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大人になった今だから聞きたい宇多田ヒカルの曲3選

「宇多田ヒカル 復帰」

2015年末、スポーツ報知による報道が世間を賑わせたことは記憶に新しいかと思います。この2010年以来活動休止中の歌姫、宇多田ヒカルの音楽活動復帰というビッグニュースは、大きな驚きと歓喜の声でもって迎えられました。
はじめこそこの報道は誤報だとされましたが、一転して、先日この春からのNHKの朝ドラ主題歌に決定したことが発表されましたね。個人個人の彼女に対する印象はともかく、2000年前後のJ-POP界へ彼女が与えた影響は計り知れません。1stアルバムである『First Love(1999)』の売り上げは国内外を合わせて約1000万枚。日本のアルバム歴代チャート1位を記録したこの数字は未だに破られていません。
彼女のデビューした1998年というのは日本のCDが最も売れた年であり、現在の音楽市場と直接比べることはできないとしても、紛うことなく凄まじい記録ですね。20〜30代で宇多田ヒカルの曲を一度も聞いたことのない人はいないのではないでしょうか。

そんな宇多田ヒカルが活躍していた1998〜2010年の頃、多感な思春期を過ごしたかつての子どもたちー仮に宇多田ヒカル世代としますーはというと、2016年現在20〜30代半ば。社会人として、大人として扱われる年齢ですね。
大人になった今だからこそ、あの頃聞いていた宇多田ヒカルの曲をもう一度振り返ってみませんか。
注・筆者の好みのみで選曲しました。

 

『For You(2000)』

6thシングル『For You / タイム・リミット』の両A面タイトルとしてリリースされた曲。彼女が17歳のときですね。この曲のPV撮影のために渋谷でシークレットライブが行われたことも当時話題になりましたね。
「ヘッドホンをして 人ごみの中に紛れると」という気だるげな歌い出しから始まるクールなR&Bチューンです。
『For You』という、ともすればありがちなラブソングめいたタイトルに反して、曲調や歌詞の内容はどちらかというと薄曇りを想像させるようなもの。「誰かの為じゃなく 自分の為にだけ 優しくなれたらいいのに 一人じゃ孤独を感じられない だからFor You」という詞は、じんわりと耳に残って哲学的な気分を掻き立てます。未だに解釈の別れる歌詞の意味は、自分自身で答えを見つけたいですね。
2番サビに「誰かの為じゃなく 自分の為にだけ 歌える歌があるなら 私はそんなの覚えたくない」とあるように、「誰か」を思い描きながらつい口ずさみたくなる曲です。ただし、カラオケで歌うには非常に難曲なので注意してください。

シングル『For You / タイム・リミット』、アルバム『Distance(2001)』、『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1(2004)』に収録。

 

『日曜の朝(2006)』

宇多田ヒカル本人が作詞作曲に加え、編曲を行うようになった4thアルバム『ULTRA BLUE(2006)』の4曲目。曲の長さも4分44秒と、4ばかりが並んでいます。
テレビなどでのインタビューで「アルバムの中で一番好きな曲」と語られたこの曲は、タイトル通り日曜の朝という「皆が社会から逸脱する素の時間」、時の流れがそのときだけは特別に感じられる時間を歌ったもの。エレクトリック・ピアノによるコード演奏のみのミニマムなイントロは、淡々とした中にそこはかとない哀愁を感じさせます。
曲中で繰り返される「彼氏だとか 彼女だとか 呼び合わない方が僕は好きだ」というフレーズは、大人になった今だからこそ共感できるような気がしますね。当時から今になるまで、いくつかの恋や愛を経て少しずつ傷つきながら生きてきた宇多田ヒカル世代の方にぜひ聴いてみてもらいたいです。
あの頃はなんとなく聞き流していたような詞に、自分自身を重ねられるようになったとき、自身の中の大人を良くも悪くも感じられますね。特に、「早起き Monday morning 仕事なんてやめちゃって 君と休日午後水族館に行きたいなあ」なんて、社会人になって毎日会社に行かなくてはいけない今こそ一層身に沁みます。

アルバム『ULTRA BLUE(2006)』に収録。

 

『はやとちり(2000)』

5thシングル『Wait & See 〜リスク〜』のカップリング曲。
脱力感とエキゾチックさを感じるアレンジの楽曲に、多重録音のボーカルが気だるげな気分になる一曲ですが歌詞はなかなかシビア。繰り返し聞くうち、身につまされるような思いに駆られます。
「思わせぶりでは好かれてしまうよ?嘘吐きなだけでは嫌われちゃうよ?」
というフレーズはドキッとさせられるものがありますね。
シングルの表題曲である『Wait & See 〜リスク〜』のドラマティカルな展開、決然と訴えかけるような曲調に比べ、ミドルテンポでゆるく進行する『はやとちり』はともすれば単調にも感じられます。しかし、だからこそするりと入り込んでくるようなリアリティがあります。
また、アレンジの違う『HAYATOCHI-REMIX』があり、これはオリジナルバージョンとは一転し、オシャレなアーバンミュージックになっています。曲の最後に嘲笑のような笑い声が聞こえるのも印象的。
『DISTANCE』と『FINAL DISTANCE』でも同様ですが、ガラリと印象を変えつつも更なる魅力を見せるアレンジの巧みさと、宇多田ヒカル楽曲の持つ地力を思い知らされます。

シングル『Wait & See ~リスク~(2000)』、アルバム『Distance(2001)』(『HAYATOCHI-REMIX』)に収録。

歌姫宇多田ヒカル復帰の年となることが期待される2016年、もう一度彼女の楽曲を振り返ってみませんか。大人になった今だからこそ得られる共感がありますよ。

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