編集部で熊本県に出張に行ってきました。くまもんって県内には意外と少ないようですね〜
熊本市内には「味噌天神」なんて面白い地名があります。
また、他県にはない「鶴屋」という老舗の郷土百貨店があるのが特徴です。
大丸や三越、伊勢丹などは数多くありますが、1県にしかない百貨店というのは県外の人からすると新鮮です。
俵山温泉 竹楽亭
竹楽亭は熊本の俵山という山の麓にあります。
なだらかな傾斜の俵山は雑木林が少なく、まるで米俵のような色をしています。
有名な阿蘇山の隣にあり、少し車で登るだけで壮大な景色を楽しむこともできます。
ただ、天気によっては曇ってしまうので冬場のほうが透き通っていて景色が綺麗です。
鹿児島県にある霧島温泉とくらべても、なだらかな山なのでまるで丘のように感じるかもしれません。
この、のどかな雰囲気がまさに熊本の魅力とも言えます。
竹楽亭の周辺は田舎町で、コンビニさえも殆ど無い地域になります。
交通量もとても少なく、窓を開けてのんびりドライブしてそのまま宿に到着できます。
本州と違い交通量が少ないのも、九州の温泉街の魅力ですね。
昔ながらの広々とした和の宿です。
京のような古くから丁寧に手入れをされ清潔にしようされているというのが伝わってきます。
本来の日本の美しさというのは、消費ではなく古いものを大切に丁寧に使うという侘びしさに存在するのだと実感できます。
宿は全て離れになっていて、まるで自分の別荘のようにのんびりと滞在する事ができます。
最近では広い畳の部屋を持っている家庭も少なくなりつつあるので、特に都会の洋風な住宅に住んでいる人には、この畳の雰囲気を気に入るはずです。
滞在中も、まるで実家に帰ったようにリラックスしてのんびりとくつろぐ事ができました。
20代、30代のデートや旅行であればハイセンスなシティホテルで華美な時間を過ごすのも良いですが、40代も過ぎるとこういった”広々とした和室での何も無い時間”というのに魅力を感じるかもしれません。
そういった意味でも、竹楽亭は”遊びに行く”というよりも、日常の疲れを癒やしに行く、という温泉宿と言えます。この竹楽亭のもうひとつの特徴は、部屋に温泉があるということです。
24時間好きな時に、阿蘇の天然温泉をゆったり楽しめるのはたいへん魅力的です。
今回は6月に利用しましたが、個人的には12月の滞在が特にオススメです。
震えが来るような冷気の中シャワーを浴びて、体をしずめる個室の温泉は何にも代え難い感動があります。
竹楽亭の食事
那須高原、房総半島、伊豆半島、加賀温泉、蒲郡温泉など今年だけでも色々な旅行してきましたが、ここの食事は格別美味しいです。
宿のホームページでは食事についての宣伝はあまり触れていませんが、自産自消をテーマとしており、和洋折衷の熊本を堪能できる食事が用意されます。
メニューは四季折々で変化しますが、前菜盛り合わせから、地元天草の鮮魚お造り、ヤマメの塩焼き、熊本馬刺し、天ぷら、地元の牛の赤身などなど
和食をテーマにしつつも、中華の要素を取り入れたりと感動的な料理の数々です。
前菜は和を中心にして中華風なアレンジなどモダンな味付けも用意されており、若い世代でも楽しめるような味わいです。
鮮魚は白身魚の刺し身を中心としていますが、九州のお魚は身が引き締まって味が凝縮しています。石川県などの日本海側の刺し身にも少し似ています。
しょうゆは甘露醤油のような甘めのもので、関東とは異なる塩気の少ないもので刺し身にぴったり会います。
次に出るヤマメの塩焼きは、大衆のお店で出るような焼き過ぎでパリパリに乾燥して干物のようなものとは全く異なり、身がフワフワで素晴らしいです焼き加減で、この1品だけでも唸るような仕上がりです。添えられているカラシレンコンもまた熊本の郷土料理で、サクッとした食感にほどよい辛さを感じられるものです。
次に出た馬刺しもまた名物の一つですが、今までに食べた馬刺しの中で最も新鮮でコクがあるにもかかわらず舌の上で溶けるような上質な脂が感動的です。
珍味のタテガミもまた、生の脂身にもかかわらず、さらっと食べれてしまいます。
食感は新鮮なイカのようなサクッとした食感です。
好みで薬味の生姜やニンニクの摩り下ろしなどを添えて食べるのが良いです。
以前、熊本空港でも馬刺しを食べた事がありますが、ここの馬刺しは本当に絶品です。
もちろん県内には馬刺しを売っているところが多いですが、全国を見てもわずかと言えます。
次に出る”赤身”もまた、生で食べれる品質管理で、一緒に提供される鉄板でわずかに炙ってレアで食べるのがオススメです。阿蘇王という地元の和牛で、ヒレとロースが出されますがどちらも極上の味わいです。
オージーなどの輸入牛と比べると、脂がすっきりと控えめで、僅かな酸味と香りの立ち方が良いです。脂が少ないと言っても、リンツリンドールのようなすぐに消えるような爽やかな脂なので満足度は高いです。
といった感じで、料理だけのために訪れても感動するような料理の数々です。
これだけ素晴らしいメニューでありながら、本家が強く宣伝していないのが驚きです。
温泉・個室・食事など、どれを取っても格別なのに”控えめ”なところが日本的な美学ですね。
個室でのくつろぎ
5000坪の広い敷地では、庭園が作られていて浴衣姿で行き来できるようになっています。
全て屋根が付いているので雨の日でも濡れずに移動できます。
それだけでなく雨天でありながら、京都のお寺のように雫が滴る木木を望むこともできます。
部屋にも種類があります。
以前冬に泊まったときは一番奥にある部屋で、縁側の先に露天風呂がある小さめの個室でした。
8畳と2畳といった感じで、少し狭いように思えますが、2人で使うと庭を望めることもあり広々としたした空間です。
今回泊まった部屋は、洞窟風呂の前のお部屋で8畳間が2つ用意された部屋でした。
2人で泊まる時は小さな部屋で、4人以上の場合は大きな部屋がオススメです。
露天風呂は小さな部屋は深めの温泉で、広い部屋は浅めの温泉なので覚えておくと良いです。
熊本に訪れるのであれば、一度は行きたい和風旅館
普段から田舎でのんびり住んでいる人からすれば、竹楽亭は何もない旅館といえますが、普段慌ただしく生きている人には本当にオススメできる旅館です。
喧噪に包まれて人混みで生活しているのであれば、鳥の声だけが響く静かな何もしない時間というのは、「極上の贅沢」と言えます。
費用もわずか一人1万5千円程度で、温泉付きの個室と素晴らしい夕食、優しい朝食、おもてなし。
本当に価値があります。また紳士なお客さんばかりなので、ゆっくりと一日くつろぐことができます。
一度行き気に入った人は毎年慣例で行きたくなるような独特な魅力をもつ旅館です。
もし熊本を訪れるのであれば、ぜひ検討してみて下さい。