イタリア旅行で絶対に挑戦したい5つのこと③ – アルノ川の夕暮れに逢う

ナポリのひなびた広場に腰掛けてギターを弾いていた私は、10日後にフィレンツェの観光客の賑わう広場で再びギターを弾いていた。

するとあるアジア系女性が私を指差して、「ナポリ!」と叫ぶではありませんか。

ナポリでギターを弾いているときに一言二言話した彼女と偶然にも再会し、私はついにギターをしまって、一緒にバルで一杯やることにしました。

すると途端に大雨が降り出し、隣のスウェーデンから移住してきた現地民とデザインの話で盛り上がり、雨が止んだ頃外に出ると、外は陽も傾いた夕方でした。

私は皆に別れを告げてピッティ宮殿近くの、ルネサンス時代の天井画を眺めながら眠ることのできるありがたいホテルへの道のりを歩いていました。

そしてアルノ川にかかるグラツィエ橋に差し掛かったそのとき、私は世界で最も美しい夕暮れの一つに出会ったのです。

アルノ川で夕暮れと出会う

イタリアを訪れて、フィレンツェを訪れない人はそういないはずです。ルネサンスの街であるフィレンツェはあまりに美しく、あまりにも華やかで、そこを訪れる全ての人を魅了します。

町中を彩るルネサンス建築、星の数ほどの彫刻に彩られたサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。

ブルネレスキをはじめとして様々な巨匠達の共作とも言えるあのドームは、天使の設計と称されるローマのパンテオンに肩を並べる、世界有数の美しい建築です。

ウフィツィ美術館はもちろんヨーロッパ最大級のコレクションを誇る美術館ですが、むしろこの街全体がルネサンス時代をまるごと収蔵した美術館のようなのですね。

しかしフィレンツェはかつてルネサンスで世界を先駆け、メディチ家の支配で世界中の富を集めた都市国家であったにも関わらず、どこか牧歌的な優しさを持っています。

この建物を見て、この美術館を訪れて…実際に来る前にはそんなことをひたすらに考えているのに、訪れてみると余裕ある時間を過ごしたくなる。

そしてフィレンツェを訪れた人々は広場や橋に集まり、なんとなくゆったりとした時間を過ごしてしまうのです。

その中でも愛されているのが、アルノ川。宝石商が集まる有名なポンテ・ヴェッキオの一つ隣にあるグラツィエ橋は広々として景色もよく、この時間になるとカップルや旅人が立ち止まって夜を待つ場所です。

私もこのアルノ川の夕暮れと出会った日から、この夕暮れを見たいがために追加で7日間もフィレンツェに滞在したほどです…。

アルノ川は最高のアペリティーボだ

イタリアには食前酒、アペリティーボの文化があります。17〜18時になるといきなりレストランに食事に行くのではなく、バルに行って軽食と共に食前酒を楽しむのです。

人気なのはアペロールやカンパリをスパークリングワインとソーダで割ったスプリッツ。美しく明るい赤色の食前酒は、赤煉瓦の屋根で一色に染まったフィレンツェになんと似合うことか。

しかしフィレンツェの人々にとっての最高のアペリティーボは、アルノ川でしょう。

フィレンツェ民の心のふるさとであるアルノ川、ここに沈む太陽を見ながら恋人や家族、友人達と過ごす時間は、彼らにとってかけがえのないものなのです。

日本人はともすると、何か目的や目標を持っていないと不安になってしまったりします。仕事が終われば全力でアフターファイブを過ごし、休みが終わると次の休みのことを考え、せっかくの3連休をどれだけ有意義に過ごせるか、なんて考えてしまうのです。

しかしここ、アルノ川ではきっとそんな思いから解放されるでしょう。

ただ美しい夕暮れを眺めていること、そしてそれが夜になっていく時間を、なんともない会話をしながら、大切な人たちと共有すること。それだけで、幸せになってしまうような場所なのです。

急ぎ足になりがちなヨーロッパ旅行に疲れてしまったとき、ここを訪れましょう。アルノ川は旅人にさえもまるで、心のふるさとのように感じられるはずです。

そしてそのアペリティーボを十分楽しんだら、また夜のフィレンツェ探索に出かければ良いのですから。

著者 Professore Rambaldi

ナポリ仕立て専門セレクトショップ「プロフェソーレ・ランバルディ静岡」
本物のナポリ仕立てを日本でオーダーできるビスポークやメジャーメイド、そしてナポリのサルトリアで仕立てられた既製服を扱っています。

> Professore Rambaldi 公式サイト

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