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「銀河鉄道の夜」をもう一度

こんにちは。夜もだんだん長くなり、秋の深まりを感じる今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
秋と言えば、読書の秋。
という触れ込みで、秋の夜に読書を楽しんだという方も多いのではありませんか?
宮沢賢治著「銀河鉄道の夜」といえば、「読書」で少年時代に親しんだ方も多いはず。岩手出身の文豪による名著ですよね。
今回は、そんなお馴染みの「銀河鉄道の夜」をまた違った気分で楽しめる作品をご紹介します。

【劇場アニメ「銀河鉄道の夜」(1985)】

 「銀河鉄道の夜」のメディアミックスといえば、この作品を思い浮かべる方が最も多いのではないでしょうか。熱心なファンも多いこの映画中では、登場人物たちが人間ではなく擬人化された”猫”として脚色され、これはますむらひろしによる漫画版が原案となっています。
監督は、「鉄腕アトム」や「タッチ」なども手掛けた名アニメ監督杉井ギサブロー。所謂子ども向けアニメ映画でありながら、全編を通してどこか影が差したような空気感で、ジョバンニと一緒に夢を見ているような心地に襲われます。
エンディングのテーマに合わせた常田富士男さんによる朗読「春と修羅(宮沢賢治)」序の一節は、映画本編が終わってもなお、私たちの心にぽっかりと穴の空いたような喪失感と寂寥感を浮かび上がらせずにはいられません。
ザネリ役の堀絢子さんによる「ラッコの上着が来るよ」の非常に小憎たらしい演技はもちろん必聴ですが、原作にはないシーン、キャラクターが原作とは異なる言動をするシーンもあり、「銀河鉄道の夜」ファン必見の作品。

【プラネタリウム番組「 銀河鉄道の夜 -Fantasy Railroad in the Stars-」(2006)】

サンシャインスターライトドーム満天(現、コニカミノルタ プラネタリウム満天)にて2006年6月17日から11月12日まで上映されたプラネタリウム番組。観客動員数100万人を超えたというその人気から、現在でも全国各地のプラネタリウムで上映されている他DVD化もされています。KAGAYA Studio制作。
サンシャインスターライトドーム満天上映版では室井滋さんがナレーションを担当していましたが、現在鑑賞できる全国上映版では、宮沢賢治さんと同郷の人気声優桑島法子さんがナレーションを務めています。
ドーム状のプラネタリウムスクリーンに映し出される、客席へと降ってくるようなCG映像の美しさはそこいらの3D映画では太刀打ちできないような臨場感。冒頭の学校でのシーンを皮切りに、銀河鉄道の旅からジョバンニが戻ってくるまで、その映像の美しさに圧倒されます。
鉄道の駆け抜けてゆく、りんどうの咲き乱れる宇宙の野原、そして車窓から眺めるあかあかと燃えるサソリの星、天上に輝くサウザンクロス……。
隅から隅まで作り込まれた移り変わる画面に、瞳がふたつしか無いことを悔やみたくなる、そんな番組です。これまでプラネタリウムに興味が無かったという方も、もしお近くのプラネタリウムで「銀河鉄道の夜」が上映されるなら、ぜひ足を運んでみてください。

【星海社朗読館「銀河鉄道の夜」第9章「ジョバンニの切符」(2010)】

「日本文学の過去の名作、そして未来の名作を、坂本真綾があなたのために朗読するーー満月の夜だけに。」
というコンセプトのもと、2010年9月から4ヶ月間、満月の夜にUstreamで配信された朗読「坂本真綾の満月朗読館」。その第一夜作品となったのがこちら。
この朗読で抜粋されている第9章「ジョバンニの切符」は、双子座の「双子のお星様のお宮」の手前から、銀河鉄道から戻ったジョバンニが川辺でカムパネルラの父と会話をするラストシーンまでとなっています。
洋画にてナタリー・ポートマンの吹き替えを担当し、ミュージカル「レ・ミゼラブル」ではエポニーヌ役(2003〜2009)を演じた声優・女優坂本真綾が、その”あまりにも綺麗な”透き通った声で朗読する「銀河鉄道の夜」。彼女の声で紡がれるジョバンニは、カムパネルラは、サソリについて語る少女は、宮沢賢治さんによる文章以上に純朴で、儚い印象を私たちに植えつけます。
寝る前に、布団に入って電気を消して、そうして再生してみれば、きっと星の煌めく野を駆ける、そんな夢が見られるような予感に包まれるはず。
さて、いかがでしたでしょうか。
子どもの頃に読んだ「銀河鉄道の夜」。
「もうどんな話か忘れちゃったな」
そんな方、もう一度ジョバンニやカムパネルラと一緒に銀河鉄道の旅を楽しんでみませんか。
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