【薬コラム連載】薬を間違えて飲ませてしまった時の対処方法

[記事公開日]2016/12/05[最終更新日]2016/12/06

大変、薬を間違えて飲ませてしまった!!」
家族に薬を間違えて飲ませてしまった場合に知っておきたい対処方法。

誤って飲んでしまった場合
→いつもと比べて違いはないか?緊急性がある場合は受診した病院に電話。

電話前にできれば紙に書き出す
→子供の名前、生年月日、体重、何を間違えて飲んだか、子供の今の状態を
伝える。


薬剤師ライターのたんぽぽむしです。
小児科の横の薬局で働いていると、子供の保護者から、慌てて問い合わせのお電話をいただくことがあります。

「2種類の薬をもらったのですが、同じ薬を2袋飲ませてしまいました」
「間違えて、お姉ちゃんの薬を下の子に飲ませてしまったのですが・・・」
「朝夕に飲む薬を今(昼に)飲ませてしまいました

「1週間前にもらった薬が今夜で終わるはずですが、今見たら、同じ薬が2つ残っています。どこかで片方の薬を2つ飲んでしまったみたいです。でも、いつ間違えたのかわかりません・・・」
「冷蔵庫に入れてあったシロップを、子どもが自分で飲んでしまったようです。空の容器が転がっています。全部飲んでしまったのかもしれませんが、大丈夫でしょうか?」 などなど。

お母さまの性格により、お電話でのご様子はさまざまですが、それでも皆さん「困った。どうしよう」ということで、まずは薬局に相談してみようと思われるようです。
けれども、往々にして事実とお母さまの推測が入り混じり、何が起こったのか確かな情報が得られず、結果的に問題の本質にたどりつくまでに時間がかかってしまうことが多いのです。

Ⅰ. 間違えて薬を飲ませてしまったとき、医療機関に問い合わせる前にすべきこと

お気持ちは察するところではありますが、急いでいるときほど落ち着いて、“電話をかける前に” 次のことをまとめる、できれば “紙に書き出す” ことをお勧めします。

これは、間違えて飲ませてしまったときだけでなく、心配なことや相談したいことがあり、医院や薬局に電話をかけるときでも基本的には同じです。

まず、今のお子さんの様子を確認する。

いつもと比べて違いはないか? 元気はあるか? 顔色は悪くないか? ぐったりしていないか?
吐いていないか? 震えていないか? 体をつっぱらせていないか? うとうとしていないか? など。

明らかにいつもと違う、緊急性があると判断した場合は、薬局ではなく病院に電話をしてください。薬局では、診断も処置もできないからです。
いつもとそれほど変わりなく、急がないと判断した場合は、薬局にお電話でも構いません。

では、何を書き出せばよいか?

1.お子さんの名前と生年月日と体重

慌てているのか、または自分の名前を明かさずに解決したいと思われるのか、お電話で名前を名乗らず、いきなり用件から話し始める方が多いです。

けれども、薬局には患者さんごとに「薬剤服用歴という病院のカルテのようなものが作られていて、これまでの処方薬や服用による体調変化、アレルギー、病歴、嗜好などが、少なくても過去3年分は記録・保存してありますので、患者さんの氏名と生年月日があればわかる情報も多く、いちからご説明いただかなくても済むことが多いのです。

また、生年月日は、慌てると他のお子さんと間違えることがあり、体重については(後に詳しく説明しますが)、子どもの場合は特に重要なので、わかっている方がすっきりと解決します。
薬剤服用歴が参照できる状況であれば体重も記載されているのですが、薬局以外でお電話をお受けした際には、この体重の情報がないと、どれだけ多く飲みすぎてしまって危険なのか、または問題のない状況なのか、判断しかねる場合があるからです。
兄弟の薬を間違えて飲ませてしまった場合は、お二人の氏名と生年月日、体重が必要です。

2.何という薬をどのように間違えて飲んだか?

何という名前の、誰に処方された薬を、いつ、どのように間違えて飲んだか?
薬の名前がわからない場合は、せめて粉薬かシロップか錠剤かとその色、1日何回飲む薬か?

兄弟の薬を間違えて飲んでしまった場合は、その間違いを分かりやすく。
大人が間違えて飲ませたのではなく、気づいたら子どもが自分で飲んでしまっていた場合は、
どんな状況か、本当に飲んだのか?こぼしてしまった可能性はあるか?など推測される状況も。

3.今の様子、体調はどうか?

いつもと比べて違いはないか? 元気はあるか? 機嫌はよいか? 食欲はあるか? 顔色はどうか? 吐いていないか? 震えていないか? 体をつっぱらせていないか? うとうとしていないか? など。

以上のことを、確認して書き出したら、医療機関に連絡してください。

その状況により、すぐに受診すべきか、一晩様子をみてもよいものか、受診する前にこんなことをしてから来て欲しい、こんな症状が出てきたら受診すべき、などという指示がもらえると思います。

それでは、冒頭に載せた、飲み間違いについて解説する前に、子どもの体と薬について説明します。
子どもの体というのは、単に大人に比べて小さいというだけでなく、臓器の働きも発達途中の段階にあり、体内の水分と脂肪のバランスや、薬の効きやすさ、薬を害のないものに変化させ体外に出させる(代謝・排泄)能力なども、その子によって異なります。
ですから、使える薬の種類や量などは、その子に合わせて医師が決定する必要があるのです。
実際に処方される薬の量は、基本的には 体重、年齢 などから算出され、その後の体調変化などに応じて、次の処方薬の種類や量が決定されてゆきます。
よって、私たち薬剤師が、薬剤師の立場で医師の処方内容を監査する(この薬の組み合わせや量で問題ないか確認する)際には、年齢と体重の情報が必要なのです。
飲み間違いの連絡を受ける時も同様で、その間違いがどれほど危険な状態かを判断するために、生年月日と体重を教えてほしいというのも、そのためです。

実例については次の記事へ

【薬コラム連載】薬を間違えて飲ませてしまった時の対処方法 〜実例〜