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ウェッジウッド 250周年ティーセット シルバーシェイプを探る

現行品のウェッジウッドのシェイプと言えば何を思い浮かべるでしょうか?
特に人気のある”ピオニー”や”リー”、少数ですが”デルフィー”や”ヴィクトリア”。

これ以外にも数多くのシェイプが存在します。
ウェッジウッドの250周年を記念して、ヒストリック・ウェッジウッドティーセットと称して6種類のセットが発売されました。

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ウェッジウッドのホームページには公開されていませんが、ハンドブックには発売されたセットが載っています。
そのコピーを頂いたのですが、今は全く存在しないようなシェイプの数々が250周年を記念して復刻されました。

2004年 “エンパイア” ジョージアン スタイル
2005年 “チャイニーズ パターン” リージェンシー スタイル
2006年 ”シルバー シェイプ” ヴィクトリアン スタイル
2007年 “フェストゥーン” エドワーディアン スタイル
2008年 ”アニュラー” アールデコ スタイル
2009年 “225 シェイプ” モダン スタイル

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このように17850年から現在に至るまで、時代の潮流に添ったウェッジウッドの作品を復刻したのです。
新古典主義や東洋趣味、そしてヴィクトリア朝時代と歴史の教科書の中の出来事がジャスパーやボーンチャイナといった”形”になって現れました。
まさに250周年の記念としてふさわしいイベントでした。

ただ、これらは百貨店や正規取扱店の一部でしか販売されず、その生産量も各ティーセット400個ずつという限定数量でした。
また価格も税込みで105,000円という中々の商品で、ネット上にも購入者の情報や写真が少ないです。

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シルバーシェイプとは…

あまりに可愛いそのシルエットに衝動買いしてしまったシルバーシェイプですが、ルーツは1888年〜1889年頃にあります。
まさに大英帝国と呼ばれる時代です。
もともとは中国から紅茶を輸入していましたが、植民地であるインドでの生産を成功して、更には輸入自由化に伴い英国内での紅茶の需要は飛躍的に伸びました。

そしてウェッジウッドのティーポットはヴィクトリアン時代に流行していた銀食器のシェイプを模して、多面体と曲線によって優美さを得ました。
そこにピンクのストライプと薔薇が描かれています。
ピンクのストライプは、ウェッジウッドお得意のパウダー加工です。

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本物のシルバーシェイプがキャビネットに来ることに

しばらく経ち、とある経緯で本物のシルバーシェイプを手に入れることができました。
購入した品はバックスタンプからすると1900年前後、まさに250周年の復刻版にそっくりの形状です。

当時のシルバーシェイプ、名称は不明なのですがサイズが異なり一回り大きいティーポットです。カップソーサーは同じようなサイズです。
手前の250周年ティーポットは2人分、奥の当時のティーポットは4人分と言えそうです

ティーカップは小ぶりで小さく見えますが、実はどちらも150ml入ります。
つまり現在のウェッジウッドの”ピオニー”や”リー”と同じくらい入るのです。

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まるで水差し(ジョウロ)のような形がどうにも愛おしい。
良く観察すると注ぎ口の形状が異なり、当時のモノの方が柔らかい曲線となっています。
また、ハンドルにもエレガントな装飾が施されています。

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実は、左の当時のモノは全てハンドペインティングで制作されています。
唐草模様のような有機的曲線や、花のモチーフなど全て手書きです。
一方の復刻版はプリント転写です。復刻版の方が遥かに精度が高いですが、芸術的なオーラは当時のモノの方があります。

よく見ると分かりますが、当時のモノは極限まで薄くエッジ角も鋭く出されています。
型抜きとはいえ、100年以上前から優れた形成技術があったと言えます。

下地の磁器ですが、復刻版よりも当時のモノの方がガラス質が強く、指で弾くとカチンと音がなります。復刻版はコンッ!といった音です。

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復刻版の方が造形が甘く感じるほどに、当時のシルバーシェイプはエッジが強調されていました。
ポートランドの壺も、ほどんど見かけない古いスタンプです。

他のシルバーシェイプ

ネットで英語で検索していると、わずかですがシルバーシェイプの情報、といってもeBayなどが出てきます。

 

 

eBayに出品されているシルバーシェイプ。
Model: Y967とありますが、この形状の番号でしょうか。

 

他にもセージグリーン・ジャスパーのシルバーシェイプが存在するようです。
つまりボーンチャイナだけでなく、ジャスパーのシルバーシェイプも存在したようです。
確かにシルバー製のトレイにように見えますね。

専門書などが無いため、これ以上は詳しく調べることができませんでしたが、このようにシルバーシェイプもアンティーク品として僅かに流通しているようです。

とっても可愛いデザインなので、個人的には是非とも”イギリス製”として復活して欲しいのですが…。
ユーランダーパウダー・ルビーのシルバーシェイプC/Sとか。

 

という訳で、今回はウェッジウッドのシルバーシェイプについて少し研究してみました。
洋食器の歴史は楽しいですね!

「ウェッジウッド 250周年ティーセット シルバーシェイプを探る」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 朝食のコーヒーにはWEDGWOODのデミタスカップがお勧め

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