知られざるトナカイの秘密

サンタクロースと一緒にソリを滑らせるトナカイは、「赤鼻のトナカイ」として日本で有名ですが、実はその歴史には悲しい物語があるのです。

知られざるトナカイの秘密

 

赤鼻のトナカイ ~ルドルフの秘密~
http://xmas-count-down.com/b4/rudolph.htm

こちらのホームページに詳しくルドルフの話が載っているのですが、簡単に要約して引用してみます。

 1930年頃、アメリカのシカゴにロバート・メイという人がいました。
ロバートはシカゴの通信販売会社で宣伝原稿を書く仕事をしていました。

ちょうどウォール街で株価が大暴落をし、世界中が恐慌にあえいでいた頃であり、ロバートの暮らしは貧しく、安い給料で毎日遅くまで働かなければなりませんでした。

そんな彼でしたが、2つの宝物がありました。それは、若い妻のエヴリン (Evelyn) と生まれたばかりの娘、バーバラ (Babara) でした。
この二人のために、一生懸命ロバートは働いていたといってもいいかもしれません。

そんな貧しい中にも幸せを感じる日々を送っていたある日、バーバラが2歳になった時のことです。愛する妻のエヴリンが寝込むようになりました。
とても悲しいことに、エヴリンは癌に冒されていました。ロバートは妻の治療費を得るために八方手を尽くしました。しかし、得られた金額は僅かなもので、少しあった蓄えも妻の治療費で消えていき、妻はとうとうベットから起きることも出来なくなりました。

そんなある12月の夜のことです。
4歳になっていた娘のバーバラが、ふとロバートに尋ねました。

「ねえ、パパ。
私のママは、どうしてみんなのママと同じじゃないの?」

バーバラは子供らしい無邪気な好奇心で、寝たきりの母親のことを尋ねたのでした。毎日の暮らしも、もうギリギリの状態であり、何と娘に答えてよいか分からないまま、ロバートは思わずバーバラを抱きしめました。

せめて、この子を幸福な気持ちにしてやらなければ・・・。
何かを言ってやらなきゃ。
幸せな気持ちになれるような何かを。
けれど何を?
どんなことがある?
いったい何を言えばいい?

ロバートは娘の小さな体を抱きしめたまま考えました。
そして自分の中からありとあらゆる想像力と勇気を集めました。
それから、娘に向かってゆっくりと話しはじめたのでした・・・


「いいかい、むかしむかしのことだよ。
ルドルフ、っていう名前のトナカイがいたんだ。ルドルフは、世界にただ一頭しかいない不思議なトナカイだったんだ。どうしてかというと、それはね。
ルドルフは、なんとでっかい、真っ赤なお鼻をしていたからなんだ。だからね、あだ名はもちろん『赤鼻のルドルフ』だったんだよ。」

「でもね、ルドルフは幸せだったと思うかい?ルドルフはね、そのお鼻のことでいつもとっても悩んでいたんだよ。
だって、みんなは自分を見て大笑いするし、そればかりか、お父さんやお母さん、それに妹たちにまで馬鹿にされてたんだもの。
ルドルフは、いつも悲しくて悲しくて仕方がなかったんだよ。」

「ところがね」と、ロバートは声を明るくして続けました。

「ある、クリスマスイヴのことなんだけど。
サンタさんがソリを引くトナカイのチームを迎えに来たんだ。
知ってるだろう?
ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、ドンダー・・・。
クリスマスの夜に世界中を駆け巡る、有名なトナカイたちだよね。
チームに入っていない他のトナカイのみんなも全員集まって、この素晴らしいメンバーに惜しみない歓声をあげてお祝いをしたんだ。
ところが、いざ出発という時になって、突然霧が広がり始めたんだ・・・。

それは、とてもとても深い霧で、目の前さえ見ることが出来ないほどの初めて見るような濃い霧だったんだよ。

サンタさんは、とても困ってしまった。
どうしてかっていうと、霧が深いとエントツを探すことが出来ないって分かっていたからなんだ。

その時ふと、突然!
サンタさんの頭にルドルフのことが浮かんだんだ。
サンタさんは実はね、ルドルフのことをよ~く知っていたのさ。
そう。その真っ赤なお鼻のこともね。
サンタさんがあたりを見回わすと、見送りの群の後ろの方にルドルフがいるのが目に入った。
そして、その時のルドルフのお鼻はね・・・。

