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Sartorio “サルトリオ” イタリアで最も美しく贅沢なコンセプト・ブランド

イタリアファッション漂流のたどり着く先に

トレンド性と話題性に富んだブランドで、イタリアファッションの入り口となっているボリオリやラルディーニに始まり、クラシコイタリアにどっぷりと使って、いろんなブランドを経由しながらサルトリアパルテノペアや、ベルベストなどの高級なマシンメイド服を次々と手に入れてしまった人にとって、悩むのはその次です。

なぜならば、それだけのものを買った後に手が伸びるブランドというのは、それほど多くないからですね。

さあ、かくなるうえはキートンか、アットリーニか。と言いたいところではありますが、流石にあの値段になると、「じゃあこれで」と出せる人ばかりではありません。

いずれ消耗するカシミアやシルクの布に、ほどほどの程度の2.0リッターJTSのアルファロメオを並べて「この二つが同じ金額なんだよ」と言われたら多くの人間が困惑し、その奇妙な物質の等価性に驚き呆れるでしょう。

そこで視界に入ってくるのがSartorio サルトリオです。どうやらkiton キートンが展開している、セカンドラインに当たるものらしい。さぞゴージャス華やかなマシンメイドラインに違いない。値段はkiton キートンに比べれば安いし、しめたしめた……。

と手に取ると良い意味で期待を裏切られるのが、このSartorio サルトリオのジャケットです。今回はそのサルトリオがどうしてイタリアを始め、世界中でこれほどまでに注目されているのか?その理由と本当の魅力に迫っていきましょう。

最も美しく挑戦的な“懐古主義”

sartorio suit

サルトリオのスーツやジャケットは一見してみると、選りすぐられた生地を使用して作られた、手の込んだ服であるようには見えない場合も少なくありません。

というのもサルトリオを展開しているkiton キートンは、恐ろしく高級で繊細な生地を使用した、シルクよろしく光沢を放つウールやカシミアばかりをコレクションの中で扱っているので、基本的にキートンのファンであればその流れをサルトリオに期待してしまう節があるわけですね。

実際には、サルトリオの生地はそんな優美な雰囲気というよりは、意外にも堅実でメツキの良い生地が主体となっている。これはどちらかといえばイギリス的な印象さえあります。もちろん例外もありますのであくまで傾向としての話ですが、 最初はこの生地感が「あれ?値段の割に…」と地味に感じてしまうことでしょう。

sartorio2

しかし手に取った生地に視線を落とし、もう一度その手触りを確認してみましょう。色合いと、その柄もです。するとひとつ、なんとも言えない魅力がじわりじわりと浮かび上がってきます。

ヴィンテージ感。

ここでサルトリオの全体的なシルエットや、ディティールが俄然色づき始め、大きな意味を持ち始めるでしょう。

ナポリ特有のリラックス感がありながらも、堂々としたショルダーライン。フィレンツェ仕立てに見られる滑らかな三日月形とは対局を成す直線的なフロントカットのカーブ。そしてそこから1つめのボタンホールを巻き込み、大胆に折り返して立ち上がる襟は、クラシックの真ん中を行く太さです。

sartorio brown

これらは極端に副資材を廃し、短い着丈と細いラペル、そのわりに絞り込まれていないウエストラインで作られる流行のジャケットとはまるで対局にあるディティールです。

そしてこのような全てのディティールは、ヴィンテージ感溢れる生地と相まって、時代の最先端を行くブランドでありながらも、なんとなくノスタルジックで誰もが「この時代を見てみたかった」と願う時代を感じさせる“サルトリオ”一種独特の雰囲気を生み出しているのです。

もちろんサルトリオのジャケットはただの懐古主義には収まりません。

ヴィンテージ調の風合いでありながらも、今最も人気の高い大柄チェックを配した生地であったり、軽い仕立ての求められる時代に合わせ、仕立ては非常にリラックスしたものだったりと、サルトリオのジャケットは常に今のニーズに応えている。

sartorio double

サルトリオが注目されているのはそのように、確実に今のニーズに応えながらも、人々に強烈なインパクトを与えるような新しさと「旧さ」を提案しているブランドであるからです。しかしサルトリオが世界に注目されているのはただ、誰もが驚くものを提案しているからではない。その提案が限りなく美しく、レベルの高い仕立てによってなされていることがあったからこそ、サルトリオは他のマシンメイドブランドとは明確に『クラス』の違うブランドとして認知されているのです。

これからメンズファッションが向かっていく先を提唱し、イタリアのクラシコブランド界の羅針盤としてはたらく、いわばコンセプト・ブランドであるサルトリオ。

常に世界を席巻するクラシコ最高峰ブランドであるキートンが展開するサルトリオは間違いなく、イタリアで最も美しく贅沢なコンセプト・ブランドでしょう。

全体の美しさに徹したマシンメイド

sartorio jackets

いくら斬新なアイデアを持つ魅力的なブランドとはいえ、サルトリオの値段というのはかなりのもので、セール品であればアットリーニやらキートンやらも買えてしまうのではないかというほどの金額。

