、そういった癖のある生地を選んであげるからこそ価値があるとも言えるでしょう。
アリストン
アリストンもまたややマイナーな生地メーカーではありますが、イタリア本国ではゼニアなどに並んで一流とされる最高級生地メーカーの一つです。
このアリストンの生地の特徴はなんといってもその堂々とした存在感。例えばマセラティの4ドアサルーンであるクアトロポルテなんかは他の車とは「クラス感が違う」と讃えられたりしますが、まさにその「クラス感」という言葉が当てはまる生地メーカーです。
他の生地ブランドの生地が比較的手頃なジャケットから高級ジャケットまで幅広く使われているのに対し、アリストンの生地はある程度のグレードのジャケットしか「生地が」受け付けない。そういう印象です。
ですから人前に立つ仕事の人、存在感の欲しい人などはアリストンの生地がおすすめですね。
レダ
最高のコスパ生地とも言われているREDA レダの生地は、その値段帯からは考えられないほど高級感のある外見なのが特徴です。
国内のセレクトショップなどのスーツによく使われるのもまたこの生地ブランド。手頃な値段でありながらもイタリア製生地らしい風合いを楽しめることが、その理由になっています。
ちなみに写真のジャケットはシャークスキンと呼ばれるタイプの生地ですね。写真では分かりにくいですが非常に豊かな光沢感があり、安い値段で高級感が欲しい人には最もおすすめです。
チェルッティ
チェルッティはロロピアーナなどに次いで有名なイタリアの定番生地ブランド。先ほど紹介したオルメザーノが柄や色合いで個性的な生地ブランドだとしたら、こちらは存在がユニークな生地ブランドです。
というのもチェルッティの生地というのは一見すると、別に大したことのないような印象。
しかしなんとなく気になってしまい、今度はよく見てみると非常に鈍く、それでいて繊細な光沢感があることに気づく。さらに実際にふれてみると、まるで丁寧に磨き上げられた檜のようなつるりとした滑らかさがある。
そんな生地を多くコレクションとして発表しているのがチェルッティです。
写真の上はシルクリネンの一風変わった素材のジャケット。ざらざらとしたオーガニックな風合いを持っていながら、実はとても滑らかで上質な生地。なんとなく他の「生地」というものからは少し離れた世界にあるような、不思議な素材感です。
写真下はSUPER130’sウールのスーツジャケット。オルタネートストライプがお洒落なのはもちろん、やはりこちらも吸い込まれるような不思議な光沢感があります。
グアベロ
グアベロは世界を代表するブランドであるブリオーニなどとも信頼関係を築いている、一流の生地メーカー。
もちろん同じグアベロとはいえ一般に流通している生地と、ブリオーニのジャケットなどに使われているSUPER170’sウールのような高級生地ではものが違います。
それでもグアベロは高級感があり、目の細かい生地を特徴としています。値段帯的にはREDAレダとそれほど変わりませんが、いかにもな高級感を狙っているREDAレダに比べるとやや大人しく、生地本来の持つ雰囲気にこだわっている印象ですね。
グアベロはスーツ生地が得意なブランドなので、大手スーツショップやREDAレダと同じくセレクトショップのスーツなどに見られるはずです。
そういったアイテムは値引きがされることも多いので、ぜひチェックしましょう。
カノニコ
スーツ生地をメインとして様々な日本のブランドに採用されているREDA レダやグアベロに対し、カジュアルテーラードジャケットに使われる生地をメインに有名になっているのがCANONICO カノニコ。
TAKEO KIKUCHI タケオキクチやmonsieur NICOLE ニコールなどの上位ラインに使われることが多いため、若い人でもことによると知っている人はいるかもしれません。
こちらもコストパフォーマンスが良いことでしられており、ゼニアやアリストンといった上位グレードのイタリア生地に比べればやや堅い手触りだったりということはありますが、全体的にイタリアらしい艶感があるのが特徴です。
またカジュアルジャケットに多く使われる生地ブランドだけあり、季節感のある生地も多いのが特徴。写真のジャケットは強撚糸を使った春夏向きのものですね。
いかがでしたか??
本当にたくさんある生地ブランドのうちごく一部のブランド、さらにそのブランドの中でもわずかひとつやふたつの例ですので、他にも様々な生地があることは覚えておくと良いでしょう。
お気に入りの生地ブランドを見つけるうえで、参考にしていただけると幸いです。