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孤高なる伊の名車マセラティ スパイダー

長年に渡ってフェラーリのライバルであったイタリアのメーカー、マセラティ。今ではラグジュアリーで官能的な車を小量ずつ生産しています。

マセラティ スパイダー カンビオコルサは、その前に発売されていたマセラティ 3200GTの後継として発売されました。

その3200GTは巨匠、イタルデザインのジウジアーロが生み出した曲線的で優雅なデザインの車。それをさらに20センチ切り詰め、贅沢な2シーターオープンカーとして生まれ変わらせたのがマセラティ スパイダー。

そのオープン化を担ったのはなんと、これもまた大御所のデザイン事務所であるピニンフィリーナです。

それはデザインに価値があるイタリア車でも珍しい、ピニンフィリーナとジウジアーロの共演で生まれた車。ジウジアーロのデザインを、ピニンフィリーナが見事にアレンジするカタチで完成された、美しくそして特別な車がマセラティ スパイダーなのです。

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フェラーリが生んだのは、「次なるマセラティ」

フェラーリが作ったV8 4.2Lエンジンのサウンドは美しいとしか言いようがありません。

お気づきかもしれませんが、このくらいの車になると「エキゾースト音」というよりは「エンジン音」という言葉が使われるようになりますよね。

そう、素晴らしい車のサウンドはマフラーからではなくエンジンから出てくるのです。

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今回は「今日から大人になれる本」の編集部で、マセラティスパイダーのエンジン音を収録してみました。

使用したのは音楽のレコーディングに使われる機材。

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実際に車の横に立って聞いた場合とそっくりなサウンドができました。

アイドリングからニュートラルで吹かしているサウンドなので、実際に走っているときの音とはちょっと違います。でも意外に静かなんですよ。

シュトラウスなどの音楽家に「個性がない」と言われてしまっているフルートのように優しい音ではなく、ぴったりと息のあったユニゾンで3台のホルンが低音を吹き鳴らすようなサウンド。それもあくまで強すぎず、ピアノ(p)で。

ホルンのゲシュトップフト奏法は倍音を豊かに含んだ金属的な音が特徴ですが、マセラティスパイダーのエンジンサウンドにはそれに通ずるものがあると思います。

フェラーリ製のV8エンジンでも、設計は完全にマセラティのためになされていますので、あくまで低い、低く轟くような音。

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フェラーリが作ったのは「フェラーリのコピー」ではなく、「次なるマセラティ」に他ならなかったのです。

座るだけで心臓が高鳴るマセラティ スパイダーの特別感

マセラティ スパイダーは一般車ではありません。

それは外から眺めたときはさることながら、そのシートに腰掛けいざ自分が運転するときになると完全に理解することになるでしょう。

フルレザーの内装。これはカッシーナで取扱いのある、イタリアを代表する家具ブランド、ポルトローナ・フラウ社によるものです。フラウのレザーを使用した車は少なくありませんが、やはりアルファロメオなどに採用されているものに比べるとグレードが異なると言われています。

ダブルステッチで仕上げられたシートと、ベージュ革にブラウンのパイピング。

ダッシュボードまで全てが一体として作り上げる高級感が、エレガントな印象を生み出しています。

適度な固さと上品なデザインのレザーシートはあくまで高級車。しかしずいぶんしっかりとしたランバーサポートが、恐るべきポテンシャルを秘めたスーパーカーであるということを物語っている。

その視点から見える全てが、心を踊らせ高鳴らせる車です。

たまに「あの車は値段の割にパフォーマンスは◯◯と同じだから無駄」などというように、マセラティやその他の車が語られることがあります。

しかしそういう話ではありません。

この車を所有すること、この車を運転すること、この車と過ごす時間全てが特別なものであること。それこそがこのようなスペシャリティカーの良さなのです。

優雅な余裕と、秘めたパワー

エンジンは390馬力を誇る大パワー。

しかし乗ってみればそれが「余裕」を作るためのものであって、峠で他車と勝負するためのパワーではないことが分かるでしょう。

もちろん、そうは言ってもこのエンジンは問答無用で速い。

normalモードからセンターコンソールのボタンでsportモードに切り替えると、足回りやミッションの反応が俊敏になり戦闘態勢に入ります。

0 – 100km/hが5秒というその加速は強烈で、回転数が上がれば上がるほど勢いを増します。それはまさに、頂点に上り詰めるという言葉が最適でしょう。

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1000回転ではもったりとしていた車が3000回転を超えた辺りでドラマチックな変化を迎える。それはサウンドにおいても、その挙動においてもです。

普段2500回転でシフトアップしているときにはGTカーであったマセラティスパイダーは、3000回転を超えた辺りでスーパーカーへと切り替わる。

トルクのピークが4500回転というのは後で知りましたが、確かに納得です。

滑らかに伸び、ドラスティックで強烈にパワーが高まっていくこのフィーリングは大排気量NAならではだと思います。

ビトルボ、つまりツインターボが特徴であったマセラティがフェラーリからその心臓を授かったのは間違いではなかった。

マセラティ スパイダー 総評

もちろんこの車は2シーターですし、トランクだって大きくはないのが正直なところ。

普通に使おう思ったらもっと安定し、便利な車はいくらでもあるでしょう。

しかしこの存在は類い稀です。

現代の流行の厳ついライトやボディのデザインとは一線を画す、クラシカルで優雅なデザイン。

そのボディに秘められた強烈なパワーと官能的なサウンド。

特別感に溢れるインテリア。

パドルシフト“カンビオコルサ”で操る2ペダルMT。

このシートに腰掛けてどこかワクワクするような所へ出かけられること、この隣のシートに大切なパートナーを乗せて走れること。

そんな、当たり前に出来そうなことを極めて「幸せな、特別な時間」にする力がこの車にはあるのです。

マセラティ スパイダー ギャラリー(写真)

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