※2022年1月19日追記
多くの方がリンクからピエール・ルグラを購入していただいているのですが、リンク先のルグラはNVなのでミレジメと味が違うかもしれません。昨年30本以上の1~2万円シャンパーニュを飲んで最も美味しかったのは、確実にエンクリです!サロンとクリュッグの畑に挟まれた素晴らしい立地から取れる葡萄は、実際に飲んでも桁外れの仕上がりです。デュラモットを飲むくらいなら、エンクリを一度飲んでみてください!きっと驚くはずです。
去年の夏ごろ、台湾から直輸入した「大禹嶺烏龍茶」を自慢気にりんりん氏に見せたことがあります。産地から直送したばかりの品で、開封して数週間しか経っていない新しいものでした。
どんな称賛の言葉をもらえるかワクワクして彼に茶葉を見せたのですが、彼は一言「はっしーさん、これ酸化していますよ」と語るだけで、その茶を淹れる事はありませんでした。
お茶の酸化というのは様々なもので、このように軽度な酸化、生産者がそのままパックに詰めて売ってしまうようなものから、湿気に触れて長時間放置されて二度と飲めないようなものまであります。確かに、この茶を実際に淹れて口に含んでみると、湿った段ボールのような痛んだニュアンスを感じ、とても素晴らしいお茶とは言い難い状態でした。 飲み込めないほどではありませんが、一度酸化していると言う情報を聞いてからネガティブな部分が感じ取れるようになってしまいました。
なぜこの話をしたかというと、飲み手というのは権威に弱いということです。「有名で高級なお茶だからきっと素晴らしい味だろう」という先入観から、実際は劣化しているものをおいしいと自慢してしまったのです。
では、有名なものであっても自信を持って自分の価値尺度で評価するためにはどうすれば良いのか。それはそのジャンルで、数多くの体験と修行をつまなければなりません。体験した分母数が多くなればなるほど、今飲んでいるものの価値尺度というのを照らし合わせて判断することができます。
ドンペリは価値に見合っていない?
「ペリエ・ジュエベル・エポック」も「ドン・ペリニヨン」も2014年頃までは、1本12,000~13,000円程度で購入できました。MHD(モエヘネシーディアジオ)によるブランド戦略、もしくは市場の原理(需要と供給)によって、わずか6年で2~3倍以上の価格に改定を繰り返してしまいました。中身の味が同じように、当時の何倍にも美味しくなったわけではありません。
実際に飲んでみた感想は、以前飲んだ「ドン・ペリニヨン2009年」よりもさらに味が低下していたように感じます。具体的には雑味が多く、香りが華やかでないということです。この程度の味わいと香りであれば、RMシャンパーニュであれば実売価格6,000円から8,000円程度のものと同等の品質です。1万円以下で売っている、ピエール ルグラ ルート アンペリアル ブリュット ミレジム グラン クリュ 2008の方が雑味が無く、果実感があり香りもエレガントで明らかに美味しいです。 他にも無名だけれど美味しいシャンパーニュは数多く存在します。
一部のグランメゾンこそ、数年前から価格が3倍に上昇するような異常事態になっていますが、他の小規模生産者のシャンパーニュはそこまでは高騰していません。
お祝いでプレゼントするシーン、例えば結婚式用としてシャンパーニュが欲しいのであれば、知名度の高さからドン・ペリニヨンは良い選択です。ですが、自宅で美味しいシャンパーニュが飲みたいと思うのであれば、無理に30,000円という高い金額を出してドンペリを買うのはもったいないと思います。
ワインの予算が無制限な一部のお金持ちは別として、一般的なワイン好きが買うのにはコスパが悪いと言わざるを得ません。今回はボランジェのグラン・ダネ2012年とドン・ペリニヨン・ヴィンテージ2010年を同時に試飲したのでレビューしてみます。
ボランジェ La Grande Année 2012年の味わいは?
新品のいぐさ(畳)、リキュール、生のローズマリー、杏のジャム
ドサージュがきつすぎる、リキュールのカクテル飲んでるみたい。
残念ながらピエール・ルグラのミレジム方が美味しい、適正価格は1本1万4千円くらいかな?
ドン・ペリニヨン Vintage 2010年の味わいは?
雑味がありブドウ畑のブレンド感が強い、とにかく雑多で畑をイメージさせる要素が無い。ブシャール・ペール・エ・フィスの広域ブルゴーニュのように、畑や葡萄の仕上がりが全く浮かんで来ないような、広い範囲で収穫された葡萄。飲んでみると、酸味が雑で荒っぽい。粒の大きな酸が目立つ。
例えるなら、冷蔵庫で2週間ほど放置してあったような古いホワイトグレープフルーツのような酸味。
これなら1本あたり6千円のシャンパーニュが妥当で、とても香りが華やかいやエレガントとは言い難い仕上がりでした。正直、エンクリのNVの方が何倍も美味しいです。近年ドサージュが増して味が落ちたエグリ・ウーリエNV グラン・クリュよりも全然、味が劣ります。
ドンペリってどうなの?
ここ数年でシャンパン全体の値段が急激に高騰しすぎて、味わいに対して見合っていない価格設定になっています。フランスワインは全体的に値上がり傾向ですが、ブルゴーニュであればおいしい白ワインか5,000円程度あれば入手可能です。ワインマニアがこぞって買い求める、ドメーヌ・ルフレーヴやコント・ラフォンの優れた村名ワインでも1~2万円代で購入できます。それらと比較するとシャンパンにはグランメゾンで畑が広域もかかわらず、ヴィンテージが良いからといって当たり前のように3~4万円取っている、というのはいささか値段が高すぎると思います。
近年のシャンパーニュを飲んでいると、ドサージュが少ないと謳われているボトルでも、リキュール添加が強く葡萄由来の香りが弱くなっているものが目立ちます。これは極端な例ですが、ドンペリを飲むならシャルロパンの村名シャブリ(4~5千円)を飲んだ方がテロワールと滋味深さを感じ取ることができる、ということです。
とにかくシャンパンのメゾンはブランディングありきで、ルイヴィトンの財布のように画一化されてしまい、そのロゴを飲んでいることに喜びを感じている風潮があります。これはシャンパーニュが、セレブレーション(祝い事)に使われるため仕方ない部分もありますが、年数表示をしているのであれば品質も同じように上げて欲しいですね。
先ほども少し話に出ましたが、結婚祝いや出産祝い、新築祝いなどおめでたいシチュエーションであればドンペリは最適です。プライベートでレストランや自宅で味わいを楽しむのであれば、別のシャンパーニュを選ぶことをオススメします。
ちなみに、同じ予算であればアンリ・ジローの「フュ・ド・シェーヌ」は最高に感動できる1本だと思います。