腰痛で悩んでいる人はとても多いと言われています。一日中つきまとう腰痛に辛い思いをしている人は多いはず。今回はそんな人のために、腰痛の原因や対処法、そして治す方法を解説します。
腰痛の原因とは
あるアンケートによれば、腰痛が始まる年齢というのは意外にも若い人が多く、20パーセント近くが20代のうちに腰痛になったと回答しています。
その原因は「不明」「いつのまにか」というものに始まり、スポーツをしていたとき、重いものを持ち上げたとき、長時間のデスクワーク、交通事故など様々なものがあります。
それらは大きく分けると、二つに分けることができます。
「外部的な要因」と「生活習慣要因」です。これは便宜上の名称となります。
外部的要因
例えばぎっくり腰をするときのことを考えてみてください。強い衝撃が加わったり、重いものを持ち上げたときに起こる症状ですよね。このように、何かをしているときや何かが腰にダメージを与えることが腰痛の原因になることも多いです。
これは先ほど挙げたスポーツ、交通事故などによっても起こることの多い腰痛です。
生活習慣要因
言ってしまえば外部的な要因というものは「急性」であることが多いです。もちろん「ぎっくり腰は癖になる」と言われるように後に影響が出ることもありますが、それでもこの腰痛の症状はいったん時間が経つと治ることが多いです。
それに対し多くの人が悩んでいるのが、慢性的な痛み。いつまで経っても治らず、いつも痛みが続いているような腰痛です。
その原因となるのが生活習慣。生活習慣の中に長時間のデスクワークや運転があったり、工場ライン製造での立ち仕事などがあるとこのような腰痛になりやすいです。
さらに後ほど書きますが、普段長く使う椅子や寝具なども大きな原因です。
今回はこちらの生活習慣を原因とする、慢性的な腰痛について詳しく解説します。
どうして腰痛が起きているのか
ウェブ上には「腰痛に効く体操」「腰痛にいいクッション」などさまざまな情報や物が紹介されていますが、どのサイトもまるで腰痛が「あって当たり前」のものであるかのように扱っており、「どうして腰痛が起きているのか」についてはふれていません。
これはなぜでしょうか。
なぜなら多くの「腰痛に効く」という製品が具体的な根拠に基づいていないからです。負担を減らすクッションというものがありますが、
負担を減らすことで腰痛が治るのか??
と聞かれたら「そうではない」と答えることになってしまいます。ですからまずは腰痛がどうして起きているのかを知る必要があります。
腰痛は腰に負担がかかることから始まる
たった今「負担を減らしても腰痛は治らない」と言ったのに、腰痛は負担から始まるの??と不思議に思われるかもしれません。ですが、その通りなのです。
例えば100キロしか出ないはずの自動車で150キロを出した結果、エンジンに負担が掛かり過ぎて自動車が壊れたとします。壊れてしまった自動車はなんとか走れそうなので、「負担を減らすために」40キロで走りました。
そのとき自動車は自然と直っていくでしょうか?? いいえ、治りません。ゆっくりと走るのはエンジンを直すためではなく、それ以上悪化して走れなくなる前に修理工場にたどり着くためです。
腰痛にも同じことが言えます。
人間の腰はある程度の負担がかかっても耐えられるようにはできていますが、慢性的にそれ以上の負担がかかることによって、調子が悪くなってしまいます。
治るまでは負担を減らすのが重要ですよね。これは痛くならないため、これ以上悪化させないためです。
ですが「腰が悪くなるほどの負担が、どこから生まれているのか」を考え、その負担の発生源をなくさない限りはまた腰痛は起き、さらには悪化して治らなくなってしまうだけです。
腰痛の主な原因は「姿勢」にある
このウェブマガジンの健康カテゴリではかねがね紹介されていることですが、腰痛の主な原因は「姿勢」にあります。中でも最も大きなものは猫背です。
ちなみにここで言う姿勢というのは、いつでも変えられる「体勢」のことではありません。毎日の「体勢」によって影響を受けている「骨格のかたち」です。
今ぐっと背筋を伸ばしたからと言って猫背が治るわけではないのです。
さて猫背になったとき、どんなことが起きるでしょうか。
まずは背骨が曲がります。これもまた非常に良くないことではありますが、腰痛に限って言えばここが問題ではありません。問題は頭の位置です。
