【実感】バカだと恋愛小説を読むことさえ難しい

彼女「はしちゃんって、本当に馬鹿だよね」

彼女「そんな頭で生きていれて立派だよ」

私がバカであることを褒め称えて来ます。
いや”こき下ろす”と言った方が正しいでしょうか。とにかく事あるごとに襤褸糞ぼろくそにけなすのです。

彼女は13歳の時にはドストエフスキーを読んでいたという文化人で、家中に文庫が乱雑に置かれています。
とにかく彼女のような文化人に一歩でも近付こうと、玄関にボコッと落ちている文庫を懐に入れて職場に出たのです。

厳密には二冊落ちていて「銀河ヒッチハイク・ガイド / ダグラス・アダムス」の方はつまらなそうなので、もう一冊を選びました。

外科室・海城発電 他五編 泉鏡花

ふむふむ。何言ってる分からない……。

ともかく、表紙では1ミリも内容を想像できませんでした。
(それに「外科室」と「海城発電」はそれぞれ代表作であって、この本には5編収録されているという事には”後から”気が付きました。)

 

最近のライトノベルのタイトルはこうです。

『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』

 

それと比べると、やはり文化的な小説はタイトルから違うなぁ〜とページをめくったのです。

 

まさかの読むことができない

越中高岡たかおかより倶利伽羅下くりからじた建場たてばなる石動いするぎまで、四里八町が間を定時発の乗り合い馬車あり。
賃銭のやすきがゆえに、旅客はおおかた人力車を捨ててこれに便たよりぬ。車夫はその不景気を馬車会社にうらみて、人と馬との軋轢あつれきようやくはなはだしきも、わずかに顔役の調和によりて、営業上相干あいおかさざるを装えども、折に触れては紛乱を生ずることしばしばなりき。

 

!?

 

大人になれる本の読者様は、博学多識だと思うので、すんなり導入部が読めるはずですが、恥ずかしながら私には何が書いてあるのかチンプンカンプンでした。

青空文庫から全文読めるので、興味がある人はどうぞ

義血侠血 / 泉鏡花
https://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/363_20915.html

全然頭に入ってこない

とりあえず読み進めたのですが、馬車と人力車が競争しているシーン?のような部分に登場人物が出てくる程度のことしか理解できません。しかも、私が読んでいる6ページは「外科室」ではなく「義血侠血」という短編である事を知ったのは、ずいぶん後になってからでした。

メインタイトルの「外科室」は112ページから始まるこちらでした!

義血侠血から比べると、やや読みやすい?ような気がします。
途中まで知らない単語を一つずつ検索して読み進めたのですが、非常に便利なサイトを見つけてしまったのです。

現代語訳になってる(T_T)

 

めちゃめちゃ読みやすい!!

 

異世界転生系ライトノベルとまで行きませんが、非常に読みやすいです。

 

どうやら泉鏡花のような古い作品は、明治期の「文語体小説」といって、樋口一葉や森鴎外なども原文は文語体のようです。

彼女「そんな事も知らなかったの!?すごい!!(バカ)」

という声が背後から聞こえて来そうです……。

 

泉鏡花の外科室は恋愛小説だということ。

現代語訳で読み進めて分かったことは、「手術室で医師と再会した夫人は、9年前に一度だけすれ違った”一目惚れした相手”だった。そして重病の夫人は、手術で麻酔を使わずに、その恋した医師の手の中で死に、本懐を遂げた。後を追って医師も死んでしまった。」という内容であったということです。

 

私のように勉強をしてこなかった人間には、恋愛小説を読むことさえ難しいという事です。

そして文語体小説の日本語は美しいという事です。語彙力が乏しく検索しながらでないと読み進められないのですが、とにかく日本語の表現が美しいのです。

フロックコート着たる紳士、制服着けたる武官、あるいは羽織はかま扮装いでたちの人物、その他、貴婦人令嬢等いずれもただならず気高きが、あなたに行き違い、こなたに落ち合い、あるいは歩し、あるいは停し、往復あたかも織るがごとし。予は今門前において見たる数台すだいの馬車に思い合わせて、ひそかに心にうなずけり。渠らのある者は沈痛に、ある者は憂慮きづかわしげに、はたある者はあわただしげに、いずれも顔色穏やかならで、せわしげなる小刻みのくつの音、草履ぞうりの響き、一種寂寞せきばくたる病院の高き天井と、広き建具と、長き廊下との間にて、異様の跫音きょうおんを響かしつつ、うたた陰惨の趣をなせり。

いつになったら立派な大人になれるかは不明ですが、これでまた

唯一の真の英知とは、自分が無知であることを知ることにある。

という事に気づいたのです。



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