なんと、いつも以上にきらきらと輝いていたんだ!
サンタさんはすぐさま決心した。黙ってルドルフに近づくと、ソリのところへ連れて行き、一番先頭にルドルフを立たせたんだ。
ルドルフはサンタさんが何をしようとしているのかが分かって、もう夢を見ているような気持ちだった。そのルドルフの耳にサンタさんの力強い声が聞こえてきたんだ。

『さあ行こう、仲間たち!!世界の空へ!!子供たちの夢へ!!』

トカナイたちはいっせいに身を躍らせた。
ルドルフのお鼻がひときわ明るく輝きだした。
そしてそれはもうまばゆい光になっていたんだ。


9頭のトナカイはソリの鈴の音と共に空へ駆け上がっていった。
霧の中にルドルフのお鼻の輝きが、すうーっと線を描いて消えていったんだ。

後に残ったトナカイたちは、ず~っとそれを見送っていた。みんな恥ずかしいような、苦しいような、それでいてとてつもなく嬉しいような、いろんなものが混じった不思議な気持ちに包まれていたんだ。

その夜、ルドルフはサンタさんのソリを立派に先導したのさ。
霧も、雪も、吹雪も、ルドルフがついていたから平気だった。どんな家も、どんなエントツも、見逃すことはなかった。だってそのお鼻はまるで灯台のように輝いていたんだからね。

そうしてこの時から、ルドルフはもっとも有名な、みんなに愛されるトナカイになったんだ。ずっと昔、恥ずかしくて隠したくてたまらなかった真っ赤な大きなお鼻は、今ではみんなから一番羨ましがられるものになったんだ!!」


父の話を聞き終えて、バーバラは輝くような笑みを浮かべました。けれど、それからが大変でした。小さなバーバラは、毎晩ロバートにそのお話をねだり始めたのです。
ロバートは娘を寝かしつけながら、ほとんど毎晩のようにそのお話をしていました。時には半分寝込みながら話すこともあるほどでした。

やがて、ロバートに素晴らしい考えが浮かびました。
お話を本にして、クリスマスに娘にプレゼントしてやろう、というものです。貧しい暮らしでは満足なプレゼントは買ってあげられません。
だけど、手製の本となると事情は違います。紙とペンがあればどんな本だって作れるんですから・・・。

ロバートは毎晩、娘が眠ってから、遅くまで「ルドルフ」のお話を詩にし、綺麗な本に仕上げる作業に没頭しました。
ルドルフの本も、もう最後の仕上げの段階だという時、悲劇がロバートを襲いました。妻のエヴリンが亡くなったのです。

 「昔の楽しい暮らしを取り戻したい」というロバートの望みは打ち砕かれました。もうロバートの宝はバーバラだけになってしまったのです。
悲しみにつつまれながらも、ロバートは毎晩、がらんとしたアパートの机に向かい、バーバラのための「ルドルフ」を作り続けました。

そしてバーバラが、ロバート手作りの「ルドルフ」を見て歓声を上げた数日後、ロバートは会社のクリスマスパーティーに呼ばれました。
ロバートは気が進みませんでしたが、彼の会社の組合がそれを強く要請していました。仕方なくパーティーに出席した彼は、余興として自分の書いた詩を持って行き、それをみんなに読んで聞かせました。
はじめはガヤガヤしていた仲間たちは、その詩を大笑いしたりしながら聞いていましたが、次第に話し声が聞こえなくなってきました。
・・・会場は静まり返り、詩を読むボブの声だけが響きました。そして、詩が終わると同時に、いっせいに拍手が湧き起こったのでした。

とても感動するお話ですね。
この話を知るまでは「赤鼻のトナカイは、いつもサンタクロースと一緒に居て暗い道を照らす」程度にしか知りませんでしたが、実は世界恐慌で辛い生活をしていたシカゴのお父さんが娘のために書いた物語だったのです。

大人でしたら感動する話として聞くことができますが、子供には悲しい話としか思えないので、省略されて今に伝わっているのかもしれませんね。

クリスマスの日は赤鼻のトナカイ「ルドルフ」の事を思い出してあげて下さいね。