まっすぐの姿勢のとき、7〜8kgある頭部の重さはまっすぐと足で支えられ、地面へと分散されます。
この場合には地面が重さを支えるので、腰にはそれほど負担がかかりません。
猫背になったとき、頭は肩や腰よりも前に出ます。支えきれなくなった身体は、肩を後ろに引くことによって頭と腰の位置を合わせてバランスを取ろうとします。
するとこういう姿勢になります。
多くの人は猫背と聞くと「く」の字のような姿勢を思い浮かべるため、このような悪い姿勢をしているにもかかわらず自覚がありません。
結果、見苦しくお腹がぽっこりと出てしまう。背骨が内蔵を前に押し出す姿勢になっているので、もちろんダイエットをしても痩せません。
さらに今回の本題、腰痛です。
ストローのことを思い浮かべてください。
曲げる前のストローをまっすぐと机に立て、真上から押してみてください。曲がるように加工のされているストローでも、意外にも曲がらないものです。
しかしストローの曲がる部分を少しだけでも曲げて、真上から押してみると、ストローは一瞬でペコリと曲がってしまいます。
腰も同じです。
正しい姿勢でまっすぐと支えている分には重さが地面へ抜けていきますが、曲がった姿勢の場合は頭を含め上半身の重さのほとんどが腰にかかってしまう。この負担こそが腰痛の直接の原因なのです。
上半身の重さは全体の6割ですので、体重50キロの人で30キロ。30キロの重さを毎日腰で支えていたら、腰痛になるのはあたりまえでしょう。
姿勢を改善しよう
これで腰痛の主な原因となっている「悪い姿勢」のメカニズムが分かったはずです。
病院で「原因不明」だと言われた、という人がいるはずです。悪い姿勢は残念ながらレントゲンで見ても分かりません。非常に物理的で、基本的なことなので、悪い姿勢はドクターの管轄ではないのです。
そういうわけでこの姿勢について、より深く考えていきましょう。
腰痛を治すためには
・姿勢を悪くしている生活習慣を見直す
・悪姿勢を治す
この二つのステップが必要です。
腰痛の原因を作っている生活習慣を見直す
まずは腰痛の原因となる悪い姿勢を作り出してる、生活習慣を見直す必要があります。その最たるものといえばやはり、デスクワークや運転時の体勢です。
デスクワークをしているとき、パソコンの画面を覗き込むようにして作業をしている人はまず要注意。一日5時間以上もそのような体勢をしていれば 、骨格が次第に歪んでいき、猫背になるのは当然のことと言えるでしょう。
デスクワークが猫背の原因とは有名な話ですが、意識していないと意外にも猫背になっています。
これを解決するには
・ときどき意識して背筋を伸ばす
・椅子に浅く腰掛ける、もしくは椅子をしっかりと引いて座る
・椅子が高すぎないかチェックする
・机が低すぎないかチェックする
・文字やアイコンの大きさを変えるなど、画面に近づきすぎない工夫をする
などが重要になります。
立っているときの姿勢も注意しましょう。上の画像のような姿勢になっているとしたら、「自分の姿勢が悪くなっている」ということを意識しましょう。
そのためには、ときどきお尻を少し意識して前にし、お腹を引っ込めるようにすることによって、正しい姿勢に近いものを再現するのが良いでしょう。ちなみに正しい姿勢になると、息がしやすくなります。
また、寝ているときの体勢も非常に重要です。
軟らかい布団を使っている人は、毎日猫背と似たような姿勢で睡眠時間の6〜8時間を過ごすことになりますので、かなり深刻な悪影響となります。
やわらかい布団に寝ている人が腰痛になりやすいのはそういう理由があるのです。
悪い姿勢を改善する
さて、以上は悪姿勢をこれ以上進行させないためのプロセスでした。もちろんこうして猫背の原因をなくし、進行をとめるのは重要なことです。
しかし先ほども書いた通り、「壊れた自動車は直さないといけない」ですし、「悪い姿勢を治す」ことで初めて腰痛はなくなるのです。
繰り返しになりますが、悪い姿勢というのはすぐに変えられる「体勢」のことではなく、「骨格のかたち」が歪んでいることを示しています。これは病気のひとつと言っても良いでしょう。
これを改善するための方法は主に以下の3つです。
・信頼できるカイロプラクターの施術を受ける
・姿勢矯正の健康マットレスを使う
・姿勢改善の体操をする
ひとつひとつ見ていきましょう。
カイロプラクティック施術を受ける