それでいてサルトリオのジャケットは基本的にはマシンメイドです。ボタンホールやピックステッチは基本的にミシン縫いですし、日本のセレクトショップのオリジナルのジャケットなどに比べれば手縫いの割合は多いとは言えない。正直言ってしまうと、ジャケットのディテールだけを見れば、もっと安く手の込んだものが日本製のジャケット達の中には多く存在します。

しかしだからと言って、サルトリオが親の七光りでキートンの名前を以て売れているだけのブランドかと言えばそうではない。実はこのマシンメイドの中に、ハンドメイド=良いジャケットという偏りがちな考え方を正してくれるような魅力が潜んでいるのです。

まずはそのシルエットです。立体的な裁断から生まれる絶妙なシルエットは、流石普通のマシンメイドブランドとは一線を画すものです。

ナチュラルショルダーから自然なマニカカミーチャの袖付けを介してつながる袖のラインは、直線的で無駄がありません。ボリューム感のあるショルダーに対比してきっちりと絞られたウエストラインは、少し広がり気味のフロントカットとつながって実に男らしいボディラインを描きます。

sartorio manica camicia

これは特に筋肉質な男性を非常に魅力的に魅せるラインで、色気のある立ち姿を演出してくれます。その分着る人を選ぶのも事実です。あまりに痩せていたり、身体に抑揚の少ない人、肩幅が狭い人が着るとジャケットが覆いかぶさるような形になって、着られてしまう場合もあります。

また最近のトレンドであるアンコンジャケットが好きな人にはどうもシルエットが男らし過ぎてしまうように感じられるかもしれません。中性的なイメージを好む今の若い女の子からの受けを狙うのであれば、間違いなくボリオリやラルディーニを選ぶべきでしょう。

しかしもしもあなたがクラシックでエレガントな装いと、男性的で色気のあるイタリア人的な魅力を備えた人物を目指したいのであれば、サルトリオのジャケットはこの上ない選択肢になるはずです。

またサルトリオのジャケットやスーツは、マシンメイドでありながらも非常に高い技術力を持った職人が手がけていることがよくわかります。

美しいラペルロールを描くためのハ刺し等はもちろんのこと、袖付けや襟付けなどの処理一つ一つが大変丁寧です。そういった仕上げの一つ一つは非常にレベルが高く、まるで一人のサルトが仕立てたジャケットの一部分であるかのような雰囲気になっています。

やはり言えることは、彼らはディテールでジャケットやスーツを捉えていないということです。先ほども書きましたがディテールの充実度で言えば、日本のセレクトショップのオリジナル等の方がよほど凝っていると言えます。

良いスーツを語るときに二言目には出てくる「手縫いのボタンホール」や「手縫いの襟付け」は 10万円の日本製スーツには必ずと言っていいほど見られるディテールですが、25万円のサルトリオには見られません。シーム部をくまなく縫うようなAMFステッチも13万円のボリオリにはありますが、サルトリオの場合にはラペルや主要な部分にしか入っていません。

sartorio coordinate

しかし少しだけ引いて、ちょうど誰かと会話をするときの距離に立って全体を見渡すと、どんなジャケットよりもサルトリオのジャケットが美しく見える。これは恐らくサルトリオの哲学が「全体としての美しさに徹する」ことにあるからではないでしょうか。

日本人は往々にしてディティールに意識を取られ過ぎて、全体を見ることができないと言われます。

上等ですね。

サルトリオを手に取って、その伝えんとすることを感じ取りましょう。そしてなるほどこれは魅力的だ、と思ったときには私たちはすでに、全体でジャケットの魅力を感じ取り、その本当の良さを見抜くことができるようになっているはずです。

ラグジュアリーの頂点と、名門の血統

sartorio e stile latino

世界の羨む希少な生地を、ナポリのニュアンスをふんだんに取り入れた非常に高い水準で仕立てる世界一ラグジュアリーなサルトリアブランドである、キートン。

そのキートンの創設時に、ある男がモデリストとして活躍していました。

チェザレ・アットリーニですね。かの男はロベルト・コンバッテンテに並んで、ナポリ仕立ての基礎を作り出した人物といわれるヴィンツェンツォ・アットリーニの息子であり、現在キートンと並ぶ一流サルトリアブランドとなったCesare Attolini チェザレ・アットリーニのオーナーです。

このチェザレ・アットリーニは、ラグジュアリーな素材を用いているのはもちろんのことですが、それよりも仕立てに比重を置いたブランドです。ナポリ仕立ての雰囲気を最もエレガントに表現し、唯一世界スタンダードに通用するサルトリア・ナポレターナと言われていますね。

希少価値とラグジュアリーを極めたキートンのセカンドライン、サルトリオに対し、ナポリ仕立ての名門アットリーニの血統にあるセカンドラインにスティレ・ラティーノがあります。

このスティレ・ラティーノもまた面白く、サルトリオと同じような価格帯にありながらも全く違う魅力を持ったこの二つは、常に比較されるマシンメイドの2トップですね。

他のどのブランドとも違うクラス感を持ったこの二つのブランド、ぜひチェックしてみてください。

※参考写真の一部に、アットリーニ時代のサルトリオを含みます。

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