おはようございます、ライター田中です。
昨晩あれほどバローロを飲んで酔いつぶれ、日付変更線が頭上を通り過ぎようとさえしている時間に「今すぐ簡単!イタリアオヤジになれる方法」なんていう恐ろしく安直な記事を書いておりましたが、たいへん規則正しく起床し、記事の執筆に掛かるところです。
さて、そろそろ春夏に向けて皆さんもクローゼットを総入れ替えしているころではないでしょうか。
冬物をしまうか、まだもう少し出しておくか微妙に悩ましい程度の時期ですが、気分は完全に春!ということで、シャツについて。
現在BEAMSやUNITED ARROWSなどセレクトショップでは、色々なシャツブランドが出ては消えてをしていますが、中でも個人的なおすすめブランドを3つ紹介しようと思います。
1. Anna Matuozzo アンナマトッツォ
やはり個人的に最も気になっているシャツは、アンナマトッツォのシャツ。
「今さら?」、「どこで手に入るんだよ!」と突っ込まれてしまいそうですが、実は今年から新宿伊勢丹メンズ館で常時オーダーによる注文を受け付けるのだとか。
別注もとによって手縫い部分が違ったり、色柄に個性があったりというアンナマトッツォのシャツですが先日、丹青会で見た感じではアンナマトッツォの個性を最も良く活かした、いわゆるハンドメイドのシャツとなっていました。
アンナマトッツォのシャツが日本で常に、生地の宝石と言われるカルロリーバ社の生地でオーダーできるとなれば、嬉しい人は多いのではないでしょうか。
ところで10万円という値段設定は、ごく上品で控えめな言葉を用いて表現しても「ぶっ高い」ですが、しかしFRAY フライの既製シャツが7万円のご時世ですから、まあそんなものでしょう。
アンナマトッツォは定番と言ってしまえば、定番のシャツブランドです。
しかしやはりこのブランドならではのギャザーの寄せ方、立体的で動きを考慮したカッティング、独特の雰囲気のある星ステッチなど、アンナマトッツォでしか体感することのできない世界観があり、それを思うといつも気になってしまうのです。
2. Francesco Merolla フランチェスコメローラ
こちらも今年から新宿伊勢丹メンズ館で取り扱いの始まる、最注目カミチェリア。フランチェスコメローラと言えば、ナポリでも指折りの狸オヤジとして有名なシャツ職人です。
もともとは奥さんと二人で別の名前でやっていたカミチェリアですが、かくかくしかじか大人の事情により今ではフランチェスコメローラが、また他の助手の女性とシャツを作っていますね。
ところで何が狸オヤジなのかって?
これはナポリで仕立てたときの話ですが、カルロリーバの生地ともう一枚、使いやすいライトグレーのストライプ柄の生地を指定したところ、以下のような手順でスミズーラが進んだわけです。
- 約束の1ヶ月後に届かない
- 待てど暮らせど届かない
- 首を長くしすぎてハイカラーシャツが似合いそうな始末
- 「届いてないよメール」を送る
- 「もうシャツ送ったよメール」が来る
- 「いや、来てないよメール」を送る
- 「え、シャツ送ったはずだよメール」が来る
- 「トラッキングナンバー教えてメール」を送る
- 「あなたの住所なんだっけ?メール」が来る
- しばらく待つ。
- 「あなたのシャツ送ったよメール」が来る
- 1週間待つ
- シャツが届く
- ライトグレーのストライプのはずが真っ赤なロンドンストライプシャツが届く。
ほかほかほかほか//////////////////////
で、何が注目かと言えば、そのコストパフォーマンス。新宿伊勢丹メンズ館にも少数ずつしか入荷しないらしいですが、2万円台前半で袖付けハンドの既製シャツが展開されるのです!
ハンド率どうこう云々ではなく、フランチェスコメローラのシャツは基本的なシルエットが良く、前身頃がやや狭め、後ろ身頃が広め、アームホールが高めで小さい、といったことが非常に良い塩梅でなされており、ナポリシャツらしい着心地の良さ、動きやすさを体感できるのです。
それがこの値段なら、間違いなく買いだ!ということで、おすすめなのです。
3. Piazza Marconi ピアッツァ・マルコーニ
こちら、ピアッツァ・マルコーニは、かの有名な世界最高峰のシャツ工房であるジョヴァンニ・イングレーゼのマシンメイドライン。ちょっとレアではありますが、トゥモローランドなどで展開があり、手の入る、そして手の届くマシンメイドシャツとして大変おすすめです。
そもそもジョヴァンニ・イングレーゼはアンナマトッツォに並ぶ一流カミチェリアで、その手縫いシャツは圧巻の仕立て。まだ縁がなく購入したことがなく恐縮ですが、本当に美しいシャツです。
着道楽な知人の着ているところを見て「お願いですから、後生ですからFRAY フライのシャツ2枚と交換してください、頼みますよ、今脱いで渡しますから」とお願いしたのは内緒です。
そんなジョヴァンニ・イングレーゼのマシンメイドラインであるピアッツァ・マルコーニのシャツは、流石一流カミチェリアという素晴らしいでき。
そもそもが安いマシンメイドシャツを作っているブランドではなく、スミズーラに基づいた技術で手縫いシャツを得意とするカミチェリアだからこそ成せる技がたくさん詰まっています。
まずはシルエット。基本的なシルエットは非常にクラシックですが、それが良い。身体を包み込む感覚でありながら、動きを考慮したマージンを残したパターン。
これって意外に難しいんです。例えばマージンを下手に取ればフィット感の無いシャツになってしまいますし、逆にフィット感を重視してタイトにしすぎてしまえば、動きにくいシャツになってしまいます。
こういったところを難なくこなし、マシンメイドラインでありながら、手縫いのボタンホールなどルイジボレッリやフィナモレなどとは比較するのがおこがましいほどの美しさで、まったく恐ろしいシャツだと関心するばかりです。
以前日本で取り扱いのあったルチアーノ・ロンバルディの既製シャツも驚異的でしたが、こちらもかなりおすすめ。見かけたら試着必須です。
いかがでしたか?
今回は個人的に今年イチオシのシャツブランドを紹介しました。
見かけたら是非試着を。また、新宿伊勢丹メンズ館のオーダーもお見逃しなく。