カイロプラクティックというのは、日本では整体の一種とされている療法のひとつです。整体やマッサージと根本的に違うのは、カイロプラクティックは「骨格の歪み」を物理的に力を加えることによって元に戻すと言うことです。
ですからしっかりとした施術を受けた場合、猫背を始めとして様々な骨格の歪み(ひねれ、傾きなど)が治り、腰痛だけでなく肩こりや筋肉の痛みなどが解決する可能性も高いです。
カイロプラクティックは日本では民間療法ですが、アメリカやヨーロッパ諸国では立派な医療として国に認められている技術です。
しかし日本でカイロプラクティックが民間療法であるのはやはり問題です。
ひとつとしては保険適用外なので、経済的に負担がかかること。
もうひとつはカイロプラクター(技術者)によって技術がまちまちであり、信頼できるカイロプラクターを探さなければいけないことです。
繰り返しになりますが、信頼できるカイロプラクティック施術を受ければ、いろいろな問題の原因となっている骨格の歪みが解放され、たくさんの症状が解決することも多いです。
姿勢矯正の健康マットレスを使う
先ほどもちらっと書いたように、毎日6〜8時間を過ごす寝具が姿勢に及ぼす影響は絶大です。そのため良くない布団を使っている人は、かなり注意する必要があります。
逆にこの影響を「健康のための絶大な効果」にできないか、ということで姿勢矯正ができる健康マットレスも開発されています。
このようなマットレスの利点は何より、1日30分続けるのも難しいエクササイズの代わりに、毎日6〜8時間の睡眠を姿勢改善の時間として使えることです。
デスクワークの時間をも大きく上回る長時間なので姿勢改善の効果は絶大なうえ、寝るだけなので誰でも必ず毎日継続できるという良さもあります。
このようなマットレスの利点は、まだ先進技術なので選択肢が多くないこと、また値段が一般的な健康マットレスよりも高いことなどが挙げられます。
また効果を発揮するために厚手になっているため、ややかさばるという難点も。
詳しくはマットレスの記事を参考にしてください。
姿勢改善の体操をする
最も手軽で、コストもリスクも小さくできるのが姿勢改善の体操でしょう。
ネット上には様々な腰痛に効くとされる体操があるので、その中でも「理にかなっている」と思われるものを自分で選び、試してみるのがおすすめです。
このような姿勢改善の体操は効果があるもの、無いもの、そして悪影響のあるものがあります。
いずれにしても3日ほど続けてみて様子を見れば、だいたい「こんな感じか」と分かるはずですので、まずは試してみてください。
姿勢改善の体操をするうえでのポイントは以下の通りです。
・必要に応じて専門家にアドバイスを求める
・痛みがあるときには無理して体操をしない
・痛みを我慢するような体操はしない
・反動をつけたり、急な動きのある体操はしない
・時間は短めで、毎日継続できるようにする
・自分に合わないと思ったら中止する
これらを守って姿勢改善の体操を行うことで、安全に様々なタイプのものを試すことができるはずです。特に最後の自分に合わないと思ったら中止をするはとても大事。
悪化するのを防ぐためには、「これは駄目かも」というときにはすぐやめるのが重要です。
まとめ
いかがでしたか。
今回は腰痛に関する本当の知識と、対処法を紹介してみました。
ぜひ参考にしてみてください。
おまけ:腰痛のとき「正しい湿布の使い方」
最後におまけですが、湿布の使い方について少し書こうと思います。
偶然聞いた話なのですが、間違った使い方をしてしまわないためには、知っておいた方が良いなと思ったので追記です。
冷たい湿布は「急性」に
一般的に湿布といえば冷たいもの、というイメージがありますが、これは急性の腰痛にのみ効果があります。たとえばスポーツでひねってしまった(ねんざ)、ぎっくり腰のように重いもので腰が痛くなってしまったなどというときには冷たい湿布が有効です。
これは温度を下げることによって、炎症を抑えるためですね。数日しても痛みが治まらない場合にはすでに炎症とは別の痛みである可能性があるので、湿布は貼らずに病院で相談しましょう。
「慢性」には温かい湿布を
逆に多くの人が悩んでいる慢性の腰痛の場合には、冷たい湿布は効果がありません。そういった慢性的な腰痛の場合は周辺の血管拡張をするため、温かい湿布をします。
特にお風呂に入ると楽になるような腰痛には、このような温かい湿布が効果的です。
以上です。